【ハマ本】18メートルの夢
各種ののりもの絵本を手掛けている鎌田歩による絵本。今度の乗り物はモビルスーツ!というとちょっとずれるか。
タイトルだけだと分からないが、横浜の動くガンダムをテーマにした絵本。ガンダムファクトリーヨコハマ公式絵本であり、同ショップで各種ガンプラとともに販売されている。
しかしISBNコードがないせいか書店での注文はできずアマゾンでも現在取り扱っていない。バンダイの通販サイトからは買えるらしい。企画発行はサンライズ。KADOKAWAが協力している様子。
この山下埠頭の動くガンダム、終わる終わる詐欺で2回延長したが、いよいよ今年度末での終了が確定した。つまり来年春まで。大阪万博にガンダムパビリオンとやらを作ることになったのが関係しているのかもしれない。
鎌田歩の乗り物絵本は電車、車、飛行機、船といろいろあるが、描かれる乗り物のリアルな絵が特徴。ヘッドライトなどが目になって擬人化されているものもあるが、目線による表情がつけられていてもフォルムはあくまでリアル。ちなみに清掃船を取り上げた絵本は横浜港が舞台だった。
最初の一文で、レイくんのお父さんは、とあり、男の子と父親の絵。スルーしそうになるが、この男の子が幼いアムロ・レイっぽい。プログラムの技術者らしい眼鏡の父親もテム・レイっぽいかも。後に出てくる母親らしき人物もそういえばカマリアっぽい。
父親はじめこのガンダムファクトリーの人たちのかぶるヘルメットにはAEのロゴがついている。アナハイム・エレクトロニクスのロゴ。作中でガンダムを開発した北米の企業。実際どうなのかは知らないが、バンダイのガンプラ工場が連邦軍ぽい内装にしてたりするというから、ありえなくもない。アナハイムというと元祖ディズニーランドのあるディズニーファンの聖地だが、ガンダムファンには別の意味での聖地かもしれない。
アムロと言えば名探偵コナンの人気キャラ、安室透こと降谷零はアニメでの声がアムロ・レイ役の古谷徹。さらにその敵役の赤井秀一の声は赤い彗星シャア役の池田秀一。その偽名や妹の名前とかさらに派生するが、つまりはコナンの原作者もアニメスタッフも相当なガンダム好きなのだろう。声優さんがけっこうな年でも若々しい声を出せるのも驚異。
脱線したが絵本に戻ると、鎌田歩は乗り物などの機械を描くのは見事だが人物はというとちょっとなところがある。乗り物絵本でも人物には顔が描かれてなかったりするものもある。父親がガンダム(ここではファーストガンダム)がどういう作品か説明する場面があり、ガンダムキャラも描かれているが、まぁ頑張ったかな、と若干微妙な感想。
また、動くガンダムのお披露目シーンには、観客にフラウ・ボウにカツ、レツ、キッカさらに富野監督っぽい人物も描かれる。そうと分かるだけでもよく描けていると言っていい。
また、このシーンは周囲の風景も含めて描かれ、みなとみらいのシルエットや大さん橋の大型客船も出てきて横浜にあることを実感させてくれる。
そして、いきます!の掛け声がガンダムらしい。その次にレイ君が、うごいた!と言うが、さすがに子どもに、こいつ動くぞ、とは言わせられないか。
このいざ動くというシーンでの各部の擬音が鎌田歩絵本らしさ全開。車や電車の絵本でも独特の擬音でリアルに再現する。
また、いろいろなアングルから捉えたカットが、実際には見られない角度(例えば真上)からのシーンもあり、満足度が高まるというかお得感がある。
この絵本、ターゲットはどこだろう。ガンダムファクトリーのグッズの一つという意味では、それこそガンダム世代のお父さんが家族で訪れて子どもに読んでやりたくて買う?
ガンプラで遊んだ世代が長じてガンダムを動かしたいという想いのもとに結集し実現させたというストーリーはノンフィクションでもあるが、絵本としてのターゲットはかなりニッチかもしれない。
終わる終わる詐欺もいよいよ今年度末までとなった横浜の動くガンダム。入場は有料だが、実は近くまで行けば毎時00分30分の動くところも外から普通に見られる。年末年始の街ごとライティングのヨルノヨとの連動などむしろ外から見るのもいい。インバウンド狙いがコロナ禍丸かぶりとなって思ったほどの集客はできなかったかもしれないが、見るならあと数ヶ月、ガンダム好きなら見ておきたい。
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