【SS】トライアングル ウナきりきず
〜設定〜
音街ウナ
きりたんが好き。
あかりのことはおやつくれたりする優しいお姉さんとは思っているが、きりたんがあかりのことばかり気にするのでモヤモヤしている。
東北きりたん
あかりが好き。
音街のことは数少ない同世代の友人として大事に思っているが、あかりと二人きりになりたくてもウナちゃんも一緒にと言われるので空気を読んでほしいと思っている。
紲星あかり
ウナちゃんが好き。
きりたんがウナちゃんを連れて来てくれないとほぼ会えないのでありがたみを感じているが、それ以上にはなれない。
全員自分が好意を向けている相手の好意を向けている先は分かるが、自分に向いている好意には気づいていない。
きり「はぁー、今日も疲れました。帰ってゲームして寝たい」
ウナ「授業中寝てたように見えたけれど」
きり「いやぁ、最近レトロゲーにハマってしまって、あれは時間泥棒ですね」
ウナ「一方的に東北が捧げてるだけなんだよなぁ」
きり「一方的に、ねぇ」
ウナ「それはそうと、まっすぐ家に帰らないのかー?」
きり「え、いや、たまには違う道も使ってみようかなぁ、なんて」
ウナ「ふぅん、私はてっきり……」
きり「な、なんですか。ていうか、音街は逆方向ですよね? なんで来たんです?」
ウナ「それはその、喋ってる最中だったし、急いでないし、それに……」
きず「……あれ? その声はウナちゃんときりたん?」
きり「あかりさん!」
ウナ「どうしてここに?」
きず「ちょうど買い物帰りでね、二人は下校途中かな」
きり「はい、偶然ですね」
きず「んー……じゃあおやつに誘うのはダメだよねぇ?」
きり「そ、そんなことないですよ」
ウナ「あれ? でも東北帰ってゲームしたいって言ってたじゃん」
きり「それはそれ、これはこれですよ」
きず「ちなみに今日のおやつはウナちゃん好きそうなものだけど」
ウナ「……仕方ないなぁ」
きり「では早速あかりさん家に向かいましょう」
ウナ「ここから近いの?」
きず「ちょっと歩くけど、すぐそこだよ」
きり「あぁ、やっぱり」
きず「そういえば二人ともおうちこっちのほうなの?」
ウナ「全然違うよ」
きず「えっ、なんか用事でもあった? 大丈夫?」
きり「小学生は理由もなく遠回りして帰る生き物なんですよ」
ウナ「私はきりたんに付いてきただけだけど」
きず「そういうものかぁ」
きり「いやはや、偶然とはいえ世間は狭いですね」
きず「運命みたいなものかな、なんちゃって」
ウナ「運命ですってにぇー」
きり「うん?」
きず「あはは、あっ、ほら着いたよ、上がって上がって」
きり「はい、お邪魔します」
ウナ「おじゃましまーす」
きず「狭いけどどうぞ、キッチンはこっち、手洗いうがいはしっかりね」
きり「もちろんです、ほら音街キョロキョロしない」
ウナ「や、なんか、東北以外の友達の家来るの初めてだから、つい」
きず「友達、かぁ……」
きり「そうだ、あかりさん、ゲームありませんか?」
きず「あるにはあるけど……ちょっと待っててね」
ウナ「あかりの家に来てまでゲームしなくてもいいだろとーほく」
きり「いいじゃないですか、また遊びに来るときの参考に」
ウナ「また来る……?」
きず「お待たせ、コレなんだけど」
きり「おぉ! VCでしか見たことないレトロゲーじゃないですか!」
きず「きりたんからしたらもうレトロゲーなんだねこれ」
きり「あとでやらせてもらってもいいですか?」
ウナ「まずはおやつ食べようよー」
きず「それもそうだね、お茶の準備するね」
きり「あぁすみません、手伝います」
ウナ「わ、私も手伝う!」
きず「ふふっ、ありがとう」
きり「音街はこれ並べてきてもらっていいですか?」
ウナ「はーい……ぱくっ」
きず「こらこら、つまみ食いしないの」
ウナ「えへへ、ごめんなさーい」
きり「なぁにやってんですかもう」
きず「まぁまぁ、きりたんも座って、お茶持ってくから」
ウナ「やーい、やくたたずー」
きり「うっさいですよ」
きず「はいはいおまたせー、こぼさないようにね」
きり「それじゃあ、いただきます」
ウナ「東北、それ美味しいよ」
きり「言われなくても食べますよ」
ウナ「こっちのあげようか? ほら、あーん」
きず「……」
きり「……あーん」
きず「ね、ねぇ、私にも」
ウナ「仕方ないなぁ、えぇと、あっ」
きり「ごめんなふぁい、食べちゃいまふぃた」
きず「わ、私の分が」
きり「食べかけで良ければあげましょうか?」
きず「えっ、その、まぁ、我慢します、大人なので」
ウナ「あかりはえらいなぁ」
きり「なーんか私ばっかりが悪者みたいな」
きず「そんなことないよ、また買ってくるから、ね?」
きり「その時は私だって大人の対応してあげますよ」
ウナ「東北はえらいなぁ」
きず「なるほど……なるほど?」
きり「そうだ、ゲームやりましょうよ、ゲーム!」
きず「それなんだけど、複数人で遊べるソフト持ってなくて」
ウナ「どうして持ってないんだ?」
きず「いやー……」
きり「いいじゃないですか、一人用ゲームも楽しいですよ」
ウナ「それはそうだけど」
きず「それで、どうする? やる?」
きり「もちろんやりますよ、ほら、あかりさんここ座って」
きず「私がやるの?」
きり「いえ、座椅子代わりに丁度いいかと思って」
ウナ「あーっ、ずっこい、私も座る!」
きず「えー、あー、まぁー、これはこれで……」
きり「とはいえやったことないソフトなので、わからないところは聞いてもいいですか?」
きず「もちろん……だけどウナちゃんはどうする?」
ウナ「私は東北がゲームしてるの見るの好きだから」
きず「そっかぁ」
きり「そうと決まれば、スイッチおー……ん?」
ウナ「どしたのとーほく?」
きり「そういえば今何時です?」
きず「えーっと、もう少しで17時ってところかな」
きり「17時!?」
ウナ「うっそ、帰らなきゃ!」
きず「えー、ごめんごめん、やっぱりなんか用事あったの?」
きり「いや、大したことじゃないんですけど……」
ウナ「そんなこと言ったらイタコさんに怒られるぞ」
きず「誰かの記念日とか?」
きり「いえ、タコ姉さまがたまに夕飯振る舞いたくなる日です」
ウナ「量がやけにすごいんだよなぁ」
きり「そうだ! あかりさんも来ませんか?」
きず「急に行ったら流石に迷惑じゃない……?」
ウナ「それなら大丈夫、私もいつも勝手にお邪魔してるから」
きず「それはそれで……まぁ断る理由もない、か」
きり「それじゃあ遅れる前に行きましょう!」
きず「ご家族にはなんて説明すればいいんだろう」
きり「なんとでもなりますよ、ほらほら、支度して」
ウナ「そうだぞ、遅くなったらちゅわられるぞ」
きず「ちゅわられる!?」
きり「初対面の人にはあんまりやらないですよ」
きず「あんまりってことは可能性あるの!?」
ウナ「それはあんまりだよねぇ」
きり「皆さん準備はいいですか? それじゃあ、しゅっぱーつ!」
全員「おー!!」
~終~