見出し画像

「物欲」を刺激しているものとは

日本は、欲しいものがすぐに手に入りやすい。
街の至るところに「欲しくなるもの」の誘惑が転がっている。
駅ビルなんかは、まさにその誘惑地である。

ただ、ヨーロッパなどを旅してみるとわかると思うが、
日本ほど「買い物」に便利な国に出くわしたことはない。

日本で会社員をしていた頃、
人見知りのくせに、なぜか接客業を選び働いていたため、
いつも仕事の後はくたくただった。
正直、仕事だけでなく、毎日往復4時間近い通勤が苦痛で仕方なかった。

働いていた頃から、
海外で暮らすことを考えていたこともあり、親に許可を取り、
貯金を優先し、一人暮らしをするという選択肢は消えた。

よって、毎日4時間近い通勤を回避することは不可能に近かった。
通勤電車で勉強をしていたが、行きだけでなく、帰りもそれなりに混雑する電車に揺られながら勉強するのも疲れの原因だったのかもしれない。

そのせいだろうか、
駅ビルに入る商業施設に寄り道をしては、

何か「欲しいもの」はないか探す癖がついていた。

今考えれば完全なる浪費である。

仕事も自分には合わないものを選び、長時間の通勤を選び、自分で選んだはずだが、ストレスでたまらなかった。

何かを買って、満足するようになっていた

買った後はすごく満足感を得られるが、
翌週になると、また何か新しいものを探していたように思う。

買い物をすることで、何かを得たような気になっていたのだ
でも、実際、自分の何かが変わったわけでもない。
全くもって、無駄遣いをしていたように思う。

休みも少ない職場であったから、手軽に「買い物」をすることで満たされようとしていたのだと思う。

一方で、スペインに来てからは、欲しいものを手に入れるのが日本ほど容易ではない。

日曜日はほとんどのお店が閉まっている。
大きなスーパーもしかりだ。
平日でも、スーパーは夜9時に閉まる。

スペインでは、オンラインショッピングも楽ではない。

配達員によっては、呼び鈴を押さずに不在届けだけを郵便受けに入れてきたり、届けに来てもいないのに、再配達でも不在だったことにされ、商品がお店に返されたこともある。

もはやどうしてもお店で買えないようなものや、お店とネット店での値段の差があるようなものでない限り、極力オンラインでの買い物はしないようになったくらいである。

また、ものにもよるが、100均で買えるようなものが、こっちだと2000円くらいすることもざらにある。

もちろん、こっちでもお買い物好きな人はいるが、
ブランド物のバッグを持つことや、トレンドの服を追い求める人は少なく感じる。

オシャレをするのは、友人の結婚式や新年のカウントダウンパーティーなど、何かのイベントの時くらいである。

スペイン人の友人が前に話していた。

「誰か結婚しないかな。そしたらめちゃめちゃオシャレできるのに。」と。

ならば普段からオシャレをしても良いような気もするが、
ばっちりきめた服装をするのは特別な時だけだそうだ。

私は、こうした人々の考えに感化されるようになった。

昔の自分に、無理に見栄をはったり、満足感のために「欲しいもの」を探して買わなくても良いのだと言いたい。

日本はオシャレに敏感で、買い物にもすごく便利だ。
そして便利なのは夜遅くまで様々なお店が開いていて、
さらに商品をきちんと届けてくれる人たちがいるからだ。

そう、働いてくれている人たちがいるからだ。
そして、その働いている人たちの中には長時間勤務を終え、
自分の時間もないために、また「満足感」を得ようとお店をうろついているのかもしれない。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?