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大人になって学ぶなら……中国語をおすすめするこれだけの理由 01

林屋啓子

日本人が圧倒的優位!? 語学がこんなに始めやすいとは!
今月は「大人が始める趣味」として
意外な魅力満載の「中国語」をおすすめします。

日本人はアドバンテージがすごい

●日本人にとっての中国語

 大人になって何か始めようと考えたとき、新しい外国語に手を出すのはなかなかハードルが高いものです。「語学の勉強なんて若いうちがいいに決まっているし、単語や文法を一つ一つ覚えていくかと思うと気が遠くなりそう」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか? かく言う私もその一人で、学校英語にはずっと苦労し続けてきました。ところが、数ある外国語のうち、日本人は中国語にはものすごく高いアドバンテージがあるのです。
 まず、この写真を見てください。
                   

 韓国語は知識がなければ全く手が出ないのに対し、中国語は漢字のおかげで大体の意味が分かりますね。漢字を知らない人が中国語を学ぶには何千もの文字を一つ一つ覚えていく必要がありますが、日本人はすでに漢字を一通り「装備」しています。しかも基本的に文字自体が意味を持っているので、中国語の単語を知らなくても何の話か想像がついたりします。つまり日本人は最初からスタートラインが遥か前方に引かれていて、「不公平だ!チートだ!」と言われるレベルにあるのです。

  もちろん共通点は文字にとどまりません。日本人は古くから教養として漢文に親しみ、中国から多くの知識や言葉を取り入れてきましたし、近代になると「法律」「経済」「警察」「文化」「科学」「電話」など、社会の仕組みや科学技術などに関する西洋の言葉が日本で漢字に置き換えられ、中国に逆輸入されました。つまり、両者には同一もしくは似た単語も多いのです。 

台湾の注意書き(台湾では繁体字が使われる)

 ●中国語の気になるポイント

 ほかにも中国語の学びやすい点を挙げると、まず、漢字なので語形変化をしません。“I/my/me/mine” “go/went/gone”や「未然、連用、終止、連体、仮定、命令」などを呪文のように暗記したことを思えばずいぶん気が楽です。また、中国語の多くの漢字は発音が1通りです。複数の発音がある字、例えば“重”は「重い(zhòng)」と「重なる(chóng)」で発音が違いますが、それでも日本語の「生」のように何通りもの読みを覚える必要はありません。  

 ところで、中国語にはなじみのない漢字が混ざりますね。これは「簡体字」といって、草書の字形や一部省略、置き換えなどにより、意図的に簡略化された字体です。ちょっと例を挙げてみましょう。日中の漢字を比べてみてください。

★もはや想像がつかない!?

★なかなか大胆な省略!

★間違い探しレベルかも?

 いかがでしょう? 「いくら何でも簡略化し過ぎだろう」と言いたくなる字もありますが、単純化された字はよく使うものが多いので、中国語を始めると割とすぐに覚えてしまいます。他にも“语(語)” “饮(飲)” “银(銀)” “职(職)”のように偏や旁を簡略化したものもあります。確かに7画の言偏が2画で済めば、かなりのスピードアップが図れますね。中国語の簡体字を覚えると、ちょっぴり速記者気分が味わえるかもしれません。

 ●中国語レッスンのお試し

 では中国語がどんなものか、試しに基本となる文型をご紹介しましょう。中国語は英語と同じSVO、つまり「主語+動詞+目的語」がベースです。例えば「私は学生です」という場合、英語の「be動詞」のような役割をするのが“是”なので

(私は学生です。) 

となります。

 これを否定する場合は“不”を使って

(私は学生ではありません。) 

とします。

 疑問文はどうでしょう? 中国語の「あなた」は“你”、“你好(ニイハオ/こんにちは)”の“你”ですね。「か?」には“吗?”を使います。   

(あなたは学生ですか?)

 これでテキスト1課分のポイントを押さえたことになります。こんな感じで外国語が学べるなんて「漢字、恐るべし」です!

 

林屋啓子(はやしや けいこ)
社会人になってから中国語に興味を持ち、仕事を辞めて中国で2年半の留学生活を送る。北京語言大学卒業後は中国語学習雑誌『中国語ジャーナル』(アルク)の編集を8年にわたって担当。また、中国語学習書・教材の企画、制作、編集、校正などを数多く手掛ける。著書に『「社会人」に一休み、中国留学してみれば』(文葉社)、共著に『ひとりで学べる中国語 基礎文法をひととおり』(青木隆浩/ベレ出版)、共編著に『選抜!中国語単語 常用フレーズ編』(相原茂/朝日出版社)がある。



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