"月を読む"先に見えるもの【時候コラム】#2
新年快乐!
2月10日午前7:59(日本時間)は新月で、旧暦では新年を迎えます。
太陽の周期のみに合わせたグレゴリオ暦とは違って、旧暦は月の周期とも合っていてちょっと憧れる部分もあります。
月着陸機SLIMが太陽光を浴びて活動する期間を終え、次に太陽光が当たる期間になればまた活動し出すかもしれないと言うとき、「月面上で次に太陽光が当たる期間」を言うのに「来月」という言葉が既にあるのは、なんだか月面文明を築くポテンシャルもあるようで素敵だと思います。
来世紀くらい、月面開発が進んで月との交信の重要度が増したら、月面の1日との互換性から、太陽太陰暦が世界的に使われるようになるかもしれません。
(以下、ありあわせ的な太陽太陰暦雑学)
太陽の周期1周を1年、月の周期1周を1月とする太陽太陰暦を考えると、メトン周期や章法の暦という考え方にまず行き当たります。
太陽の周期は365.2422日で、月の周期は29.53059日(ここでの日は、セシウム時計で定義される秒の86400倍の、天体とは関係ない時間の定義値)なので、月の周期12周分では1年ぴったりにはなりません(29.53059×12=354.3671)。何年か経つ間に、足りない分は閏月を入れて調整するのですが、19年周期まで待てば、月の周期235回分でほぼぴったり合うのです(356.2422×19=6939.6018, 29.53059×235=6939.68865)。月の周期235回分は、235=12×19+7なので、19年のうちに閏月が7回入るということです。
この19年周期のことをメトン周期または章と言い、19年のうちに7回閏月を入れる暦法のことを章法と言います。
章法の暦はかなり正確なのですが、19年で約0.0867日、219年経つと1日分ずれるので、その補正を入れた暦が今は使われています。
太陰暦を採用している地域は、中国以外にもインドやイスラム圏など世界中にいくつかありますが、この小さなずれの補正方法や閏月を入れるタイミングは地域によって差があります。
太陰暦は、月の形とその月の日付が対応しているので、暦を知ることを「月を読む」と呼んでいた時代が日本にはありました。
今は月着陸機SLIMが注目されていますが、今後も人類は宇宙進出のための重要な拠点として次々と月面を開発していくことでしょう。人類がこのまま平和に発展を続けていけば、またしても、月(との交信)を読むのが重要になる時代が来るかもしれません。
そんなことを考えながら、この記事を旧正月に投稿します。
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