ドイツの子育て-薬とハーブティー-
★医者と薬
ドイツの医者は本当に薬をくれない。
抗生物質なんてもってのほか。
自然治癒力をさげてしまう、という考えらしいが、あまりに薬をくれなくて、いい加減にしろ、と思うことがある。きちんとしたタイミングでしっかり治さないと、慢性化することだって、手遅れになることだってあるだろうに。
例えば、うちの子は鼻が弱い。
常に鼻がつまっているみたいなかんじで、口呼吸が多い。
季節を問わず、ちょっと体調を壊すとすぐに黄色だか緑だかの鼻水が出始めて、それがなかなか止まらない。
あるとき、風邪は治ったのに、3週間たっても黄色い鼻水がでっぱなしなのが気になって、耳鼻科に連れて行った。
ちなみにドイツでは、まずはホームドクター(子どもはかかりつけの小児科)のところにいき、そこで紹介状をもらって、耳鼻科や皮膚科などの専門医のところに医者に行く。その際には基本的に予約が必要。
ただ、それだと、耳鼻科にたどりつくまでに時間がかかる。かかりつけの小児科に、予約なしで行ったら(受け付けてはくれる)、そこで数時間待たねばならないし、そこで紹介状をもらってから改めて耳鼻科に予約を入れて-しかもその予約も間違いなく2-3週間後-、そこからようやく治療(願わくば薬)が始まって、、、だと、いつになったら黄色い鼻水がとまるのかわからない。
ということで、近所の耳鼻科に直接行くことにした(それも可能)。
が、近所で評判のいい耳鼻科は、患者であふれている。飛び込みはうけつけてくれないし、予約は3か月後だという。がーん。
仕方がないから、評判は普通だが、当日でも受け付けてくれるところに行った。
笑顔で感じのいい先生はにこやかに、点鼻で様子を見ましょう、また2週間後にきてください、と。点鼻といっても、ほぼ水とかわらないような、害がないといえば聞こえがいいが、要するに気休め程度のもの。あまり改善は期待できなかった。
あと2週間もこの状態か、、、と、私はどんよりした気分でいた。
2週間後、点鼻でちょっとはよくなるときもあったが、大して変化なし、と伝えたのに、さらにあと2週間様子をみましょう、とのこと。どうしても、抗生物質を出したくないらしい。
医者の判断なのだから、と思うと私も強くはいえず、しぶしぶ帰宅した。
日本ではどうかわからないが、ドイツの保育園では鼻水を一切拭いてくれない。冬になればそんな子ばっかりだから、きりがないのだろうけれど、鼻水が明らかに口まで垂れている子もいたりするのに放置。
そんなかんじだから、保育園に迎えにいくと、うちの子の袖はいつも黄色い鼻水の跡でカピカピ。それもまた、私にとっては大きなストレスだった。
さらに2週間、結局点鼻では治らない。そんなの、私からすれば、最初からわかっていたことだ。そう思うと、私のストレスと怒りはピークに達した。
次の検診では、点鼻では治らない!ということ、前回の診察以前からだから、もう半年以上も(ちょっと盛った)こんな状態であることを強く訴えた。
すると、ほんと~~~~うに、しぶしぶ抗生物質を出してくれた。
それでも、すぐには使用するな、あと3日様子を見て、それでも状態が改善しなかったら使うように、と念を押された。
自分にも子どもがいるが、子どもというのはすぐに鼻水を出すものだ、とくにこの時期はそうだから、暖かくなれば治るだろう、私だったら薬は使わない、とまで。
いや、わかるけど、ここできちんと治しておかないことで、慢性化したらどうすんですか!!!っていうか、もう慢性化していると思うわ、あんたのせいで!!!と思いながら、ようやく出してもらった抗生物質にやっと救われた気がした。
さて、抗生物質を飲んだら、もちろんすぐに改善。ほらね、、、と思いつつも、きっとうちの子はまた黄色い鼻水をだすことだろう、その時にまたおなじやりとりは嫌だ、と思った。
さて、ここからはちょっと私の話になるが、実は私も鼻が悪い。もともとはスギ花粉アレルギーで、日本だと春先は薬なしでは外出できなかった。目は大丈夫なのだが、鼻水が止まらない。
アレルギーのせいで鼻が過敏になってしまったのか、もともと鼻に問題があるからアレルギーが鼻に出てしまうのかわからないが、以後、ちょっとした体調の変化も鼻にでるようになった。
例えば、私が妊娠に気が付いたのも、鼻水がきっかけだった。風邪もひいていないのに、鼻水が止まらない。下を向くと、タラ―――――っと流れ落ちる。心当たりがあったこともあって、妊娠検査薬を使ってみると陽性反応が。検索してみると、妊娠中に鼻水がでるようになることがあるらしい(妊娠性鼻炎)こともわかった。
薬が飲めないからしんどかったが、私の場合、この症状がでたのは妊娠超初期だけだったので助かった。
ただし、2度目の妊娠以降は、鼻水が喉に落ちる「後鼻漏」になってしまうようになった。
まずは朝起きると喉が乾燥していて、日中もずっと痛い。しばらくして、あ、鼻が原因か、と気づくころにはもう手遅れ。飴をなめようが、鼻うがいをしようが、喉に常に落ちる鼻水のせいで、むせて咳き込む。これは寝ているときが一番最悪で、むせて夜中に目が覚めてしまい、洗面所でおぇっおぇっというのを繰り返すはめになる。
2度目の妊娠の時は本当に最悪だった。結局、このときは着床したものの、心拍が確認できず、中絶手術をすることになった。が、その間、もしかしたら次の検診では心拍がみえるかもしれない、との思いから、薬が飲めなかった。
中絶が決まってから、例の耳鼻科にいくと、さすがに抗生物質をだしてくれた。が、量が少ないのか、効き目の弱いのか、治ったかも?と思ったのは一瞬で、すぐにぶり返した。たまらずに再び耳鼻科に行ったら、同じものをあと3日分出しましょう、とのこと。効き目の弱いものを最低限の日数分しかくれていなかった、、、、そのせいで、長くしんどい思いをさせられた上に、再び待合室で2時間待ちをしなければならなかった、、、なんでこんなに面倒な思いをしなくちゃいけないんだ、、、、とため息がでた。
子どもの治療について納得がいっていなかったこともあって、次回からは別の耳鼻科に行くことにした。そこの医者がよければ、次は子どもも連れていける、と期待して。
同じような後鼻漏の症状。でも、その時は妊娠していなかったこともあり、早くから、市販の薬を飲んでいた。ただ、その市販の薬は漢方のようなもので、即効性はない。長く飲んでいると効いてはくるが、お金も時間もかかる。何か私にあった治療法を提示してもらえないものか、そう期待して2時間待った。
結果は、、、その市販の漢方を飲むこと&市販のハーブを使った吸引をすること、だった。ハーブの吸引とは、洗面器にはったお湯のなかに、数滴のハーブ液をたらし、その湯気を吸いこむというもの。要するに、気休めだ、、、。いや、多少の効果はあるかもしれない。が、私が求めていたものはこれじゃなかった。
藁をもつかむ思いで、ちょっと家からは遠いが、日本人のやっている耳鼻科にいってみることにした。その日本人医師が日本の医師免許をもっているかどうかはわからないが、日本式の治療の知識があれば、ドイツの医者とは違う処置をしてくれるかもしれない、と思ったのだ。
結果はビンゴ!
その時は子どもを連れて行ったが、
①つまっている鼻水を機械で吸い取ってくれた、
②鼻水を採取して、菌をラボに送ってくれた、
③ラボの結果に基づいて、適切な抗生物質を処方してくれた、のだ。
もう手を合わせて拝もうかと思った。
ドイツは、例えば今回のコロナへの対策でもそうだが、通常何においても、科学的な根拠を大事にする。
医者ならなおのこと、と思うのに、それに、待ち時間やら予約やらの、医者にたどり着くまでの長い道のりを考えるとそう簡単に皆が医者に行くとは思えない-つまり、医者に行く段階でたいていの人がすでに限界の状態なのでは?と思う-のに、こっちの医者はよく、「新鮮な空気を」とか、「ハーブティーが」などと、非科学的なことを言う。
確かに風邪だったりすると、結局そのくらいの対処療法しかないのかもしれないし、むやみに薬を飲むのもよくないのだろう。が、医者の口から「ハーブティーが」などという言葉が出るのを聞くと、ああ、来るんじゃなかった、という気持ちになる。
さて、耳鼻科の話に戻すと、日本人医師のおかげで、子どもの鼻水はとまり、また、その適切な抗生物質のおかげで治療にもなったらしく、これ以降、子どもは黄色い鼻水を出すことはなくなった。子どもが成長した・強くなった、ということもあるのだろう、それこそ早めに点鼻で対処すれば、自然と治るようになった。
自分たちにあった耳鼻科を見つけるまで、なんと長い道のりであったことか。
★ハーブティー
すでに話した通り、ドイツにおけるハーブティーの位置づけはすごい。
確かにいろんな効能があるみたいだし、手軽な値段で気軽に手に入るから、気休めだとしても試してみるのはいいかもしれない。
私が喉の痛みで耳鼻科に行ったときは、セージティーを勧められた。
調べてみると、強い抗菌・抗ウイルス作用を持ったハーブらしい。なるほど。
その時は普通に薬も飲んだから、ハーブティーがどのくらい助けになったのかはわからない。でも、どうせお茶を飲むのなら、少しでも痛みを和らげてくれるものを飲んだほうがいいものね、、、というくらいの気持ちで飲めばいいのだろう。
また、腹痛にはフェンネルのお茶が、デトックス効果の高いブレンネッセルという、触るとびりびりする葉っぱのお茶は、花粉症などのアレルギー予防やニキビや湿疹ばど皮膚のトラブルにいいのだそう。
ドイツのいわゆる「マツキヨ」的なお店には、様々な種類のハーブティーが売っているので、興味がある人にはおもしろいはず。
お試しあれ!