僕が見ているアメリカ【10】―これだから異国の生活は面白い―
文法は中学・高校レベルでやはり十分
藤井拓哉 (英語)教員 & Yokowo Manufacturing of America Sales Representative
アメリカで仕事・生活をしていてよく思うのは、やはり英語は「目的」ではなく「手段」として用いられることがほとんどということだ。
違う言葉で言えば、英語を使う理由は「もっと上手くなりたい。完璧に使えるようになりたい(目的)」ではなく、「あくまで仕事・生活をするためのコミュニケーションのツール(手段)」という理由で使われている。
そのため、文法はある程度できていれば(=通じるものであれば)全くと言っていいほど誰も注意しない。
お客様とメールでやり取りをする時でさえも、ネイティブの上司や同僚から文法チェックはほとんどされることはない。
同様に非ネイティブのお客さんからのメールも文法がめちゃくちゃの時がある。おそらく文法を気にしていたら仕事ができないのだろう(毎日、20~30通メールを送ったりするので、注意していたらキリがないのだと思う😨)。
そもそもネイティブですら文法が怪しかったりする😅 例えば……
(1)「〜はどこですか」= Where 〜 at?
(例)Where is he at? (彼はどこですか)
(2)「それ(について)は、わかりません」 = That, I don’t know.
(例)
A: Where is your textbook? (あなたの教科書はどこですか)
B: It’s on the table. (テーブルの上にあります)
A: Where is my textbook? (私の教科書はどこですか)
B: That, I don’t know. (それは、わかりません)
(3)「〜について議論する(話し合う)」 = discuss about ~
(例)We need to discuss about the new project.
(私たちは新しいプロジェクトについて議論する必要があります)
これらのような英語はよく耳にする。非ネイティブのお客さんともなると、
「(私たちは)現在このケーブルは必要ありません」= This cable don’t need now.
といった日本の英語のテストで書いたら確実にバツとされる英語もちょこちょこ登場する。
しかし、だからと言って仕事が円滑に進まないかといったらそんなことはない。ガンガン電話もかかってくるし、Teamsでのミーティングも行われる。同僚であれば一緒に昼食を食べに行くし、プライベートの話もする。
つまり、完璧とは程遠い英語でも仕事から日常生活まで全て行えるということだ。
しかし、自分から発信しないと何も始まらない。そのため「とにかく英語を使う勇気を持つこと」が何よりも重要となる。
そして、多くの日本人がアメリカにきて何よりも苦労するのが「間違っても良いから話す・使う」という壁を乗り越えること。
この原因は日本の英語教育で求められる「文法通りの英語」「間違ってはいけない英語」が原因だろう。
そのため、本気で「英語を使える日本人の輩出」を考えるのであれば「英語の授業を増やす」「教科書を改訂する」というスキルを高めることに力を入れるのではなく「完璧に英語を話すことなんて誰も求めていないことを理解できる仕組み作り」に力を入れるべきだと思う🤔