
Tristan und Isolde ー トリスタンとイゾルデ
劇場: Deutsche Oper
演出: Graham Vick
上演時間: 5:00 (休憩2回)
注意事項: PG16
鑑賞から一ヶ月以上経っていますが、この衝撃体験は文字に書き留めておかないといけないと思ったので、記憶を辿って記事にしています。トータル300分、休憩2回というワーグナーらしいしつこさ。ドイツ・オペラでの上演でした。
癖の強いファンが多いことで有名なワーグナー。ドイツでは未だにファンであることを公言することに躊躇いを感じる人も多いようです。数年前、怖かった教授(上司)にポロッとオペラ鑑賞の話をしたらワグネリアンだったようで、かなり距離が縮まったことがあります。それをきっかけに趣味の料理グループにまで連れて行ってもらって、かなり恐縮した日のことをふと思い出しました。
前述の通り歴史的なトラウマがあるためクラシックな演出はほぼタブーになっているワーグナー。ドイツ、特にベルリンで観に行く時には、か・な・り(!)奇抜な演出である可能性が高いです。数年前に鑑賞したタンホイザーのほぼ全裸ダンスで耐性が付いたと思っていたのに、文字通り目玉が飛び出す演出をまた目にすることになるとは。
今回の舞台は、クルーズ船。質素ではありつつ大掛かりな舞台装置になっています。愛の妙薬がドラッグというなかなかな演出。なんとなく嫌な予感はしていたのですが、見事的中。ガチ全裸の女性が脈絡もなく舞台に出現し、歌うことも踊ることもなくただ下手から上手に歩いて移動して行きました。お行儀よく静かにざわつく客席…。今までも、ほぼ裸で肌色のパンツを着た状態だとかスカートの中に顔を入れて致すシーンとか偽物の胸だとかいろいろ目にしてきたつもりでしたが、舞台で脱ぐ意味とは???さすがに前衛的すぎてよくわかりませんでした。
休憩中もちょっと変な空気になってざわつく会場。それで終わりかと思ったら甘かった。この演出にはさらに続きがありました。二幕ではなんとマッパの男性まで出現!彼は地面に穴を掘っていたので、微妙にショベルで大事な部分を隠せていました。棒一本でも手に持てば隠せるんだね…。さすがにざわつく会場。そこでさっきの全裸女性まで出現するじゃないですか。全裸の人々を登場させる意味と、名前すらついていない、歌うわけでもないキャラクターにここまで体当たりで演技をさせる必要性について、深く考え込んでしまいました。FKKの国とはいえ、舞台で全裸は絶対嫌でしょ??
ちなみに毎回必ず女性を形容する際に使われるholdという言葉。英語訳を見ているといくつもバリエーションがあってなかなか掴みづらいのですが、ポジティブな意味があるようです。Isoldeという女性名の語尾が格変化してIsoldenになっていたりして、モーツァルトの魔笛を思い出しました。
中身についてはほぼ記憶にないので割愛するとして、ベルリンの舞台事情に詳しい方がいらっしゃれば、裏話など聞かせていただけると本当に嬉しいです。日本で生まれ育ち、とにかく性とオープンに向き合う文化と真逆の環境に慣れきった私には、悪趣味としか思えないのですが。ドウシテ??