『みれロア』に見るVtuberとファンの溝
こんにちは。
突然ですが百合営業は好きですか?
百合と一口に言っても様々な解釈がありますが、僕は女性同士の強い関係性は全て百合だと思っているので、その前提で進めます。適当に「てぇてぇ」とか読み替えてください。
にじさんじの百合営業
にじさんじの躍進に大きな影響を及ぼしたコンビがあります。それが「月ノ美兎&樋口楓」の通称『かえみと』です。生きた百合にオタクたちは熱狂しました。そして時は流れ、現在では「リゼ・ヘルエスタ&アンジュ・カトリーナ」の『リゼアン』や「でびでび・でびる&鷹宮リオン」の『でびリオン』などたくさんのコンビ、グループが生まれました。
そのなかでも、前述の人気コンビに引けを取らないコンビがありました。それが今回の本題、「郡道美玲&夢月ロア」の『みれロア』です。
みれロアの始まりと終わり
2人は同時期にデビューしました。デビュー直後から郡道美玲の家に夢月ロアは居候しているような半同棲RPをしており、Twitter上や配信で繰り広げられるRPの“生感”で多くのファンを集めました。
これで終わるなら良かったのですが、もちろんそうはいきません。郡道美玲は下ネタやがめつい話もするタイプ。夢月ロアはかわいいマスコットタイプ。夢月ロアのファンから反発があることは想像に難くありません。
そして、7月頃からTwitterでも配信でも絡むことはなくなりました。
「不仲になったのではないか」「またみれロア配信してください」「なんでロアちゃんと絡まないんですか?」
たくさんの声が届き、うんざりしたのでしょうか。先日、郡道美玲が自身の配信で『みれロア』について、こう話しました。
「あの子はアイドルだし私はAV女優みたいな感じなので、お互いにとって公の場で関わることがメリットがないので公の場では関わらないですね。」
これに対し堰を切ったように夢月ロアも配信で「先生は好きだけどロアが関わって悪く言われて先生に嫌われるのが怖くなってしまった」という意図の発言をしました。
ここからは僕の考察になります。
今回の一件はファンの暴走に焦点が当てられがちですが、実際何が問題なのか一つずつ考えていきましょう。
※郡道美玲、夢月ロアに対して攻撃する意図はありません。
にじさんじと夢月ロア
まず始めに、にじさんじと夢月ロアは致命的に相性が悪いです。
自由な配信スタイルと横の繋がりで人気を得たにじさんじ。対して夢月ロアはしっかりとRPをし、関わる人を巻き込んだ“夢月ロアの世界”を作っています。デビュー当初にしていた半同棲RPがそれにあたります。
「人と関わる」という点ではにじさんじの文脈に沿ってはいるものの、RPに巻き込んでしまう点で相手の自由を奪ってもいます。
似たにじさんじの例を挙げるなら、出雲霞、卯月コウ、鈴木勝からなる「おなえどし組(OD組)」でしょう。OD組は出雲霞の「人格が5つあるAI」というRPに巻き込まれる形でオリジナルストーリーを展開していました。ですが、普段の配信ではそれぞれが好きなように活動し、「OD組」として活動するときだけ3人でRPをしています。切り替えの良さがOD組が長く活動できている一つの理由でしょう。
物述有栖のように一人でガチガチのRPができるなら別ですが、そうでない場合にじさんじでRPをする割合が減るたび、RPをするメリットは少なくなっていくのです。その点、御伽原江良がデビュー早々にRPを投げ捨てたのは、賢いとしか言えません。
正直、夢月ロアのRPに付き合って配信をするのは骨が折れそうです。見ている分にはかわいらしいのですが......。
始めの失敗として「夢月ロアの活動スタイルはにじさんじでやるべきではなかった」があります。
大勢でのRPが成り立っているのは.LIVEくらいかと思います。
ファンの暴走
次に原因となるのが攻撃的なファン。これは議論の余地無く悪です。
気持ちはわかります。僕も好きな女性Vtuberが男性や系統の違うVtuberとコラボしていると歯を食いしばっています。でも、それで直接「関わるな!」だの「イメージ悪い!」なんて言いに行きません(ツイートで零すことはあるかもしれませんけど)。
ですが、悲しいことに言ってしまう人もいるんですよね。
これはマシュマロを開きっぱなしにしない、DMは閉じる、心無いリプライはミュートする等の自衛をするしかありません。
攻撃的でなくとも「○○ちゃんとコラボしてほしい!」という善意が、時に棘にも成りえます。これについては次で。
2次元コンテンツとして生きるということ
最後に、みれロアに対して「コラボしないの?」「またコラボしてほしい!」と長きにわたって言うファンがいたこと。これが夢月ロアの心理的負担になっているように見えました。
逆に聞きたい。何故言われないと思っているのか。
Vtuberはコンテンツです。いくら配信者に近づこうとも、キャラクターを介している以上2次元コンテンツの域を出ません。好きなコンテンツの続編を望むことの何がおかしいのでしょう。
コンテンツを提供した以上、選択肢は「続編を出す」か「終わらせる」の2つしかありません。『みれロア』はどちらでもなく、保留のまま別の作品が出ている状態でした。一度の批判を耐えてでも「先生/ロアからの卒業配信」でもやればファンも落ち着いていたかと思います。
おわりに
夢月ロアは何も悪くありません。にじさんじの環境と合わなかっただけ。
きちんと終わらせることにはならず、監督死去で続編が一生でないような結末になりそうなのは少し寂しいです。
配信者と視聴者のギャップが今回のような“事故”を起こしてしまうのだと思います。
おそらく配信者側は気軽な気持ちで百合営業しています。ですが、視聴者からすればコンテンツでしかありません。日常アニメと下ネタアニメは同居できないのです。
友情、愛情、悲壮、恐怖、嫉妬、憤怒。
人から人へ向けられる、あらゆる感情がコンテンツになる。それが現在のVtuberの恐ろしさであり、人々を魅了する点なのでしょう。