QBハウスで刈り上げて A
前に髪を切ったのは昨年の11月末だったか。
そこから2ヶ月も空いてしまった。
折角刈り上げていた部分も伸びっぱなしだ。上の方は長く残しているので、髪を結ばない限り気にならないが、それにしても良くない。全体的にスタイルを変える予定はないのでいつものお店に行かず、QBハウスへ行くことにした。
QBハウスとはご存知の方もいると思うが、シャンプーなどの付帯サービスがない代わりに、格安ですぐに仕上げてくれるヘアカット専門店だ。いつぞやか1000円カットとしてとても話題になった気がする。増税やなんやかんやで今は1200円だが、それでも安い。そして早い。
店に入り、券売機で料金を支払い、チケットを受け取る。
三席のカット台は全て埋まっていた。三人の美容師さんが手際よくカットを行っている。私の前に待っている男子学生さんが一人。ほどなくして真ん中の席が空き、学生さんが案内されていった。カットの雰囲気を見ると恐らく入り口に近い左側の席に案内される気がする。
ふと、そのカットされている年配の方の足元に目を落とす。そこには、短く切られた髪の残骸が舞っていた。白と黒の短い髪が混ざっていた。髪を切られている男性は白髪混じりだった。
ぼんやりと見ながら、私も早く白髪が増えないかないかなぁと思った。30になったくらいの頃だろうか。職場のトイレで手を洗っていた際に、前髪にキレイに白髪が一本生えているのを見つけた。他の前髪と同じくらいの長さに伸びたその白髪の存在に気付いたのはその時が初めてだった。気づかないうちに伸びるものだな、と思った。今も前髪に一本だけ見つける白髪は同じところに生えている気がする。毛根が白髪用になったのだろうか。不思議だ。一本だけだとやけに気になる。恐らく見えてない場所にも白髪は着実に増えているのだと思う。全部でも半分くらいでもいい。どうせならもう少し増えて欲しい。増えたら増えたで気になって染めるかもしれないが。
そんなことを考えてる間に男性のカットが終わり、散らかった髪の残骸が素早く箒で集められていく。白と黒が混ざってアスファルトに降った雪みたいだなぁと思った。
片付けが終わり、私は席に案内された。
「どんな感じにしましょう?」
そう店員さんに聞かれて、私は長い部分の髪を軽く束ねて伸びっぱなしの箇所を示して伝える
「2ミリで刈り上げてください」
バリカンの音が心地よく響く。乗る予定の電車がくるまであと30分だ。