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笑う膝

雷雨から一転の快晴。
白いアスファルトに点々と黒い水たまり。

涼しい。
Apple Watchもまだ眠っている時間。
何度か長押しする。

今朝は
最初から1kmにとどめることにして
走りはじめた。

走らなければいけないと考えなければ気分は軽い。

ロキソニンでおさまった右の膝は
意識を向ければ些細な違和感が押し返してくる程度の状態に回復している。

最大酸素摂取量はあげられるかわからなかったけれど
とりあえず最後の直線ペースはすこしだけは上げることができた。

むかし見た大人も
本当は
こんなに辛い思いをしていたんだろうか。

なんでも
楽しそうに気楽に思えていた。

ああいう風になりたくないと思っていた。

そして願いが叶い
今はまったく楽しくない。

楽しそうに生きられないものかな。
私が生きることを諦めればたぶん楽しくなるんだろうな
そういう言葉が頭で跳ねた。

ゴールして呼吸を整える。

一戸建ての窓が開く音、私はそちらを見ない。

膝が笑った。

せめて膝だけでも楽しそうにしてくれ。

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