派遣制度こそないものの
こんにちは。職探し中なのもあって、ふらふらした毎日を過ごしています。日本では派遣社員なんて言葉をよく耳にしますが、ドイツにはそういう制度自体は存在しないようです。
ただ、日本と同様フリーランス業は存在します。コロナ禍の前は、日本人の移住フリーランス系のインフルエンサーが流行っては炎上し、また別の方が炎上し、ちょっと怖いサイクルに陥っていた記憶が強く残っています。滞在許可証などは、特に火がつきやすいトピックなので…。
もちろん職探し中の身としては、手に入る賃金があるならどんなチャンスも掴みたくなるものですが、決して手放しでおすすめできる職種ではありません。今回は、日本人がドイツで職探しすることを念頭に、いくつかフリーランスのデメリットを検討していこうと思います。
①滞在許可証
なんと言っても、この問題が一番の足枷になると思います。今まで一度だけ見た特殊なケースに、配偶者がブルーカードを所持しているためどんな仕事も請けられるというものがありました。
そうでない限り、学生はフリーランスとして働くには特別な許可が要りますし、フリーランス向けの滞在許可証は必要書類が山のように多く申請のハードルが高めです。無期限の滞在許可証があれば事情は変わって来ますが、ドイツに来て数年経たないと申請もできないので、こちらも難易度高めです。
②社会保険料
ドイツの公的社会保険は、とにかく手厚いです。その分保険料も高い。雇われの身であれば通常半分は会社が保険料を負担することになっているのですが、フリーランスの場合は違います。収入が増えれば増えるほど保険料も上がり、計算もものすごく複雑です。地味に額も大きく、何より情報収集に時間がかかります。会社勤めなら、このあたりの事務作業は負担してもらえるのですが…。
駆け出しで月に800ユーロしか稼げなかったとすると、保険料は約220ユーロ(27.5%)。高い!仮に事業が波に乗って一月5000ユーロ稼げたとすると、保険料だけで930ユーロ(18.6%)払うことになります。そのあたりから保険料は頭打ちになるので、これ以上稼ぐ場合はそんなに心配がいらないのかもしれません。それ以前に、そんなに稼げるか心配する必要がありますが。
③税金
社会保険料と並んで頭が痛いのが税金です。ドイツでは、雇われの身の場合は確定申告は任意ですが、フリーランスは義務になります。この計算がまたややこしいこと。ドイツ語が流暢でも、普段触れない税金関係の用語はかなりエネルギーを消耗します。かつ、web系の確定申告サービスも使えないことになっているものがほとんどで、税理士の人に依頼するための費用を必ず頭の隅に置いておくことになります。これがまた高いしメンドクサイ…。
事業が波に乗らず、一年間ずっと毎月800ユーロ稼いだとすると、収入税は免除されます(年収11604ユーロ以下まで)。波乗りまくりで毎月5000ユーロ稼ぎ続けられたら、一年あたり14700ユーロ近く払うことになります。税率は恐怖の35%にまで上ります。
ちなみに、年収66761ユーロ以上227825ユーロ以下で42%の収入税を払うことになるそうで、それ以上の稼ぎがあると税率45%とのこと。ただし、227825ユーロは日本円換算すると約4400万円なので、当分心配の必要も無さそうですね。
④事務作業
フリーランスなので、毎月決まった額が振り込まれるのではなく、契約先に請求書を書いて自分で管理する必要があります。保険料と同様、固定の勤め先があれば労力を使わないでいい仕事です。諸々の作業を苦痛に思わないタイプだと自認していても、計算、入力、etcは思ったより時間を取られます。
⑤銀行口座の管理
最後に、金銭系のトラブルを事前に防ぐために、仕事用の口座とプライベートの口座を分けておくのが吉です。私は何度か滞在許可証の申請のために銀行口座の履歴の提出を求められたことがありますが、はっきり言ってめちゃくちゃ心理的苦痛が大きいです。
口座を分けていれば、必要最低限の情報を提示するに留まるので楽ではありますが、ビジネス用の口座を申請したり、これまた労力がいるのです。
今思いつくのは、ざっとこのくらいです。フリーランスは勤め先があれば避けられる作業だらけでとにかくめんどくさい、この一言に尽きます。
唯一メリットを感じるのは、本業の勤め先と並行して副業としてフリーランスになる場合。ドイツ語でこの状態はnebenberuflich selbstständigと言います。ただ、社会保険料関連が少しだけ楽になること以外、他の事務作業は必ず伴います。
他人、特に日本から来たての人にドイツでのフリーランス業を薦めるかと言われたら、NOと即答します。そのぐらい面倒なので、移住ビジネス関連の人の甘い言葉には惑わされないことをおすすめします。
一年目は良くても、特に辛くなるのは二年目ですよ!
⚠️値は2024年を基準にしています。法律的な内容をカバーしているわけではないので、あくまでも参考程度にお願いします。
追記
⑥ 年金
職種によっては免除されることもありますが、フリーランサーも年金に加入する義務があるようです。稼ぎが一月あたり520ユーロまでは免除されるそうですが。ざっと調べて出てきた額は、収入の約18%。社会保険料に含まれる分との棲み分けがどうなっているのか詳しく調べてみます。フリーランスおそろしや、こんなのを人に勧めるなんて鬼の子か?👹