4. FCって結局何?
さて、さすがにそろそろ「FC」とは何かを説明したいと思います。しかし、これが意外に難しいのです。
最初のnoteで書きましたように、FCとは「Facilitated Communication」の略です。直訳すれば「介助されたコミュニケーション」のような感じでしょうか。
大ざっぱに言えば、このFCとは「介助者が文字盤やキーボードを持つなどして『介助』し、話すことのできない障害者に会話をさせる方法」です。
問題はこの「介助」の部分にあります。
例えば想像してみてください。あなたの前にはパソコンのキーボードがあり、あなたは人差し指を伸ばしてそれを入力する姿勢を取っています。すると横から人がやってきてキーボードを動かし、あなたの指先に勝手に文字を押させようとするのです。
FCとはそのような光景のことだとお考えください。
あなたはきっと「なんでキーボードを動かすの! 私はそんなことタイプしてないよ!」と言いたくなることでしょう。
でも、あなたに知的障害があったり、自由に体を動かせなかったりしたら? 果たしてうまく不満を表現できるでしょうか。自分の言葉でないものが自分の言葉として、勝手にタイプされているという事実に気付けるでしょうか。
もしうまく「タイプ」できると介助者が褒めてくれるとしたら? もしくは、うまくできないと怒られるとしたら? なんだかよく分からないまま、介助者の動きに合わせて指を動かしてしまうかもしれません。
それが「FC」です。
そんなことが行われているとしたら、あなたはどう思いますか?
そんなことが起きているのに、「すごい! 知的障害があると思われていたのに、ちゃんとタイプできている!」「彼らの内面は理知的で、知能の障害なんてなかったんだ!」と讃えられているとしたら?
きっと立ち上がってこう言うのではないでしょうか。
彼らはタイプしてないよ!と。
それが私の言いたいことです。
……続きはまた。