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今更『アークナイツ』というゲームに恐怖した話

2021.5.13 追記:Twitterの有志の方により、本エントリをbilibili動画の記事にて翻訳ご紹介していただだきました。コメント欄での熱い議論に感謝します。
https://www.bilibili.com/read/cv11261279

こと「ソシャゲ」に関しては相当に飽きっぽい性格をしていると自負している私が、ここ1年間継続的にプレイしているゲームがある。

何が自分をここまで「飽きさせてしまう」のか、或いは「遠ざけて」しまうのか、時々考えることがある。
それは「ソシャゲ」に宿る「ゲーム性」そのものの欠落であったり、金と時間を引き換えに延々と同じ作業に殉じさせる「構造」であったり、単純に金や時間を投じるに値しないと思わせる「運営体制」そのものだったり。色々だ。
これらに引っかかって、過去放り出したタイトルはそれなりの数になると思う。

もちろん仕事やプライベートでも別の趣味があるので、「ソシャゲ」に割くプレイ時間やリソースが潤諾にあるわけでもない。どうせリアルマネーや時間を費やすのであれば、価値あるものに投資したい。そういう心理が私の根底にはあると思っている。

『アークナイツ』。何の気なしに1年前にインストールしてプレイしはじめたこのゲームが持つ底なしの魅力に、私は今、心底恐怖している。

■一体どんなゲームなんだい?

アークナイツ がどんなゲームなのか。文字に起こすと相当なボリュームになるので、上に挙げたnikuzure氏のレビュー動画をサクッと見てもらいたい。
今でも時々見返すことがあるくらい完成度の高い動画で、正直言いたいことの半分はこの動画に詰まっている。
概要からゲームスタイル、世界観からこのゲーム自体が孕むウィークポイントまで。プレイヤー目線で実にうまくまとまっている素晴らしいプレゼン動画だ。


では、私が言いたいことの残り半分に触れていこう。
前提として、決定的なネタバレは極力回避するが、内容自体が大陸版のネタも包括しないと書ききれないので、その点は予めご容赦いただきたい。

■理解と認識を超える文章量

2021年4月30日、日本版アークナイツ にメインストーリー第8章「怒号光明」が実装された。

このゲーム、ストーリー追加やイベント直前等に手の込んだPVやMVを仕込んでくる。
今となっては特段珍しくもない手法だが、その規模が桁違いである。日本でのパブリッシャーがYostarであることから、自社アニメ製作会社でもある Yostar PicturesでワンストップでアニメPVを製作できるのが大きな要因だろう。都内のJR路線の車内モニターでバンバン流れるくらいにはプロモーションに力を入れているし、何より毎回出来がとてつもなくいい。

対して大陸版側で製作されたPVは、スタイリッシュなCGとBGMを駆使したハイコンテクストな映像が多数あり、これらは既にYoutubeやbilibili動画等にアップロードされているが、日本版版側のイベントタイミングに合わせてローカライズされて公開されることもある。

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話が逸れたが、第8章はゲームの序章から連なる鉱石病感染者組織レユニオン・ムーブメントと、主人公らドクターを擁する製薬会社ロドス・アイランドとの一連の戦いを描いた、その最終章だ。
国家、勢力、種族、思想。その全てを超越して戦いは終結へと向かう。

日本版アークナイツ は、大陸版に約8ヶ月遅れる形でアップデートされているので、自分が8章を攻略している最中に大陸版ではローンチ2周年記念の情報が公開された。
その内容は中国語が理解できない自分でも興奮してしまう程の熱量を帯びていた。一方で、第8章はとんでもなくエモーショナルな展開と、胸を抉るシーンの数々、そして最後の最後で背筋がゾクゾクと走るほどのギミックを隠し持っていた。

このギミック、別に見なくてもゲームの進行に支障は全くないのだが、とあるオペレーターが最後にプレイヤーに向けてある1つの質問を投げかける。その問いかけは、それまでプレイしてきた過程と、作品に対するメタ的な意味も含めて、裏に宿る設定を知れば知るほど比例して衝撃が大きくなる、いわばイースターエッグの極地的な仕掛けだった。
プレイ中のドクターでまだ未見の方は、是非チャレンジして見てもらいたい。

だが8章の結末に至るまでの過程はしんどい。とてもしんどい。元より根底のテーマがダークで陰鬱ときた。
このゲーム、そもそも文章量が半端なく多いのだ。

活字離れ、本離れが叫ばれて久しい美しい国、日本。
最近の映画やゲームで見られる文章やキャラクターのセリフは、いかに限りなく脂肪が削ぎ落とされ、感情の上辺だけをなぞり、読み手に与えるストレスが少なくなっているかを、改めて思い知った。

反面、アークナイツ は容赦がない。
8章のストーリーを追うだけで丸々3時間以上はかかるだろう。普通なら1回で済むような言い回しを、2回3回、たっぷりとした情感をえげつない文章量にしてぶつけてくる。
その描写や言い回したるや舞台劇を見ているような錯覚に陥るが、キャラがそれぞれ立っているおかげで、洋画のようなウィットに富んだ軽妙なやりとりにもセンスがあり、不思議と中だるみが緩和されている部分もある。

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※ハリウッド映画的セリフ回しの一例。

序章から4章あたりまでのテキストは、まだローカライズが小慣れていなかったのか、読み物として上質とは言い難いが、それも次第に解消され、没入感はどんどん増してくる。

このやり過ぎとも言える文章量、ともすれば今のソシャゲプレイヤーの多くには向かないと思える。
何せソシャゲの多くは片手間にプレイし、オート進行でプレイする手間を極力減らしたりするのが常だ。
ス○ロボの演出でさえ、1回見たら十分という延長線上に、宝○演出カット要望だったり、4倍速バトルシステムだったりがあるわけでしょ(赤い〇星でさえ3倍が限度なのに)。

サラッと読める手触りの良い文章ならまだしも、本腰入れて向き合ってもまだ湧いて出てくるような無限の文章。活字が苦手な人にはたまったものじゃない。

ちがう。そうではない。
別に中国語ゲームの翻訳がヤバくて文章が膨大になっているわけでも、台詞の言い回しが冗長で稚拙なわけでもないのだ。
作り手側がプレイヤーに「こう読ませたい」という圧倒的な意志を感じるテキストなのだ。時代性に逆行して、アークナイツという「作品」を、膨大なテキストを通してじっくり届けたいという、明確な姿勢がそこにはある。
例えそれがソシャゲには向かないとしても、それは作り手側の意地でもあり、エゴでもあり、最大の武器だ。
こういう作品は決して埋れはしないし、必ず触れた人の心に何かしらの爪痕を残す。ソシャゲという単なるデータのやりとりで、サービス終了後には何も残らない泡沫であってしてもだ。

しかし厄介なことに、一度読んだだけでアークナイツ の全てを理解できるプレイヤーはそうそういない。随所に散りばめられた専門用語と人物・勢力関係が、さらにプレイヤーに複雑な読解力を求められ、次なる深い沼へと誘うだろう。


■細部に散りばめられた緻密な設定

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2021年2月末から期間限定で、「統合戦略(通称:ローグライク)」というイベントが開催された。

ローグライクという単語でパッと思いつくものと言えば、「風来のシレン」とか「トルネコの不思議なダンジョン」だろうか。
そう、コアなゲーマーが諸手を上げて歓喜する「不思議のダンジョン」の様式をアークナイツに取り入れたイベントがあったのだ。
連れて行けるキャラも、進行ステージも、手に入るアイテムも、ある程度プレイヤーに選択する余地は残されているが、ランダム要素が大きく絡んでくる。通常のゲームルールとは大きくかけ離れた形式のイベントだ。

このローグライクの何が素晴らしかったかと言えば、いつもレベリングしているお気に入りの強キャラを必ずしも動員できるわけではないので、”幅広いキャラクターを育成し、その特性を理解しているプレイヤー程クリアに近づける”、という点だ。必然的に普段はスポットが当たらないキャラクターがフォーカスされたり、そのキャラクターの魅力が新たに浮き彫りになる。
期間限定であることが惜しいくらい中毒性のあるイベントだったが、実はこのローグライクでランダムで手に入るアイテムの中に、8章でポロッとその名前が出てくる、意味深な国家勢力「ガリア」にちなんだアイテムが潜んでいるのである。

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・ローグライク・アイテム図鑑No.103 「ロイヤル・リキュール」
既に滅亡した国「ガリア」の高級酒。今はコレクターしか持っていないレア物で、価値が非常に高い。産地は現リターニア地方。製作法は既に失われている。

こんな出し方ある????ものすっごい意味深だったけど????

実は自分が読み落としているだけで、以前にもメインストーリーで「ガリア」について触れられた部分があったかもしれない。あったかもしれないけれども、その多くは語られていない筈だ。
こういう匂わせ設定や、何気ないキャラクターのフレーバーテキストの一節が、「実は超重要な伏線でしたー」ということがアークナイツでは多々起こりうる。

期間限定イベント「ウルサスの子供たち」にも触れておこう。
ウルサスはメインストーリーでレユニオン・ムーブメントが大きく絡む巨大国家勢力の1つだ。メインストーリー上の「現在」から遡ること1年前、この国で起こった凄惨たる真実と、ウルサス出身のキャラクター達が抱える闇を描いた、アークナイツ 中屈指の名イベントであり、同時に最悪に鬱でしんどいエピソードだ。

例によってイベントシナリオもまた膨大なテキスト量を誇る。だがこの「ウルサスの子供たち」を通すことで、特定キャラクターが抱える途方もなく浄化できない闇を描き出すと同時に、メインストーリーで描かれるウルサスという国家の土壌と民族的性質、そして物語の根底を通して描くことになる「感染者」と「非感染者」との対立。引いてはレユニオン・ムーブメントとロドスの戦いへと繋がる背景を、より多角的に色濃くプレイヤーに植え付けることに成功した。

「ウルサスの子供たち」のみならず、定期的に開催されるイベントは、必ず何かしらの掘り下げやメインストーリーへの伏線が凝縮されているので、これらを経て挑んだ第8章クリアのカタルシスは、途方もない。
しかし、別にイベントを経験していなくてもストーリーを味わうのには支障がないというのも絶妙な塩梅だったりする。

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多様な登場人物と勢力関係、設定を補完するTipsはもちろん用意されている。中にはゲーム内では語られない一面も、時にロドス内の事情を踏まえて面白おかしく垣間見ることもできる。

1人1人のキャラに丁寧なバックボーンが仕込まれており、気が向いた時に読み進める程度で構わないが、今覚えるべき最も重要なことはーースズランは我らの光であるということだ。

また、アークナイツ の世界の舞台でもあるテラは、モチーフとなっているのが我々の現実世界そのものなので、実際に起こった歴史や文化、国家情勢等を踏まえると、より面白くなることも付け加えておこう。
ケルシー先生のASMR世界観解説動画で、その片鱗を味わうのもいい。


■世界観を彩る音楽。インディーズから民族音楽まで力を注ぐ理由とは

2021年1月、アークナイツ のシングル「Renegade」がHMMA賞にノミネートしたという報道があった。繰り返す。ハリウッド・ミュージック・イン・メディア・アワード最優秀音楽賞にノミネートだ。
俺たちのWちゃんがハリウッドデビューだ。

HMMA賞はCMやビデオゲーム、トレーラーPV等、あらゆる形態のオリジナルミュージックを称える賞であり、オスカー賞やゴールデングローブ賞にも影響を与え、かのハンス・ジマー等も輩出しているという由緒正しき賞だ。

これ、凄くないですか?

2021年のHMMA賞にノミネートされた有名タイトルは、『Marvel's Spider-Man』『Ghost of Tsushima』『DEATH STRANDING』等と、コンシューマータイトルの錚々たる面子で溢れかえっている。
その中で唯一、アークナイツはモバイルゲームとして最優秀音楽賞としてノミネートした。

先述したとおり、これまでアークナイツ は度々キャラクターのイメージPVやMVを公開してきた。これが意味することは何か。
アークナイツ の開発を手がけるHyperGryphは、作品を彩る音楽の重要性と多様性に、相当な自信を掲げているということだ。

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過日、Hyper Gryphはアークナイツ 内の劇中曲やMV曲を網羅した『MONSTER SIREN RECORD』レーベルのサイトを公開した。このサイトではこれまで公開されてきた楽曲のほぼ全てを無料で楽しむことができる。

EDMやダブステップ、インダストリアルロックやラテン民族曲、アンビエントや果ては日本の80年代シティポップに至るまで、アークナイツ はこれまでに数多の音楽ジャンルの垣根を超えて、ゲームに落とし込んできた。
スティーヴ・アオキやイエロー・クロウをはじめ、『DEATH STRANDING』で一躍名の知れ渡ったLow Roar、『機動戦士ガンダム/鉄血のオルフェンズ』や『ちはやふる』等で知られる日本出身コンポーザー・横山克氏。
他にもインディーズシーンを賑わすアーティスト達とタッグを組み、キャラクターや世界観をより際立たせる音楽をリリースし続けている。


この構造、小説とか文筆業に携わったり、10代の頃の黒歴史ノートに自作のキャラクターのイメージ楽曲を妄想していた人には、とんでもなく刺さるのではないだろうか。アークナイツ は自前で10代多感な思春期の妄想を、驚くべき高解像度とパワーでもって提示してくるのだ。
ただでさえ、ゲーム中に聴けるBGMも耳馴染みがよくて高揚感で溢れている上に、「音楽」という人間の五感に訴える上質なコンテンツで、作品やキャラクターを継続的に掘り下げてくる。
それもこれも自社を音楽レーベル化とし、独自路線で作品に注ぐという形式を取っているからこそできる芸当だ。そんじょそこらのゲームタイトルが真似できるものではない。

しかし、現状アークナイツのサントラ自体がiTunes等のサブスクには一部しか出回ってないので、そこは早く出してと言う他ない。

ちなみに私のオススメは危機契約#2でヘビーローテーションをかました『Art of Blade』だが、アンジェリーナと秋をフィーチャーし、タイナカサチさんが歌う『Beginning Autumn』の80年代テイストのシティポップも最高だ。(何でも海外の若者の間で日本のシティポップがミーム化しており、その派生でこの楽曲が生まれたのだから驚きだ)

また、Low Roarを迎えて激しく『DEATH STRANDING』を意識したと思われる、大陸版最新イベントのMV『Feels』も至高。
クトゥルフ神話をモチーフにした謎の陣営・アビサルの深淵に迫る。

是非、『MONSTER SIREN RECORD』サイトからも視聴してみて欲しい。

■疑うことと挑戦することへの意味

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ゲームを開くとふと表示される「サーバー テラ#0」のロード画面。
サーバー?テラ?もうこの時点で我々は疑問を持つべきなのである。
これはもしかしたら仮想世界テラの物語なのではないか、と。

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自動操作時に表示される「PRTS」の文字。「プリスーティス」システムとは一体何なのか。果たして迫真の声真似をするだけのお茶目なオペレートシステムのフリをした何かなのか。我々は常に疑わなければならない。

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ホーム画面のスタイリッシュで洗練されたUIから、コーデカタログ画面の実在しそうなブランドロゴマークと、その練りに練られたフレーバーテキストに思いを馳せよう。

結局のところ、アークナイツ は文章量過多で物凄いビジュアルのラーメン二郎みたいな世界観を持っていながらも、その根底にある真相はまだ何も語られていないのだ。
それらは徐々に明かされてくるだろうが、それが文章か、音楽か、はたまたこれまでとは違った形式のストーリー展開になるのかはわからない。

もちろん、細かいところを突けばゲームに対する不満はゼロではない。
偏って優遇されるキャラクターがある一方で、性能面で不遇になってしまっているポジションのキャラもいる。

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C.V.堀江由衣の術攻撃前衛をはじめ、単体術師でも傑出した幻神級のキャラが居座るおかげで、初速とコストパフォーマンスで劣る範囲術師は、軒並不遇な環境にある。
ただ現状、壊滅的に使えないキャラというのは存在せず、最終的には戦術レベルでドクター側の采配次第でポテンシャルを発揮するというオペレーターは多い。
(何と言われようと私は意地でもモッさんを使っていく)

どちらかと言うとアークナイツ は、”如何に低レア低コスト編成で知略を駆使してクリアできるか”というプレイスタイルの方が称賛される傾向にあり、尚且つ「ガチャで強キャラを引く」ことが必ずしもゲームクリアには直結しない。強キャラ1人ではステージクリアすることすら不可能なので、やはり試されるのはプレイヤー側であるドクターの知能と采配であることは付け加えておこう。
逆に全てを強キャラクターのパワープレイでねじ伏せることも、正義の1つとして許容されているのである。

そしてキャラクターの育成と強化自体も周回が前提となっているので、ここは凡百の他のゲームと似たようなシステムと言える。

そんな日頃の育成度合いが試される、思いっきりマゾいコンテンツがアークナイツには用意されている。

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危機契約。言うなれば、マゾの天下一武道会と言ったところだろうか。
定期的に開催され、ステージごとに縛りプレイを発生させるルールを自由に重ね、より高難易度へと変貌したステージクリアを目指す、熟練ドクターの腕が問われるイベントの総称である。
高難易度と聞いて尻込みするプレイヤーや、逆にゲームを離脱するプレイヤーも多いと聞く。当然だ。楽しいはずのゲームがストレスになってしまっては何の意味もない。辛かったらやめればいいし、そもそも参加しないのも1つの手だ。

だが、考え方1つによってこの危機契約への見方が変わる。

危機契約は失敗したからと言って何らプレイヤー側にデメリットが発生するわけでもなく、何度でも気軽に挑戦できる。
マゾの天下一武道会と称したが、最初から最高等級クリアを課してくるようなルールでも、誰かと競うルールでもない。自分で可能な目標値を設定し、そのクリアを目指せば上々なのである。
そして次の危機契約に備えて、キャラクターの育成を重ねていく。このルーティーンこそがアークナイツのエンドコンテンツだ。

また、最低限のボーダーさえクリアすれば報酬が美味しい上に、極限環境で戦い抜いたオペレーター達への愛着はさらに増すという、ある意味ガチャ以上にキャラ愛が試される場でもある。そしてこの危機契約で得たプレイスキルは、必ず後のストーリー攻略やイベント攻略でも活用できる。キャラと一緒にプレイヤー側も成長できる場なのだ。

クリアに必要なのは日頃の研鑽と己の知略のみーー。

ポチポチ画面をクリックしてガチャで一喜一憂するだけのゲームでは、決してこの高揚感は味わえないだろう。

前述の音楽と話が重なるが、この危機契約のイベントPVやゲーム中に流れる楽曲は毎回中毒性が高く、トライ&エラーを繰り返す様式も相まって、逆にどんどん沼に足を突っ込んでいくプレイヤーも多い。
最高等級が楽しいと思えるようになった頃、あなたはもう以前の自分に立ち戻ることはできないだろう。

■このゲームの”空気感”が何よりも重要

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結論として、アークナイツが描こうとしているコンテンツへの独創的な姿勢や、提示するゲームスタイルに心底浸かっていたいと思うのが、今の私の心情だ。

一昔前の中華製のゲームに対して、私はある種の嫌悪感を抱いていた。そこにはオリジナリティもクオリティの欠片もなかった。
それが今や、逆に日本のゲーム自体がその品位を問われる時代になっているが、いいコンテンツには国境も思想も言語も関係ない。

『ソシャゲ』に何を求めるかは個人の自由だし、何が気持ちいいと感じるかも人それぞれだ。言ってしまえばそれまでだが、たかだか『ソシャゲ』だ。所詮、サービス終了までの運営の集金箱だ。

だが、アークナイツは確実に作り手の「表現」したいことに挑戦している、今時希有なタイトルであると私は思う。
好奇心と知略、世界への探究心。思いを馳せるべきことがアークナイツ には山ほどある。
その紐解き方や感じ方が人それぞれに委ねられているのも、このゲームの奥が深い部分でもある。

こういう書き方をしたくはなかったが、新型コロナウィルスが猛威を奮う今、アークナイツの世界に蔓延る鉱石病の設定は、嫌が応にも現実と重なってしまう。
アークナイツ開発元のHyperGryphは、2021年4月26日に、浙江大学教育基金に感染予防研究費として約5000万円の寄付を行った。
※詳細リンク https://shouyou.gamersky.com/news/202104/1382999.shtml

どうだろう。少しでもアークナイツや、それらに携わる人々に興味が湧いてくれたら嬉しい。

最後に、水瀬いのりさんが歌うこちらの曲でお別れだ。

全身が鉱石に覆われて死ぬ病気が世界に蔓延しているのに、”クリスタライズ”という曲名は怖すぎませんか。

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