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ウェスト・エンド ミュージカル類比較

今回のイギリス旅行の一番の目的といえば、なんと言っても観劇。高校生の時一人で観に行った劇団四季の「ウィキッド」にガッッッッッツリ心を掴まれて以来、岡村美南さまのファンです。キャッツのジェリーロラム/グリドルボーンと同じ人と気づいた瞬間頭の中で何かが弾けました。DVDの夢醒めピコで存在は知っていたのですが、まさか本人を(2回も!)目にかかることができるなんて。ちょっと気になって検索してみたら海外大卒業と知って涙😭同じだ〜。まだ現役でいらっしゃるのかな?

話は逸れましたが、ちょうどウィキッドの映画を観に行ったので、気分が上がって勢いでロンドン行きを決めました。ウィキッドに行くのは決定事項として、他にどれを観に行くか迷ったのでいくつか比較レビューしようかと思います。普通の旅行だとおそらくそんなに劇場に通いつめたりしないと思うのですが、いちファンとして全力でミュージカル旅行を推していく所存です。旅行前にいろいろ下調べする気力があんまり残ってなかったのですが、探せばいろいろブログ記事も見つかるんだろうなと思います。

今回観に行ったのはこちらの4作品。超メジャーどころです。

  1. ウィキッド

  2. レミゼラブル

  3. オペラ座の怪人

  4. ハリーポッターと呪いの子(特別枠)

呪いの子だけミュージカルではないのですが、行くか迷う人もいるかもしれないので一緒に入れています。とりあえず、各作品の感想から述べていこうかと思います。個人的ランキングも下にありますよ。

ウィキッド

緑の世界は圧巻で、「エメラルドシティ」や一幕(=前編映画)最後の盛り上がりも半端ないです。衣装も綺麗。とにかく好きの一言に限る。舞台ならではのコンパクトさとワクワク感で、10年以上前の日のことを思い出しました。来てよかった。映画の次回作タイトルになっている「For Good」は感涙必至です。私は「Thank Goodness」が好きですが。英語版は歌詞がいいので興味がある人は聴いてみてください("There are bridges you didn’t know you crossed until you’ve crossed"とか)。映画が好きで早く続きが見たい人にもオススメだし、なんかもう全体的におすすめです。一幕も見せ所満載なのですが、二幕は特にすごい。エレカナーメン。
ただ、悲しすぎることに単純に席選びでやらかしました。二階席最前列を取ったつもりが、なんと一階席最後列を取ってしまっていたおとぼけさんはこちらです。舞台から遠すぎたせいで感動が薄まっている気はしますが、1ポンドで借りられる備え付けのオペラグラスで気持ちをごまかしました。

ドラゴン時計、一切見えず。えーん。

レミゼ

開始一分で生歌のクオリティに大感動。全体的に舞台装置も照明も衣装もすごいです。とにかく幕の切り替えがスムーズ。技術力とチーム力の勝利といった感じで、演出も舞台向けに洗練されています。これもロングラン公演ならではでしょう。どのキャストも粒揃いで、もうものすごい歌唱力と迫力。これが見たかった〜!って感じでテンション爆上がりでした。あとは、ちょこちょこ挟まれるテナルディエ劇場には会場も爆笑。重いシーンが続きすぎるだけに、ひと笑いできて助かりました。特にガブローシュ役の子がめちゃくちゃ演技派だったので、落差がじーんと響いてねぇ(思い出すだけで泣ける)。
この会場は足場が広くて席が座りやすかったです。ただ、一番の感動シーンで後ろの人が普通の音量で話し始めるのでドン引きというか密かにガチギレしてました。1回ならまだしも、2回も!あなたが喋ったその瞬間、わざわざそのシーンを観に来てる観客が来てることも忘れないでほしい(激おこ)。

革命のリーダー・アンジョルラス役も、ピカイチの歌唱力でした。

オペラ座の怪人

いや〜、キモい。ひたすらにキモいよ怪人!このキモさが伝わるのは舞台ならではです。花嫁衣装のくだりも、基本ストーカーなところも嫌すぎる。「All I Ask of You」ではさすがに会場もざわつきました。何より視点の転換が上手すぎる。
映画版は金曜ロードショーの四季振替版を録画して何回も見返したのですが、同じシーンでもそんなにサブイボはできなかった記憶。怪人役のジェラルド・バトラー様がイケメンすぎていろいろ霞んでしまったのかもしれません。それとも、私が大人になっていろいろ気づくようになったからかな?
舞台にろうそくがニョキニョキ生えてきたり、船で移動したり、シャンデリアを使った演出があったり、その場にいるからこそ良さが伝わる舞台装置には脱帽です。
オペラのシーンは、やはり生の劇場にいるだけに臨場感が違います。映画版が好きな人も、絶対劇場で見たほうがいい。その昔、音楽の授業で劇場版の方のDVDを見せられたのですが、実際ロンドンに足を運んでみると、もう全くの別物でした。
コミカルなオペラのシーンは、なんとなく「セビリアの理髪師」とか「クセルクセス」の感じを思い出しました。「イル・ムート」が本当に存在するなら是非とも全編観てみたい。四季版の歌詞が直球で好きです。「愚か者笑わせるわ〜」って。

このシャンデリアがすごい。

呪いの子(⚠️微ネタバレ注意)

な、長い!観劇に慣れてない人、よほどのハリポタファンでもない人、英語の聞き取りはちょっと…って人にはぶっちゃけ短縮版がおすすめです。字幕版はたまにしかやっていないそうなので、不安な人はそちらの日程に合わせるのもいいかもしれません(チケット売り切れ必至)。メインキャラの一人、スコーピウスのキャラ設定はなかなかクセが強くて、好みが分かれる感じでした。
魔法の演出は本当にピカイチだし特に二部はパラレルワールドの話で楽しかったです。最近流行ってるんですかね?直近だと、「アーケイン」で似たような流れを目にした記憶です。夢小説感が拭えないシーンなんかもあったのですが、それはそれで面白かったです。原案は原作者だし。基本的にはハリポタを見たことがあり、かつ不死鳥の騎士団から死の秘宝までの流れを忘れていないことが大前提の作品です。
仕掛けが細かすぎて一部シーンではちょっとびびりました。すごい。いちゃもんをつけるなら、音楽が少し残念でした。版権とかそんな感じなんだろうけどせめてメインのあのテーマは聞きたかったよ…?あとは、舞台装置そのものは割と質素なのでどちらかというとマジックショーを楽しむ感覚で行ったがいいかもしれません。一部の最終シーンは最強でした。あれだけのために行ったとしても価値があったくらい。

そこはかとなく漂う中二病感。

それでは、こちらの4作品を分野ごとに勝手にランクづけしてみようかと思います。

舞台装置

  1. ウィキッド⭐️⭐️⭐️⭐️(今見るとわりかし質素)

  2. レミゼ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(豪華かつスマート)

  3. オペラ座の怪人⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(床の仕組みを知りたい)

  4. 呪いの子⭐️⭐️⭐️(至ってシンプル。場面転換のダンスは何だったんだろう…?)

演出

  1. ウィキッド⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(言わずもがな)

  2. レミゼ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(素晴らしいの一言)

  3. オペラ座の怪人⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(工夫がすごい)

  4. 呪いの子⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(ディメンター?壁!?)

おすすめ度

  1. ウィキッド⭐️⭐️⭐️⭐️(言葉が不安な人は四季盤を見てほしい)

  2. レミゼ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(全体の完成度がレベチ)

  3. オペラ座の怪人⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(最早軽めのホラーの域)

  4. 呪いの子⭐️⭐️⭐️(余裕があれば是非!)

最後に、いくつか関連情報をば。

会場

だいたいの劇場はSohoの近くに点在しています。中華料理屋さんも多いので、周りを散策しても楽しいです。私はビュッフェにトライしましたが牛肉の炒め物がおいしかった。おかわりしすぎてお腹がパンッパンになりました。お支払いは現金のみで16ポンド。

食いしん坊プレート。

ベルリンにあってロンドンにないもの、それは字幕。純粋に辛いです。なんて言ってるかわかんないんだもん!ただでさえ聞き取り苦手なイギリス英語なのに、舞台の言葉だからさらにクセが強いです。筆者は基本歌を聴く時は何語でも歌詞を見ないとダメなタイプです。文字を見るまで耳に入ってくる音を言葉の意味を意識できないんですよね。外国語ならなおさらのこと。

冬場はオシャレしづらいですが、みんな考えることは同じ。フツーの格好の人が多いです。入場の際は軽めの持ち物検査がありますが、あれで怪しいもの持ち込む人って本当にいるのかな?荷物を預けるのに1アイテムあたり1ポンドかかります。キャパシティが足りなくて預けられないことも多々。その代わりコートを中に持って行っても大丈夫です。小銭が無くても大丈夫。基本カードで全部支払えます。ドイツじゃありえない🤣

座席の選び方

基本は人数指定制です(賢い)。残席が一つになる席は買えないという制限があるらしく、目当ての席が取れないこともありました。
おさらいですが、Stallは一階席、Dress Circleは二階席のことです。基本的に、一階席後ろ側は二階席で視界を遮られるので注意。

ロンドンのミュージカルは割と劇場が狭めです。特に二階席一列は日本人女性平均身長ドンピシャの私でも膝の痛みを感じるほど。幅感としては、ベルリン州立オペラくらいかな?二階席は後ろにスピーカーがあるようで音量がすごいです。大きい音が苦手な方は一階席がベターかと思われます。

音楽

ウィキッドを鑑賞中、やたらとオペラグラスに映り込む頭がありました。なんだろこの人と思っていたら、オケピから出ている指揮者の頭でした。休憩中に覗きに行ったら、キーボードだらけで興奮しました。基本的に演奏隊は隠れていて、指揮者入場の拍手もなく唐突に劇が始まります。特に第二幕。

ドイツとの違い

観劇マナーは、イギリスのが圧倒的に低めな印象を受けました。オペラとはまた客層が違うしルールも何もかも違うあらゆる国の人たちが一堂に会するので。ほぼ映画感覚なようで、上演中に飲み食いできるのがすごいなぁと思いました。ベルリンのオペラでそんなことしたら追い出されるよ?
おしゃべりする人もめっちゃいます。本当にうるさかった。ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ何をそんなに話すことがあるんや??さすがに普通の音量で話す人のことは理解できません。
あと、俳優さんたちがロングトーンをピアノで歌い上げている最中でもお構いなし、曲が終わりそうと思った瞬間待たずに拍手する人の多いこと。気持ちは分からんでもないんです。素晴らしいんだもん。でも、こればっかりはオペラの幕中ノー拍手ルールを恋しく思いました。一回自分の家で同じ箇所を歌う練習をしてみてほしいです。どれだけ大変かわかるはずだから…。

チケットの取り方

なかなかお高いウエスト・エンドのチケット。結局いつ取ればいいのか悩む人も多いと思います。これに関してはシーズン的なものも大きいので、日程が決まったらチケットの売り上げ状況をチェックすべし。この季節は割と直前でも空いていました。定期公演の恩恵です。基本的に、日曜は休演のところが多めです(ハリポタ以外)。
ウェブサイトありすぎ問題も看過できません。各ミュージカルの公式サイトや劇場の公式サイト、ロンドンの演劇がひとまとめになったサイトなど、いろいろあるので混乱しますよね。あと、値段が高い!
もしいつ何を観に行くか決めていないなら、当日券サイトもありです。私は今回TKTSのサイトを利用しました。レスタースクエアにいっぱい代理店があるのですが、今回価格の検証はしませんでした。こちらのサイトでは当日午前0時から割引券が買えるので便利です。今回は一律値引き料金58ポンドでした。シーズンによっても違いがありそうです。こちらかサイトはキャッシュを削除しないと通常料金しか出てこなかったので、プライベートモードの利用を強くオススメします。https://officiallondontheatre.com/?src=tktstt

宿選び

今回は最後まで迷ってハイドパークに落ち着いたのですが、交通の便もよかったです。劇場からは徒歩圏外ではありますが、バス一本でホテルに帰れるのはありがたい。バス停からホテルまでは歩いて2分だったので、怖い思いもせずに済みました。
ウィキッドの会場だけ他の劇場群から離れていますが、こちらも交通の便はよし(ヴィクトリア)。ソーホーに泊まれたら楽かなと思ったのですが、夜はうるさそうです。
今回の旅では、ロンドンの規模感が掴めないままでした。同じ地区でも移動にめちゃくちゃ時間がかかったりして、普段コンパクトなベルリンに慣れている私はなかなか圧倒されました。

ロンドンのミュージカル観劇記録、これにて終了です。最近プライベートで大きな変化があったところなので、ちょうどいいタイミングで遊び倒せてよかったです。一人旅でしか実現できない自由さもあると思うので。

今回の訪問はメジャーな演目に留めましたが、在住者ならフラッと別の演目を見に行けて楽しいんだろうなぁと思います。次の狙いは、ミス・サイゴン2025年ツアー。アイーダとクレイジー・フォー・ユーも観れたら嬉しいです。キャッツも!

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