「トリック」は見えない
さて、前々回と前回の記事ではFC(S2C)のトリックを解説しました。
では、なぜこれを目の当たりにした母親たちは真実に気づかないのでしょう。
それは、人間の観察力がまるであてにならないものだからです。
言葉がないと思われていた自閉症の人間が鉛筆でステンシルボードの文字を指していく。その光景を見た人間の意識はこうなります。
鉛筆が文字を指す動き以外は「見ていても目に入らない」のです。
手品師の話を思い出してください。あなたは初めて見るプロのマジシャンのトリックを見抜くことができますか? おそらくできないでしょう。できないからこそ彼らの職業は成立しています。
彼らは例えば、手に持ったカードなどの、ある一点に観客の注意を集めます。そして、その間に別のところでタネを仕込んでいるのです。その間、私たちの目は節穴になっています。
そうです。私たちの目は節穴です。色々なものを見ているつもりでも風景の一部にしか意識が行かず、車や自転車を運転しているときには、しばしばヒヤリとする経験をします。
あなたの目が節穴であることを知りましょう。
それがトリックに気付く、第一歩になるのです。
……続きは未定。