日常レポ
ライブに行っていない。遠征もしていない。一時期は月に2度も東京やらなんやらへ遠征していたと言うのに。恋しい。ぶっちゃけ恋しい。今ではあのクソッタレ名古屋ですら恋しい。
なぜライブに行けないか?クソッタレファッキン労働のせいである。
日常レポ
なんか書こうって気分とイベント事ってのは決して同時に来ないらしい。なんだか無性に物書きの真似事をしたくなった。
そうは言うものの、こちとら最近は10〜12時間会社にいる社畜である。なんか書こうにも日常で起きることなんて起きて着替えて電車乗って仕事して上司に罵声浴びせて客に頭下げて上司を罵って電車乗って帰るくらいである。
最近の癒しといえば我らが金属バットの御両人によるラジオ、「金属バットの社会の窓」くらい。
ほんとに、めっちゃ面白いから是非聴いて欲しい。すぽちふぁいで聴けるよ。リンク貼っとくね。
もっぱら通退勤時に聴いて電車の中で笑いを堪える遊びをしています。
でだ。書く気にはなったけどネタがない。そこで諦めたら何にもならない。こう言う時こそ書くべきだと思い立って今なわけである。
というわけで、本文はしがない社畜の日常を身バレしない程度に脚色しつつ美しい言葉と類い稀なセンテンススキルを以って綴った珠玉の一稿である。対戦よろしくお願いします。金払え。
なぜ今!?〜突然の模様替え〜
「急にごめん。今から机を上に運びます」
そう言って、課長は申し訳なさそうに頭を下げた。
課の皆んなは、一様にポカンとしている。
「課長、それはまた、どうしてです?」
言うは我が課のスーパーエース、三島である。60歳。去年定年退職してシニアスタッフになった。いつまでスーパーエースを名乗るつもりだろう。
「トーヨー専属チームのために新しく部屋が用意されましたが、備品がまだありません。さっき、上に相談に行ったんです。備品はどうしましょうって。そしたら」
言うや課長はわざとらしく眉間に皺を寄せ、気持ち声を低くして「そんなもん下に余ってるヤツ使えばええやろがい」と言った。
説明しよう。トーヨー(仮称)とは、幣課一の得意先である。
その影響力たるや凄まじく、分社のみならず本社にまで及んでいる。古い人間曰く「あそこを怒らせたら分社が傾くなんてもんじゃ済まへんで。会社が傾くぞ」とのこと。
そんなトーヨーにしこたまコキ使われて幣課、もとい新任の課長はヘロヘロになってしまった。
「最近…会社行く前に毎日トイレに1時間困ってるねん…」そう漏らした課長が本当に血を漏らさないか心配したものである。
全員(主に課長)がズタボロになってなんとか上半期を乗り切ったところで、本社が動いた。
幣課からトーヨーと比較的良好な関係を持つ者ら数名で専属チームが組まれたのである。
でだ、その専属チームのためになんと一室(何故か一つ上の階に)用意されてしまったのである。用意されてしまったは良いが、椅子も机もない。だから課長が半べそかいて「どうしよ」って役員に相談したら「今の所から人員裂くんやさかいにそいつらが使ってたモンそのまま使こたらええやろがい」と怒られて今である。
「はぁ!?」
「無茶を言わんでください!」
「誰が今やれ言うてるんすか!」
「くたばれ」
「こっちにも段取りがあるんですよ!」
「flood全部東京は舐めてるやろ!」
「締めはどうするんですか!」
「俺年寄りなんで」
「業者に頼んだらええでしょ!」
常日頃から溜まった鬱憤が爆発する。
業務机って重いよね。
普段は冷静沈着な僕ですら今回ばかりは我慢ならない。俺たちは会社の奴隷ではない!誇りを持ってお客様と世の為に頑張っているんだ!お客様からの「ありがとう」が嬉しくて、どんなに辛いことも耐えられます!!んなわけあるか金出せ。あと三島お前マジで都合良い時だけ年寄りしてんじゃねぇぞ。
言ってはみるものの、最後は従ってしまうのが社畜達の悲しき性。専属チーム4人分の机を、まぁまぁ忙しい時間帯に課の男衆総出で運ぶこととなった。
2人1組で机を運ぶ。我が頼れる相棒は、我が課が誇るスーパー…もうええか、三島である。
三島。歳の割に元気というか、元気すぎるくらいだが、やはり歳は歳。結構心配である。
何を隠そうこの三島、去年僕の真横で意識を失ってぶっ倒れて救急搬送されたことがある。
見事なバーコードハゲと、絵に描いたようなメタボをよくネタにして笑っていたが、以降マジで笑えなくなった。
「今度こそ三途の川渡るかも」
「どうせまた重量オーバーで返されますって」
「お前」
談笑しつつ一見事もなさげに重たい机を運んでいるが、やはり三島はキツそうで、普段にも増してダシ、もとい脂汗が滲み出ている。
思えば、最初に営業の仕事を教えてくれたのはこの人だったな。
入社して1年程で営業になった僕は、ご多聞に漏れず成績が上がらず、客先で帰れと罵られボウズで帰社しては上司にアホボケカスと罵られてきた。
そんなとき、持ち前の明るさ(頭部含む)でハゲましてくれたのが三島だった。
三島は普段マジで下ネタとセクハラしか言わないおっさんだが、悪いヤツではない。この会社には珍しい人情派である。
ふと、2人で運ぶ机を見やる。この人に仕事を教わっていた頃、僕はいつも誰かに支えられていた。
「三島さん」
「ほい」
「あとやりますから、仕事戻っててください」
「ほんまか!」
「ちょっとは躊躇えよ」
階段を上り切った所で、机を1人で持ち直す。まぁ、運べない重さではない。
我ながらアホらしいと思いつつ、今度は1人でひーこら言いながら部屋を目指す。当たり前に重さを増した机を、なんだか途中で置いてはいけないような気になっていた。
最後の角を曲がってもう一息というところで、後ろから僕を呼ぶ声がする。
「ごめん」
課長である。
「机、今度新しいの搬入されるねんて」
机が床に落ちる音が、重たく廊下に響き渡った。
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