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Mr. Evineの「英文法 違いが分かるかな?」クイズ
第4回:日本人を悩ませる「限定詞」
恵比須大輔
Hi、皆さん、Evineです。
今回でひとまずこのコラムは最終回です。
時制や助動詞など、似ている英文法や表現のニュアンスの違いで、英語学習者、特に初中級レベルの方が悩みがちなものをクイズ形式で解説してきました。
いずれも「Evineの英語塾」で中高生や一般の社会人から、授業で実際にいただいた質問に基づきクイズをお届けしてきましたが、最終回は、小さなパーツ、でも大きな発信力を持つ「限定詞」のクイズです。
それでは、早速チャレンジしてみましょう。
Q.1「息子がそこで本を買いました」を英語で話すと、どちらが自然?
(A) My son bought books there.
(B) My son bought some books there.
Q. 2 「僕はコーヒーに砂糖は入れません」を英語で話すと、どちらが自然?
(A) I don't put sugar in my coffee.
(B) I don't put the sugar in my coffee.
Q.3 「沖縄の友人が明日来るんですよーいいですね!こちらに来るのはその友人は初めてですか?」を英語で話すと、どれが自然?
(A) A friend from Okinawa is coming tomorrow. - Cool! Is it their first time here?
(B) My friend from Okinawa is coming tomorrow. - Cool! Is it their first time here?
(C) The friend from Okinawa is coming tomorrow. - Cool! Is it their first time here?
Q.4 「伝言をお願いできますか?―もちろんです。何でしょうか」を英語で話すと、どれが自然?
(A) Can you take my message? ―Sure. What is it?
(B) Can you take the message? ―Sure. What is it?
(C) Can you take a message? ―Sure. What is it?
では、簡単にポイントを解説していきます。
Q.1 Answer
(B) My son bought some books there.(息子がそこで本を買いました)が自然です。
someを特にここでは「何冊かの〜」と訳出していないのですが、
英語は、基本的に「数量」を明確にしたい特徴があるため、(A)のbooksだけの場合は少々不親切な響きです。
「何冊の本を買ったんだろう?」と相手は場合によって感じるわけです。一方、someがあることで自然と心地が良い響きになります。日本人には大きな差異は感じられないのが難しいところですね。
someの働き:
「多すぎず少なすぎず」という感じで名詞の適当な数量を伝えます。
これがあることで相手も常識的に「これくらいかな?」という印象が伝わります。逆に言えば数量を曖昧な感じで伝えるのに使い勝手がいいわけですね。
ただし、数字を明確にする必要のあるビジネスの場面などであればten books(10冊の本)のように数字を明記するのが一般的です。
数量を適当に話せる状況で、ごく自然に使われるsomeを意識してみてくださいね。
Q.2 Answer
(A) I don't put sugar in my coffee.(僕はコーヒーに砂糖は入れません)が自然です。
無冠詞sugarのニュアンスを簡単に言えば「どんな砂糖でもいい」ということです。
この場面では、特定の砂糖を指してコーヒーに入れないというわけではなく、とにかくどんな砂糖であれ自分のコーヒーには入れませんよ、という話と考えるのが自然ですので、(A)が正解です。
同じ名詞でも他と区別してどんな名詞なのかを示すものを限定詞と呼び、以下のようなものがあります。(他にもありますが、まずはこれだけを優先しましょう)
名詞に不特定ニュアンスをつけるのか、特定ニュアンスをつけるのかで、大きく区別しておくと便利です。
● 不特定ニュアンス
形容詞:some
不定冠詞 : a, an
● 特定ニュアンス
定冠詞 : the
指示代名詞: this, that, these, those
所有格の代名詞 : my, your, his, her, its, our, their
一般的に、冠詞はaなのかtheなのかで悩む学習者が多いのですが、theはどちらかと言えば、this/thatなどの仲間です。つまり、this/thatで置き換えて不自然な箇所にtheを用いることはたいていできません。(慣用的なtheもあり一概には言えませんが)
I bought that shirt.(あのシャツを買ったんだよ)と、thatを用いて違和感を感じる場面で、I bought the shirt.とは言えないということですね。
Q.3 Answer
(A) A friend from Okinawa is coming tomorrow. - Cool! Is it their first time here?(沖縄の友人が明日来るんですよーいいですね!こちらに来るのはその友人は初めてですか?)が自然です。
(B)(C)のMyもTheも、特定の相手も理解している共通の友人という場面で使われますので、相手の反応から、ここでは不特定ニュアンスのa friendを用いるのが一般的です。
(B)の所有格の代名詞を用いたMy friendは(C)の定冠詞を用いたThe friendよりも、特定の響きが強くなります。
(B) My friend from Okinawa is coming tomorrow.(沖縄の私の友人が明日来るんですよ)
(C) The friend from Okinawa is coming tomorrow.(沖縄のその友人が明日来るんですよ)
「自分の友だち」だからと、適当にmy friendとは言えないわけですね。
Q.4 Answer
(C) Can you take a message? ―Sure. What is it?(伝言をお願いできますか?―もちろんです。何でしょうか?)が一番自然です。
この表現は、誰かに伝言を伝えてほしいときに使われる一般的な言い方です。
このような場面では相手が伝言内容を知っているという状況ではないため、「ある伝言」という意味で、不特定ニュアンスの不定冠詞を用いた「a message」を使うのが自然です。What is it?という相手の反応からも、特定の伝言ではないことは明らかですね。
(A)(B)はどちらも特定の伝言を指しているため、文脈によっては正解ですが、今回の文脈には合いません。
(A) Can you take my message?(私の伝言をお願いできますか?)
(B) Can you take the message?(その伝言をお願いできますか?)
今回の「限定詞」はいかがでしたでしょうか。
実は、今回の問題は文法的に1文だけで考えるといずれも正解なんですよね。ですが、場面や文脈を考えると他の選択肢は不自然になってしまうわけですね。ここが、英文法学習で大切なポイントです。何のために英文法を学ぶのか、この英文法がどんな気持ちを発信するのか、どんな場面で誰に対して用いるのか、その意識を常に持つことで英文法学習がそのままアウトプット力の向上につながります。
これが全4回のコラムでお伝えしたいテーマでした。
ベレさんから出版した「Mr.Evineの英語塾 コア英文法」では、出来る限り、英文法の使用目的や場面を意識した解説で、どうやって英文法を利用してコミュニケーションを取ればいいのかが自然に学べるような書籍になっています。ご興味のある方はぜひ書籍もご覧いただければ幸いです。
Thanks for reading!
記事を書いた人:Evine(エビン)
本名、恵比須大輔。神戸在住。株式会社evinet biz代表取締役。Teaching Director
神戸と大阪で社会人向けの「やりなおし英語JUKU」と学生向けの「Evineの英語塾」を主宰。10代~80代まで幅広い世代の方を対象に、コア英文法を軸に、実際に使える英語・英会話指導に従事している。観光専門学校での「英文法&英会話クラス」や「TOEIC」クラス、教員向けセミナーなど多方面で活動実績がある。著書に、『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル』『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル2』、『Mr.Evineの中学英文法+αで「話せる」ドリル』、『完全攻略!英検準2級』『動画でわかる! Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル』(アルク)、『7時間で中学英語をもう一度やり直す本』(あさ出版)など多数。その他、学校専売品『英文法総合問題集 ES(エス)【はじめて編】/【高校入門編】/【高校標準編】/【高校発展編】』(アルク)など著書多数。趣味は旅行と映画鑑賞。
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