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自然の中にある色彩

スコットランドの北西部に位置するハリス島とルイス島
ハリスツイードの生産地です。

ハリスツイードのミルと呼ばれる紡績工場で、染色、紡績された糸を、織り職人が自宅の織り機で手織りで作られたもの。
すべての工程が、ハリス島、ルイス島で行われていることがハリスツイードとしての条件なのだそうです。

羊毛を刈り上げてから原毛を洗い、染色して、糸にし、生地になるまで、さまざまな工程があります。

「ハリスツイードとアランセーター」
著 長谷川喜美/写真 阿部雄介

3年ほど前に読んだ本を見返しています。
以前とは注目する所が少し変わりました。

私が今回、興味深かったのは、染色から紡績までの工程です。

羊毛の塊を様々な色に染色しリンスされ、ボックスルームという乾燥専用の部屋に運ばれて3色程の羊毛がミックスされます。
写真には原色に近い茶色、黄色、赤の3色の羊毛がボックスルームでふわふわと重なっている様子が載っていました。
その混ざった羊毛をほぐして束ねてロープ状にし、撚りをかけると夕日の様な、紅葉の様な、なんとも美しい色の毛糸に変わるのです。
まるで絵の具で色をつくる様だなと思いました。
その色の調合か、最終的な生地の仕上がりを決めているそうです。

どこからこんなに綺麗な色合いが出てくるのでしょう?
それはハリス島、ルイス島の大自然の中にある色彩、島の美しい自然の景色が、ハリスツイードの中に息づいているのだといいます。

実際にツイードの生地を見ていると織り糸1本1本が、いくつかの色の繊維で出来ていることが分かります。
それられの糸が織り重なり奥深く美しいひとつの景色の様な生地に仕上がっているのです。

私はアースカラーが好きです。
そして、ものづくりや、ファッションが地味になりがちなのですが、
色彩の力をもっと取り入れていきたいという目線でこの本を見返しました。
アースカラーとは、ベージュ、ブラウン、カーキ…だけでない色鮮やかな世界、それらをどの様に、どのくらい、配合すると美しくなるのか、ヒントは自然の中に沢山あるのかも知れないと、本に出てくる美しい島の写真や、実際に手にしたツイード生地を見ながら思い直しました。
世界は様々な色で出来ていて、もっと色のある世界を楽しみたいとワクワクしました。


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