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「薬局の個別指導は何を注意すべき?」その傾向と対策をお伝えします

みなさまの薬局では個別指導を受けたことはあるでしょうか?


先日私の知人の薬局で「来週、個別指導がくるから毎日憂鬱です」という話を聞きました。


個別指導の通知がくると、行政からの指導員がきて、薬局の様々な書類や運営状態をチェックされ、最悪の場合、監査に発展、保険調剤薬局としての指定を取り消されてしまうような場合も起こりえます。


そういった話がニュースなどになるのを聞いて、過度に恐れ大きなストレスを感じられている方も多いように感じます。


そのような状況は絶対に避けたいですが、国の定めたルールの上で日々適切に業務を行なっていれば、ほとんどの場合そのようなことになることは少ないです。


今回の記事では、個別指導を過度に恐れることなく、個別指導を正しくしり、その対策を考えるきっかけになっていただければ幸いです。


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個別指導とは何か?

日本の医療は、公的医療保険のもと、患者自身が医療費の全額を負担することはなく、一部を公的保険が負担してくれます。そのため、患者さんは、年齢によって医療費の1割~3割の程度の負担で充実した医療を受けることができます。


しかし公的保険制度で保険者側からの支払いを受けるためには、医療機関、保険調剤薬局は、国が作ったルール(施設基準を守ったり、診療報酬上の算定方法)を守りながら日々の業務を行う必要があります。


そのルールが適切に守られているかどうか、行政からの指導を受けることを個別指導といいます。


個別指導は、健康保険法第73条、国民健康法第41条で定められており、保険調剤薬局は受ける義務があります。



個別指導の種類

個別指導にはいくつか種類があります。


・都道府県個別指導
地方厚生局と都道府県が行います


・共同指導
厚生労働省、地方厚生局と都道府県が行います


・特定共同指導
厚生労働省、地方厚生局と都道府県が行う物で、特定の範囲の保険薬局または緊急性を要する場合など


・新規個別指導
地方厚生局と都道府県が行います


個別指導のタイミング

おもに新規開業ののちに行われる新規個別指導が最も一般的で、その後、集団指導ののち、改善がみられない場合や、レセプト単価が上がった際に行われることがあります。

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※厚生労働省:監査・指導の流れ


具体的な指導内容について

実は個別指導で行われている指導内容は毎年公表されています。


個別指導及び適時調査において保険医療機関等に改善を求めた主な指摘事項について
平成30年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項
保険調剤確認事項リスト(薬局)


まずはこれらをご一読いただくと、どのような点が指導されるポイントかがわかると思います。


また、今回の記事ではここに、薬局様でよく指摘されているポイントに絞ってお伝えしたいと思います。


・疑義照会を適切に行なっていない
患者数が多くて日々忙しかったり、医療機関側とのコミュニケーションが適切に取れていない薬局様などで見受けられることがあります


・処方箋の記載内容のミス
押印がない、交付年月日の記載がない、備考欄に疑義照会などの記載がない


・処方箋、調剤録の修正方法
公文書と同様の方法で訂正が必要だが、修正テープなどで修正を行なっている


・調剤技術料:一包化加算の取得について
治療上の必要性が調剤録に記載されていない
治療上の必要がないにもかかわらず算定している(患者の要望など)


・時間外加算について
受付時間が記録されていない


・薬学管理料について
服薬指導に関して、薬剤師は行なったつもりでも、適切に行われていないと認められる場合も指摘の対象になります。例えば、患者の理解度に応じた指導がされていなかったり、服薬状況などを確認せず一方的な指導になっているなどは服薬指導がなされたとは認められません。

そのほか、指導内容を記録していない場合も指摘の対象です。


・薬学管理の記載方式
SOAPで記載されていない場合


・掲示物
保険薬局には院内に掲示すべき事項がありますが、それらを掲示していない場合などよく指摘されます。


主に掲示すべきものとしては下記のものが挙げられます。

薬剤服用歴管理指導料に関する事項
調剤報酬点数表の一覧等
厚生局〇〇課、〇〇事務所に届け出た事項に関する事項
明細書の発行状況に関する事項
在宅患者訪問薬剤管理指導を行う薬局であること(地域支援体制加算関係)
健康相談又は健康教室を行っている旨(地域支援体制加算関係)
後発医薬品の調剤を積極的に行っている旨(後発医薬品調剤体制加算関係)
加算の対象日、受付時間帯(調剤料の夜間・休日等加算関係)


・その他
薬剤師の勤務体制が不足している、備蓄品目が不足している、といったことに関しての指導もよくみられます。


個別指導対策のために普段から何に注意すべきか

先述した通り、個別指導でみられるポイントは、公表されており、ある程度予測できます。


そして、指導内容からわかるように、個別指導の対策の重要なポイントは、診療報酬算定に関する正しい知識を持つこと、報酬のルールにそった記録、管理体制をミスなく日々業務を行うことになります。


対策の具体的方法としては、

1.診療報酬に関する勉強会をする
2.業務フローの見直し、マニュアル化
3.日々の業務の効率化

が大切だと感じます。

1.診療報酬に関する勉強会をする
診療報酬の算定はルールにのっとって行うものですので、普段から診療報酬に関する知識の基本的な部分や、診療報酬改定があった際にはそれらの内容を得る機会を定期的に持つと良いでしょう。

また、算定もれや返礼があった内容の共有や、その対策を職員で考えることなども毎月薬局内で情報共有することも重要です。


2.業務フローの見直し、マニュアル化
勉強会で決めた内容や、返礼・ミスが起きた業務フローを見直すことも大切です。そして、さらにそういった内容をマニュアル化することで、職員の業務のばらつきを防ぐことができ、職員教育のツールとしても活用できます。


3.日々の業務の効率化
業務効率化の観点も重要です。保険薬局では、毎日多くの業務をできる限り早いスピードで行う必要があります。そのような環境では、いくら、知識があって、マニュアル化されていたとしても、ミスが起きてしまいます。

そのため、普段から、簡略化、省略化できる業務があれば積極的に行うべきであると考えます。さらには、ITや機械によって人が行わなくても良い業務を作ることも大切です。

保険薬局における業務改善の技術はおおよそ下記のようになります。

在庫管理・発注システム、需要予測型医薬品発注システム、調剤監査システム、調剤ロボット、分包機、在庫管理システム、電子薬歴システム、自動精算機、、、


最後に

今回は、保険薬局の個別指導についてその対策をお伝えしました。

一言でいうと、知識を持つことと日頃からの業務改善につきます。

保険薬局の本来の役割は、患者様へより適切なお薬を届け、健康に貢献することです。


そのためにも、個別指導に過度に恐れることなく日頃からの業務改善の積み重ねをしていっていただければと思います。


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By ファーマキューブの中の人

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