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みたらしの思い出

昔ながらのお団子屋さんがずいぶん減ってる。
なのに、なぜか高いのがデパートで売ってたりね。
スーパーにある3本100円の団子もいいけど、やっぱりお団子屋さんには敵わない。
子供のころ、ヤマザキのみたらし団子が大好きだった。
最後スプーンをパックに突っ込んで、あの甘辛いタレを舐めてたし。
あの味は「売ってるもの」でおうちでは出てこない味だと思っていた。

今となっては大昔だけど、田舎の祖母が亡くなった時。
田舎だったし昔だったので葬儀場じゃなくて自宅で通夜・葬儀をやった。
枕元にはいろいろお供えが必要らしく、昨日亡くなっていつ準備したんだ?ってくらいいろんなものが置いてあった。
その中にあった白玉団子。
さすがに白玉粉1袋は使わなかったので半分くらい余っていた。
子供たちはヒマもヒマ、見たことない・どんな関係かわからない大人もたくさんいて、何をしたらいいかわからなかった。
農具とか置いてあるような納屋を作業場にして、そこで弔問客に出す食事やお茶を用意していたと思う。
私はそこでどうしてか、余った半分の白玉粉を水で練って白玉団子を作ってた。
そしたらそれを見つけた親戚のお婆さんが、

茹でてやろうか?

と言ってさっさと茹で始めた。
でも味のない白玉、どうしよっかなぁと隣で見てたら
茹であがった白玉団子の水気をさっさと切って、
鍋で醤油と砂糖に絡めてあっという間にみたらし団子を作ってくれた。
もうびっくりよ。

みたらし団子ってお店で売ってるんじゃないのかー!!!

あのお婆さん、誰だったかわからないけどそれまでで食べたみたらし団子の中で一番おいしいみたらし団子だった。
味見もせず分量も計らず。
すごいよな、あの時代の人が作るものって。
大人になってからお菓子の本でみたらしのタレの作り方が載っていて
何回かやってみたけど再現できない。

地元の団子屋さんも年々数が減ってきて、今じゃ残ってるのは1つだけだ。
おいしいんだけどあのお婆さんが作ってくれたみたらしとは違う。
思い出補正が入ってるのはわかってるんだけど、もう子供のころの話だし、当時かなり高齢に見えたあのお婆さんはきっと亡くなってるんだろう。

あのお婆さんのみたらし団子が1位。
2位は部活で顧問の先生が差し入れてくれたみたらし団子。
この差し入れのみたらし団子もどこのお店かわからない。

どうして思い出の味って二度と食べられないものなんだろう。
よし、今度の週末は懐かしいものを食べに行こうか。

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