さみしさ。


リモートワークで自宅で仕事することになって気付いたこと。
近所に古いアパートがある。
そこにアジア系の海外の女性が住んでる。
彼女はいつも全部の窓を開け放して大音量でラジオか何かを聴いてる。
空気のいい季節に窓を開けてるとハッキリ聞こえる。
内容はわからないけど、流れてるテンションから察するに、
音楽番組、ラジオドラマ(?)、ニュース、バラエティー。
ジャンル関係なく同じラジオ局をつてけるのかな?
でもたまにザッピングしてるみたい。
半年くらいして「コップンカー」と言ってるのが聞こえた。
半年経って彼女がタイ人と判明した。

またしばらく経って、旦那さんがいることがわかった。
大喧嘩をしていた。
何か家の中のものが壊れたらしく、
どうするんだ、金なんてないぞ。
近所中に聞こえていた。
夫婦喧嘩なんて目の当たりにしたことなかったから、興味深く聞き耳を立てていた。
旦那さんはめったに姿を見ないからあのアパートの1Kに二人住んでることを知らなかった。
どうやらアパートの前に停まっている古い大きいセダンが旦那さんの車だったみたい。
その旦那さん気分転換のためか外に出てきた。
ちょうどご近所の方が散歩か何かで通りかかり世間話を始めた。

奥さんは近所の介護施設で働いていたけど
コロナのクラスターが出て失職してしまったらしい。
それって失職にまでなるか?と疑問だったけれど、なったのはしょうがない。
だからずっと自宅でラジオを聞いているのか。
そして旦那さんが稼いでいるのか。

彼女はたまに電話もしている。
そのときはラジオを切って、その代わりラジオと同じくらいの音量で
母国語で長電話をしている。
話している内容はわからないけれど怒っていることが多い。

先日、買い物に行った。
私の中であまりタイ人に会うことがなかったので、タイ人と言えばご近所の彼女だ。
ブティックみたいなところにタイ人と思われる男性3人がいた。
とても落ち着いた雰囲気で静かで、にこやかに会話をしていた。

それを見たとき、急に「そうか!」と思った。
もし、私が海外で現地の人と暮らすようになったらきっと日本が恋しい。
母国語が聞けるならなんでもラジオをかけるだろう。
音量は気分がまぎれる。
私もドライブするとき、高速とか田舎の車がよく流れる歩行者のいないところは音量大きめに音楽かける。
音かさみしさを埋めてるんじゃないか。

それにしても。
コロナ禍になって3年目。
自宅で仕事しているだけで、こうやって意外と知らなかったことにだんだん気付いていく。
私の車も平日は駐車場にずっと置いておくようになったし、
ご近所さんは私が失業してると思ってるのかかもしれない。
見え方と実態って結構違う。





そうするとタイ人の彼女は…。

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