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一人じゃない

ネットが普及しまくっているこの時代に
私はスケジュールを紙で管理している。
ある夜何冊も溜まったスケジュール帳を見返していた。

スケジュール帳の最後の方にメモを残せるスペースがあって
その部分を毎年無駄にしているんだけど
読んだ本の中で好きだった文章をつらつらと書き留めていた年があった。

力を抜いて、綺麗な水の中を流れて流れて
着いたところがいちいち自分の場所だ。
これからは、そういう人生にしよう。

「なんくるない」吉本ばなな

なんとなく気がある二人がいて
なんとなく約束して 夜になって食べて飲んで どうする?となって
今夜あたりいけるとお互いが暗黙の打ち合わせをしてる、
というものではなかった。
本当はただただ触りたくてキスしたくて抱きたくて
少しでも近くに行きたくてたまらなくて
一方的でもなんでも、涙が出るほどしたくて
いますぐ、その人とだけ、その人じゃなければ嫌だ。
それが恋だった。思い出した。

「とかげ」吉本ばなな

こうしてたまに見返していると、自分がその時どんな言葉に
心を惹かれていたのかがよくわかる。
そして今は連絡先すら知らない、もう二度と会うことはないんだろうなという昔の友達の名前を見つけて少しだけ寂しくなる。
付き合った日、別れた日、初めて朝まで飲んだ日、バイト初出勤の日、バンドを組んだ日、初ライブの日、バンドが解散した日、社会人になった日、たった数冊のノートの中にこれまでの全てが詰まっていた。

夏が終わった寂しさと、新しい仕事やこれからの自分の人生への不安で
胸が苦しくなる期間がやってきた。多分生理のせいだけど。
自分が堕ちている時こそ周りの人間が楽しそうに見えてもっと孤独になる。
みんなどうやって乗り越えているんだろう…とメソメソしながら
前職の同期に「元気にしてる?」とLINEしたら
「今週推しのライブが福岡であるからそっち行くわ!」と言ってくれた。
池袋で大号泣しながらバイバイをしてから3週間、東京からわざわざ会いにきてくれた!

福岡で一緒に飲んでいるなんて変な感じだったけど本当に楽しかった。
元々福岡にしょっちゅう旅行に来てて美味しいお店をたくさん知っているらしく
おすすめの居酒屋に連れて行ってくれた。
私がお手洗いに行っている間に会計を済ましてくれていて、
それだけでもありがたいのにそのあと夜パフェにお店にも連れて行ってくれた。
新しい仕事も「大丈夫だよ、これまでもちゃんとやってこれたんだから。自信持っていけ!」と背中を押してくれた。
一緒に仕事をしているときから、私が落ち込んでいたり弱音を吐いたりしたときに
すぐに手を差し伸べてくれる人でした。いつもありがとう。

親友にも会う予定を立てている時にふと「てか引っ越してきてくれて本当にありがとう」と言われた。こんなこと言うキャラじゃないから余計に嬉しかった。

こうやっていつも周りの人の優しい言葉に助けられてきたんだった。
私はみんなに優しさをちゃんと返せているんだろうか。
会いたい人がたくさんいるって幸せなことだね。


そして昨日は好きな人と1ヶ月ちょっとぶりに電話できた。
引っ越してからの生活や仕事のこと、最近の出来事をたくさん話して
Switchで一緒にゲームして爆笑してたらあっという間に4時間が経っていました。
会話の中で「今日なんか月がめっちゃ半分じゃない?」「ほんとだ、めっちゃ半分だ」というやりとりがなんか好きだった。窓から月が見える部屋でよかった。

次に電話した時は絶対デートに誘うんだ!と何度も頭の中で考えていたのに
会話の流れで「今度飲みにいこうね」ぐらいしか言えなくて、そうだね〜と軽く流されて、結局会う約束なんてできなかった。進めないね〜意気地なし!

気持ちを伝えなければこれからもずっと友達として仲良くできるだろうけど
彼が他の誰かと一緒にいるところを想像するだけで胸がギュッとなるし
電話するたびにこの人のこういうところ好きだなあと気づく部分がたくさんある。
もういっそ当たって砕ける?傷つきたくないなあ


冷房も暖房もいらない貴重な季節、窓を開けて夕陽を見ながら
遠くにいる友人たちのことを考えている。こっちは東京よりも陽が長くて良いな。
またみんなに会える日まで元気でやろう。

今日も読んでくれてありがとうございました。
あったかくして寝てね

おやすみなさい


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