懐かしの国鉄急行で行く日本海の旅
えちごトキめき鉄道は旧信越本線の一部(妙高高原~直江津)と旧北陸本線の一部(直江津~市振)を運行している第三セクター鉄道である。休日には懐かしい国鉄の車両で観光急行が直江津~市振間で2往復運転されている。今回は、その観光急行に乗車することをメインとして出かけてきた。
9:33 妙高高原駅に国鉄型車両が入線
急行列車として運転される前に、朝の直江津~妙高高原区間の一往復に国鉄型急行が充てられていると情報を得たので、一足早く乗車することにした。
楽しみにホームで待っていると、本当に国鉄型車両が現れた。令和にこの光景が見られるとは感激だ。
9:39 妙高高原駅出発
ゆっくりと動き出した国鉄型車両。カタカタと良い音を立てながら高原を駆け下りていく。
梅雨で天気がはっきりしないこの時期だが、この日はすっきり青空となり絶好の天気だった。
青い空と緑の田んぼの大自然を見ていると、妙にイライラしていた心が安らかになってきた。
10:13 上越妙高駅下車
ここで少し変化球。一日中、国鉄型車両に乗っていてもあまり面白くないので上越妙高から直江津はJR東日本が新井駅から新潟駅まで運行している「特急しらゆき」に少しだけ乗車することにした。妙高高原駅で貰ったポケット時刻表を見ていたら、うまく接続できそうだったので急遽予定を変更した。
10:33 上越妙高駅出発
ホームで待つこと約20分、特急しらゆきが入線してきた。4両編成の特急なので、混み合っているように見えた。
自由席に乗車。席に「チケットホルダー」があった。
私も一応挟んでみた。が、逆にここに忘れてしまいそうで、撮影した直後、すぐに財布へ収納した。
よく揺れる車両だった。
定刻通り直江津に停車し、下車する。いよいよ国鉄型急行に乗車する時がやってきた。
直江津駅にて
車内清掃中の国鉄急行。その間に写真を撮るが、海辺の近くだからだろうか、とても蒸していて暑かった。
11:31 急行一号「加賀」 直江津駅出発
カタカタと音を立てて急行は出発した。車掌さんの車内放送で「急いで行かない略して急行列車です」と案内があった。時刻表には無いが途中の能生駅で停車すると知った。乗務員さんから乗車記念証を配布。
青々とした海。
「有間川」という駅を通過中。一日の利用者数は一桁だが、えちごトキめき鉄道管内で最も絶景の駅だという放送があった。いつか降り立ってみたい。
有間川からは山がちな地形が続きトンネルが多くなる。例えば、有間川の次の「名立駅」はトンネルとトンネルの間に囲まれた駅だ。「名」が「立」つことから縁起の良い駅として知られているらしい。私も2023年5月に訪問したことがある。
名立駅の次は「筒石駅」であるが、この駅はトンネル内に駅舎が設置されているいわゆる「モグラ駅」。この駅は、この旅の復路で立ち寄ったので別記事で記述する。
さて、トンネルを勢いよく駆け抜けた急行は能生駅に到着する。約15分程度列車を降りて休憩。
ホームでは地元の人による鱒寿司の販売が行われていた。地域ぐるみで歓迎してくださってとても嬉しい。
写真撮影など停車時間を各々楽しむ。
方向幕が上野になっていた。停車中の粋なお遊び。
今度は広島に。このままこの車両で行きたいなあ・・・広島まで。
能生駅の様子。日差しが強烈に照り付け、暑かった。この時はまだ梅雨だっただが、まるで夏のような空模様だった。
地元の方のお手振りを頂き能生駅を出発。
この先もしばらくトンネルが続き急行列車は元気よく走行する。
しばらくすると糸魚川駅に停車するが、その前に『デッドセクション』と呼ばれるところがある。直流と交流の電気の切替えスポットで、電気で走る車両であれば一時的に車内の電気が消える区間だ。通常、えちごトキめき鉄道ではディーゼル車を走らせているのでここは無関係であるが、国鉄車両は電気で走っているので車内の電気が一時的に消える。区間に差し掛かると、本当に車内灯も冷房も何もかも消灯され、数十秒したら点灯した。ゴゴゴ・・・と再び冷房がかかる音は素晴らしく良かった。
デッドセクションを通過した後、糸魚川に12分ほど停車。車両撮影は先ほど済ませたので、車内を歩いてみた。
中吊り広告。国鉄時代のもので芸が細かい。
車内にあった路線図。これも国鉄時代のものだ。
どこを見ても、令和は感じられない懐かしい仕掛けが施されていてとても良かった。
糸魚川を出発。
すぐに、市振方面進行方向左手に雄大な山々と清らかな河川が見えてくる。いかにも夏らしい風景だ。ここでは列車の速度を落として運転してくれるので、景色を堪能できる。
鉄橋を渡り終えると、次は進行方向右手に海が見えてくる。真っ青な日本海と深い緑に茂る草木。素晴らしい景色だ。
ここでも速度を落として運転。
親不知駅は昨年11月に訪問した。
冬の気配もあって少し恐ろしい感じがしたのを覚えている。かつては難所で何人の命が落とされたのだろう・・・と考えると鳥肌が立った。また、その荒々しい波と寒さから北の国の工作員がいるのではないか、という訳のわからないところまで考えが及んでしまったことも思い出す。今回は、下車しなかったこともあるが、その時とは違う明るい印象を受けた。季節が巡っているのだ、と至極当たり前のことを痛感した。
しばらくして終点の市振(イチブリ)駅に到着する。
市振で約20分ほど停車し、折り返し急行2号として直江津へ戻る。
ちなみに、今年3月に市振駅を訪問した時の記録は以下。(私はこの日本海ひすいラインが好きすぎて、何度も訪問しているのだ。)
帰りの急行2号は糸魚川まで乗車することにした。それまでしばし撮影タイム。
海辺の駅であり、湿った風が吹きつけるため暑かった。
この後、糸魚川まで乗車し普通電車に乗り込み次の駅へと向かった。
(続く)
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