MS法人をやりたいなら本人が本気でやるしかない

皆さんこんにちは。開業医専門税理士です。

「MS法人を作った方がよいか?」これはドクターからよく聞かます。
世間ではMS法人は意味ない、節税するならMS法人と、どちらの話も聞くので何が正解なんだかわからなくなりますよね。

誰のどこの視点で見るかで正解は変わってくると思っています。

ちなみに私はMS法人をやるなら本人が本気でやるしかない派です
その理由について自由に書きます
今回は個人事業でMS法人を活用するパターンの方です

1.MS法人が節税になる理由は所得分散による節税

節税の仕組みとしては、
例えば個人事業の利益が最高税率に達している場合、一部の業務をMS法人に委託することで所得が分散され、分散された後の税率が最高税率より低ければその税率差の分だけ節税になります

個人の所得税率が法人税率より低いうちはMS法人を作っても節税メリットが受けられないので、まずは最低でも所得税率40~45%にはなりましょうよ。と、私は思いますし、世間の税理士もそう思っている方が大半なので、やんわりMS法人意味ないですよと言われた場合は、まずご自身の所得税率を確認しましょう。

2.MS法人が節税になる理由は所得分散による節税なんだって(2回目)

先の通り、所得を分散させるから節税になる仕組みなわけです
所得を分散させる=診療所の利益をMS法人に分散させることになります
まず個人の所得が多いことが大前提ではありますが、MS法人との間にそこそこの取引額があってこその話になります。

そもそも節税目的であってもMS法人との取引がトンネル取引になることは絶対に避ける必要があります。
あくまでも取引に実態があり、取引額が妥当であることが前提になります。

だいたいここでつまづく理由がMS法人を税理士主導で活用させようとするからです。

MS法人とは一つの事業なわけです。経営者としてクリニックとは別にもう一事業始めるはずなのに、その事業の中身を税理士に決めさせようとするから税理士も割に合わない(お互い)ですよ、となりがちです。

売上の20%をMS法人に流したい。20%だからダメとは誰も言っていないのです。20%という数字が良い悪いではなく、客観的に見て毎月売上の20%も支払う業務として妥当と思われる業務内容を自分で考えて経営してください。というのが言い換えればMS法人です。

3.MS法人は一つの事業

例え節税目的の会社であっても一つの事業。MS法人の存在意義は本来こうです。
MS法人をただ作っただけでは節税の効果は得られないため、一の法人として営業活動を行うには専任する職員の雇用や、税務申告に要する税理士費用、社会保険手続きに伴う社会保険労務士への費用等も発生します
そこまでしないといけないの?と、思った方はそこまでしなくて済むような事業形態で運営されるMS法人というか会社にできる事業というのがどんなレベルか想像していただけるとよいかと思います

最後に、節税額からMS法人の運営費用を差し引いても十分な利益が見込めれば活用の意味がありますが、MS法人の運営にかける労力やコストに見合わない程度の節税メリットにしかならない可能性も十分にあります。
ただこれに関しては1円でも得をすれば効率は関係ない。という考えの方もいるので、最初に「誰のどこの視点で見るかで正解は変わってくると思っています。」と書いたように、100万円でも得だと思わない人もいれば10円でも得だと思う人もいるので、損得の判断は最終的には本人次第です。







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