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ライブ日記 2/22

  蛙はけっこう縁起物らしい。けっこう、と言ってみたが実のところはそれほど知らない。
 蛙。あの緑色のブヨブヨした身体の、水辺が好きなアイツ。特段好きなわけではない。写真で見る分にはかわいいなと思う事もしばしばあるが、一口に蛙と言っても千差万別。愛玩動物として愛好される外観もあれば、一見して毒もってるよなってなるヤツらもいる。
 蛙。どれくらい知っているだろうか。アマガエル、ウシガエル…。やはり僕はそれほど蛙に造作が深い訳ではないらしい。
 蛙。と言えばなんだろう。自問したところ雨が想起される。雨空の下、名も知らぬ草を傘にして雨宿る姿を、きっと多くの人々がベースイメージとして持っているのではないだろうか。

 僕は田舎の出身なので蛙はとても身近な存在である。家の周りは田んぼばかり。夏の雨時には文字通り蛙に囲まれていたと言っても過言ではない。
 そんな蛙は、普段住処としている田んぼなどから産卵期になると大移動をする。もっと水が多い場所に子孫を産み落とすべく、全員の体内時計がピタリと合っているとしか思えないほど大挙して移動する。
 それは危険と隣り合わせの、まさに命懸けの群行である。隠れ蓑の草場を離れ、外敵に襲われる危険を冒す。加えて、人間のテリトリーにいれば車に轢かれるリスクも加わる。
 彼らがそこに使命感や熱意を燃やしているのかは定かではない。本能と言う、己がうちに備わりながらしかしどうしようもない呪いなのかも知れない。本当は会社に行く時の僕のように、腹の中で「チクショォォォオ!!!」と吠えているかも知れない。(あのある種風物詩的なゲコゲコと言う鳴き声がそんなふうに聞こえたらかなり嫌だな…)
 そんな彼らの姿に、我々の先人は胸打たれたらしい。 
 いつの時代の誰の詩かなんぞ甚だ興味もないが、当時の天皇を讃える詩に"谷蟆(タニグク)のさ渡る極み"と言う一説がある。谷蟆と同じ読みで、谷邇具久がある。これは雨の神様で、蛙の姿をしているそうだ。神の化身たる蛙が、群行の折に道を埋め尽くす。その様が「勢力」や「繁栄」のメタファーとして機能したかたちである。
 そんな話をどこかで読んだものだから、僕の中には"蛙は縁起物"と言うイメージがある。
 そんな蛙と、なんだか似ているなと思うものがある。他ならぬ我々、キショ=オタクである。

Dr . Smokin ’ Frog 

 古参などくだらんにも程がある。マジでくだらん。死ね。くたばれ。黙って大人しく金だけ払え。
 たとえ10年以上応援していようが、昨日からファンだろうが、とどのつまり同じ光に胸打たれた同類、どこまで行っても一誰某に他ならない。実にくだらん。そんなことを鼻にかける手合はアーティストが好きなのではなく、アーティストをずっと応援している自分が好きに他ならない。浅はかよの、恥を知れ。死ね。下水に詰まれ。そしたら水に流してやるよ、下水だけに(ゲスい、なんちって)。
 知ってる人も多いだろうが、僕は寛容で心が広く、人を憎む事を知らず誰かの幸せを1番に考えるウルトラスーパーパーフェクト好人間である。そんな僕なので意外に思われるかも知れないが、僕は古参と言う概念が嫌いである。いや、長く応援していること自体は別に嫌いでも好きでもない。極論どうでもいい。マジで、別にそんな手合いがいても足の先から順にミキサーにかけたいなって思うくらい。
 僕はいわゆる“駆け出し”のアーティストを応援した事がなかった。そもそも「応援してます!ファンです!」と言えるアーティストは1組しかなかった。(お前だよお前らだよ何寝てんだ早く起きr)
 そのアーティストも知った時にはすでにある程度の知名度があり、確か結成して5年くらい経っていた筈である。
 従って古参と言う概念に理解が及ばなかった次第である。
















まずい、ちょっとわかるようになってしまった。


 Dr.Smokin’Frog 。言わずと知れた大阪は、「大阪」は、『『『大阪』』』は堺の知る人ぞ知る激渋ロックバンドである。
 そんな彼ら、2ndアルバム「The Molars」をリリースして初の東名阪ツアーを敢行。(まだ買ってない?は?何してんの?アホなん?買って、今。ドクスモのThe Molarsより先にお前の奥歯が鳴る事になるぞ俺の手で)
https://www.tunecore.co.jp/artists/Dr.-Smokin'-Frog?lang=ja

 昨日2月22日にツアーファイナル単独公演を大盛況のうち終えました。
 素晴らしかった。全員20代前半とは思えないスモーキーな、拘りと情熱とメンバーの友情によって銀の裏打ちをなされた素晴らしいツアーファイナルだった。

ささやかなツアーながら初めて全通しちゃった

 Dr.Smokin’Frog を知ってからいつの間にか2年が経とうとしている。
 彼らは2018年結成。僕が初参戦した2021年6月当時、お目当てで来ていた客は僕を含めて数人だったように思う。

昨日はパッと見100人ぐらい来てたのよ〜〜〜〜〜!!!!!!去年のワンマン時も沢山集まったけど年々増えてるのよ〜〜〜〜〜!!!ア"ーーーーーーーッッ!!嬉しい!!嬉しいぞ俺バァ〜〜〜〜!!!!!

 閑古鳥がなく現場を知っている僕の胸の内にそんな感情がよぎるようになってしまった。マズイ(マズイ)。
 そこでだ。これ以上変な拗らせを起こさないように、これを読んでいる恐らく僕の知り合いでおよそ人の心があるとは思えない年がら年中ライブ通いのクレイジーサイコパス集団の諸兄らに頼みがある。僕がおかしな事を言い出したら一思いに殺してくれ。それか鎖骨の辺り押さえてくれ。死ぬほど嫌いなんだ、鎖骨触られるの。

閑話休題

 さて冗談(冗談やからな?)は置いといてドクスモ単独公演めちゃくちゃ良かった。新旧織り交ぜたセトリも、意表を突いた曲順も、彼らのお家芸とも言えるライブアレンジも、何もかもが素晴らしかった。2月22日も、Dr.Smokin’Frog は1番新しい未来の王道を異端として規格外に転がって行った。最強のフロントマン、タナカ ダイキの声は世界一カッコよかった。

 売れない方がおかしい。耳にたこが出来るほど聞く言葉である。それは“ファンの欲目“として呆気なく一蹴されて行く言葉である。
 わかりきっている。わかりきった上で、彼らを信じずにはいられないのである。突如姿を現した、まだあどけなさを残す4人組から放たれる燻し銀のロックンロール。
 流行りじゃない、それがなんだと言うのだろう。Dr.Smokin’Frog を前に、世の潮流など意味を持たない。なぜなら彼らはロックバンド、他ならぬ彼らが楽しいと思っている限り、他の何者もそれを止められない。彼らはロックンロールバンドDr.Smokin’Frog なのである。
 昨日、大阪ルイードに集まり拳を振った人々がその証左である。その拳も、贈られる声援もどんどん、どんどん増えてゆく。谷蟆がさ渡るように。いずれ埋め尽くされる事になる。少なくとも僕はそう思っている。


フラスタ。ビッグバンドやん。

 どこまでも渡るから、いつまでも転がってくれ。どこまでもどこまでも、まだまだ行こうぜ。

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