【SS】きずウナ

〜あらすじ〜
暇つぶしに中古ゲーム屋を冷やかしに来たウナきり。中には先客がひと組いたが、その片方はきりたんの知り合いのゆかりだった。レアなレトロ対戦ゲームを見つけた喜びを分かち合うゆかりときりたん。せっかくだからさっそくやろうと2+2人はゆかりの部屋(マンション)へとやって来たが、タイマンだからとゲーム用の部屋に二人でこもってしまう。そして取り残された二人は……。
〜設定〜
ゆかり
マンション住み・ゲーム好き・生活力なし
きりたん
ゲーム友達は多い
あかり
実質ゆかりの生活面を支えている・ゲームはあまりしない
ウナ
歳上には慣れている


あか「えーっと、音街ちゃん? だっけ?」
ウナ「音街ウナ! ウナでいーよ。……えぇと」
あか「紲星あかり。よろしくね、ウナちゃん」
ウナ「うん! よろしくあかりおねーちゃん」
あか「お、おねーちゃん?」
ウナ「……ダメだった?」
あか「そそそんなことないよ、うん、今日はおねーちゃんです。……それで、これからどうするの?」
ウナ「とーほくと帰るから、終わるまで待ってるよ」
あか「そっか、偉いね」
ウナ「でもとーほくのやつ、ゲームとなると時間忘れるからなぁ……」
あか「あはは、ゆかりと一緒だ」
ウナ「あかりおねーちゃんもゲームやるのか?」
あか「ううん、あんまり……そうだ、ちょっと付いてきて」
ウナ「うん? はぁい」
あか「さて、何か残ってたかなぁ……」
ウナ「あっ、ひとんちの冷蔵庫勝手に見ちゃいけないんだぞ」
あか「あぁごめんね。でも大丈夫、この中身ほとんど私が入れたものだから」
ウナ「どういうこと?」
あか「あの人放っておくとカップ麺しか食べないから、適度に通ってご飯を作ってあげてるの」
ウナ「そうなのか……その、なんていうか、あの、あかりおねーちゃんは優しいんだな?」
あか「えへへ、ありがとう」
ウナ「……あっ、そのー、ひとつおうかがいしたいことがあるんですが」
あか「なになに、そんな急に改まって」
ウナ「その……ごにょごにょ」
あか「……あー、えっと、玄関入ってすぐ右手の扉、わかる?」
ウナ「玄関の、右、うん、わかる、ありがとう!」
あか「気をつけてねー」
あか「さてと、牛乳と卵あるからアレでいいか……」
あか「全部混ぜて濾してレンジに入れて……っと」
ウナ「ただいま、あかりおねーちゃん」
あか「おかえり、手洗った?」
ウナ「もちろん!」
あか「えらいえらい、お、丁度レンジが鳴ったね」
ウナ「なんか温めてたのかー?」
あか「ふふっ、作ってたんだよ、熱いから気をつけてね」
ウナ「わっ、プリンだ! プリンなのに温かい!」
あか「向こうの二人にはナイショね。どうぞ召し上がれ」
ウナ「わーい、いただきまーす」
あか「はい、いただきます」
ウナ「んー! おいしー!」
あか「よかった、実は隠し味に……」
ウナ「ごちそうさま!」
あか「は、はやいね」
ウナ「おいしかったから」
あか「そっかそっか、じゃあまだ口つけてないから、ひとくちあげるよ、あーん」
ウナ「やった! あーん……あったかくてほわほわするー」
あか「ほわほわ? まさか、ブランデー飛んでなかったとか……もぐもぐ、うーん、香りとかかな、わかんないや」
ウナ「あかりおねーちゃん、ぎゅー!」
あか「きゃっ、びっくりした」
ウナ「こっちもあったかほわほわー」
あか「や、ちょっとくすぐったい……んっ」
ウナ「んふー」
あか「と、とりあえずソファーのほうに移動しよう?」
ウナ「はぁーい」
あか「ほら座って、はいお水」
ウナ「ごくごく……」
あか「大丈夫?」
ウナ「なんか眠くなってきちゃったぁ……」
あか「そ、そっか、横になってもいいよ?」
ウナ「んぁーい……」
あか「なんだろう、ゆかりの気持ちが何となくわかったかもしれない」
ウナ「むにゃ、おねーちゃぁん」
あか「よく見ると可愛い顔してるなぁウナちゃん……」
あか「くちびるも柔らかそう……」
あか「ウナ、ちゃん……」
ウナ「んぅー……んぁ、ぁかりおねーちゃん……?」
あか「ううううウナちゃん!?」
ウナ「どう、したの?」
あか「ななななんでもない、なんでもないよ! おはよう!」
ウナ「うん、おはよーおねーちゃん」
あか「うん、その、大丈夫?」
ウナ「それよりさっきなにしようとして」
あか「あーいやほらその、そうだ! 晩ご飯までに帰らなくちゃでしょ?」
ウナ「ううん、あんまり遅くなりすぎなければ大丈夫だよ、東北も連絡すれば大丈夫だし」
あか「そ、そうなんだ。……じゃあみんなでご飯食べよっか?」
ウナ「いいのか? わーい!」
あか「じゃあちょっとゆかりたちにも声かけてくるから」
ウナ「あっ、あかりおねーちゃん」
あか「ん? どうしたの?」
ウナ「(小声で)今度は気づかないふり、するね?」

~終~