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GeminiとVrewで始める、AIを使ったShopifyブログとSNS動画の楽ちん投稿
筆者は、自身の執筆したSF小説のTシャツなどのグッズを販売するオンラインストアを運営しているのですが、オンラインストアの発見される機会を増やす方法として、ブログの執筆があります。また、昨今は、検索エンジンからの流入だけではなくて、InstagramやTikTok、YouTubeなどのSNSからのECへの流入(マルチチャネル化)も進んでいます(この辺りのSNSやGoogleへのShopifyを使った広告出稿については、#shopifybeginners で以前ポストしたので、興味のある方ご覧ください)。つまり、よく言われているように、自社ECはただ立ち上げただけでは誰にも見つからず、それは砂漠の中にポツンとお店を出すようなものなのですが、砂漠の中のオアシスになるためには、以前のようにただ広告を出せば良いというものでもなく(みなさんご承知の通り、そして私にとってもですが、単純なマス広告は段々と嫌われ者になっていっています)こういったコンテンツ施策が必要となってきます。
ここまでは、ECに少しでも携わったことがある人なら、誰でも耳にしたことがある内容かと思いますが、問題は、ではこういったコンテンツ施策を、どうやって行うかです。コンテンツを作るには、ある程度センスや向き不向きがありますし、労力もかかります。つまり、そういったことが好きで時間とスキルがある人でないと、なかなかできません。かくいう私はどうなのかというと、コンテンツを作ること自体は嫌いではないですが、そのコンテンツというのは、自身の化身である創作物、つまり小説だったり、絵だったり、漫画だったりというものを指し、ブログや動画というものの制作に時間をかけるのであれば、その分、本筋のコンテンツに集中したいのが本音です。これは、私に限らず、物販を行っている人にはほぼ共通している特徴で、基本的には売り物である商品の開発と、それを買ってくれるお客様の対応に全集中したい人が多いのはないでしょうか?
そうした悩みを解決する方法として、今注目されているのが、AIによるコンテンツ作成です。
TikTokなどのタイムラインを眺めていると、生成AIでコンテンツを大量作成して、そこからアフィリエイトやインプレッション連動によるインセンティブ収入を促すような動画あふれていますが、実際は誰でもそう簡単に収益を上げれるわけではありませんし、中には、AIによって低品質やフェイクとも取れるコンテンツを大量に排出して稼ぐことに、後ろめたさを感じる人もいるかもしれません。また、それらの動画で紹介されるツールは千差万別で、中には課金が必要なものもあり、それらの学習や出費に尻込みしている方もいるかと思います。
しかし、それらのコンテンツが、もし自分の運用しているストアや、知人や大好きなクリエーターの物を紹介するのに役立つものである場合、そういった後ろめたさや、低品質なものを作ってしまう恐れもなくなるのではと思います。また、ツールに関しても、無償でしかも普段使っているものと親和性が高かったり、素人でもとっつきやすいものであれば、始めるハードルは下がるでしょう。
そこで、自分が目をつけたのは、普段使っているGoogle製品と同じ、Googleが提供しているチャット型AIGeminiと、韓国企業VoyagerXが提供しているAI動画生成ツールVrewです。この記事では、ズボラな私が手間暇かけずなんとか続けられそうな、これらのAIツールを使った、オンラインストア(Shopify)のブログとInstagram、TikTok、YouTubeへの投稿動画の作成方法を紹介したいと思います。
1. Geminiにブログの原稿を書いてもらう
まずは、ビジネスの主体であるオンラインストアのコンテンツを増やすために、AIによる高速+大量ブログ投稿を目指します。大量と言っても、せいぜい1日1本、仮に週に1本でも、ECサイトのブログとしてはかなり高頻度な投稿になるのではないでしょうか?これらをいちから自分で書くには、相当のコンテンツ作成力と何より根気と時間が必要ですが、AIを使えば、瞬時に終わります。私がGeminiを選択したのは、普段慣れ親しんでいるGmailなどのGoogle製品と同じように使えること、世界標準の検索エンジンを作っている会社のAIということで、ブログの原稿として、よりSEO的に効果のある内容にしやすいのではないか?という思惑からですが、もちろん、Chat GPTや、Claudeなど、他のAI製品を使ってもいいですし、Canvaなんかのコンテンツ作成ツールのAI機能を使ってみてもいいと思います。同じプロントで出力される内容を比べるのもいいかもしれません。
とにかく、まずはAIにブログを執筆してもらうのですが、テーマを決めなければいけません。このテーマは、自分の場合、自身のSF小説の世界を具現化したオンラインストアと親和性のある必要があるので、最初の記事は、執筆中の小説のテーマでもある、『量子力学』にすることにしました。これは、もしご自身のストアが、スポーツ用品を販売しているのであれば、スポーツの解説記事であったり、和菓子であれば、和菓子の成り立ちの歴史であったりと、テーマは変わっていくはずです。また、オンラインストアではなくてアイフィリエイト用のポータルであれば、もっと自由にいろんなテーマを選べるでしょう(なお、同じドメインの1つのサイトには、何かしら一貫性を持ったコンテンツが集まる方が好まれる傾向があります)。ただし、注意点があります。テーマはできるだけ、その分野に基礎知識があったり、興味が向いているものにした方が良いでしょう。AIの作る文章は間違っていることもあります。作成された文章の内容の正誤をある程度自分で判断できる、もしくはその正誤をネット検索や文献などで調査することに抵抗がない分野を選択することが大切です(流行のテーマだからといって、全く知識や興味のない分野ですと、継続するのも苦労するでしょう)。
ということで、早速Geminiにブログを書いてもらうのですが、ここでどのようにお願い(AIに出す指示テキストは「プロンプト」と言います)、つまりどのようなプロンプトを書けば良いか、迷われる方もいるかも知れません。自分が一番最初の記事を書くときにGeminiに使ったプロンプトは以下でした。
「量子力学についてまとめたブログの記事を書いてください。」
ここでGeminiが出した答えが、実はGeminiを気に入った理由でもあるのですが、Geminiはいきなりブログの原稿を提供せずに、以下のような、執筆にあたっての計画や、より詳しい要望などを聞いてきました。
記事のターゲット読者
記事の構成と内容
記事のポイント
記事のタイトル例
これに対して、Geminiの聞いてきた質問の答えを添えて(記事の長さ: 長く、専門用語の使用:注釈をつけて使ってください。読者のレベル:初心者…など)、再度原稿のお願いをしました。また、執筆中の小説は、量子力学と並んで、仏教も深く関わってくるので、Geminiへの回答として、仏教や宇宙の成り立ちとの関連もお願いしました。すると、次はブログの原稿そのものを出力してくれました。ここで二つ目のGeminiのお気に入りポイントを発見したのですが、今後の展開として、候補となる関連する記事のテーマも、読者を惹きつけるための結びとして、原稿に入れてくれました。つまり、次の記事のテーマまで提案してくれたのです。
このように、始めのプロンプトの内容は最小限にして、AIと対話しながら徐々に具体性を深めたり、今後の計画を練っていく、というのもAIを使ってブログを書く醍醐味かも知れません。もし、関連記事の提案がなかったとしても、追加で、「今後どのようなテーマの記事を書いたら良いか?」と聞けば、同様の提案をしてくれると思います。
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ブログ執筆の計画やチェックポイントをまず確認してくれるのが、ありがたい。
※なお、筆者はこの記事の執筆時点で、無課金のGeminiを使っています。有料のGemini Advanced を使う機会があれば、またまとめてみたいと思います。
2. オンラインストア(Shopify)でブログの記事を公開する
原稿があがったので、これを実際にオンラインストアのブログとして公開するのですが、これは、Shopifyの管理画面の記事作成ページから行います。Geminiの出力する原稿がすでにブログの体裁になっているので、それをはりつけて公開するだけなのですが、SEOも考慮して、見出し部分は、ただのBoldからH2に設定し直す、ぐらいのことはやったほうがいいでしょう。また、Shopifyのブログ記事にはタグをつけられるので、これもGeminiに、「上記の記事にタグをつけるとしたら、どのようなキーワードがいいですか?」というプロンプトを打ち込めば、いくつか候補をあげてくれます。時間があるときにいくつも記事を作る場合は、Shopifyの記事の公開日時の設定機能を使って、日付がばらけるように予約投稿にしましょう。
(3.ブログの記事を多言語化する)
こちらの記事で紹介したように、私のオンラインストアは、英語をマスター言語とした、日英対応サイトになっています。ですので、実は、1.のステップで、生成された原稿の英語版もください、とGeminiにお願いして、英語の原稿ももらっていました。ですので、実際は、2.のステップでは、英語の記事として作成し、上記の記事で紹介しているように、Shopifyの標準翻訳アプリを使って、日本語記事は翻訳データとして公開しています。多言語対応しているサイトをShopifyで運用している場合は、参考にしてください。
※こうして出来上がったブログの記事が以下です。👇(フッターの言語選択で、記事が英語にきりかわります)
4.ブランドのSNS向けの動画をVrewで作成する
ブログが公開できたので、次は動画SNS向けの投稿動画を、AIを使って作成します。ブログ同様、運用するSNS(Instagram、TikTok、YouTubeなど)をオンラインストア、もしくはメインのサイトと紐づいて運用する前提なので、動画のテーマも、それに関連するものが良いです。「うーん、ブログと別にどういう動画を作ればいいんだ・・?」と悩んでしまったあなた、安心してください。実は、すでに動画作成のプロンプトは出来ています。1.で作った、Geminiのブログ原稿、実は、これがそのまま、AI動画作成ツール、Vrewのプロンプトに使えるんです!
ここからは、Vrewの操作説明になりますが、VrewはGeminiと違ってウェブサイトではなくて、PCにインストールして使うデスクトップアプリケーションです。筆者のPCはMacなので、Mac用のアプリをインストールしてPC上で使っています(インストーラーは、公式サイトからダウンロードできます)。操作方法は簡単で、直感的に使えますが、アプリを開いたら、「新規に作成」メニューで作成する種類を動画にして(YouTube向けか、ショート向けかの選択がありますが、とりあえずショート動画で良いと思います)、あとは作成する動画のプロンプトを入れるのですが、私は、ここに1.のステップで生成したブログの原稿をそのまま貼り付けました(一部注釈的な部分など、コンテンツの内容そのものに関わらないメタ情報は除去していますが)。あとは、完了ボタンを押して、待つこと数分、mp4形式で出力可能なショート動画の完成です。Vrewには、テンプレートを選んだり、音声の声優さんを選べたりしますが、特にこだわりがなければ、テンプレートなしのデフォルトの音声で、いい感じの動画にしてくれます。なお、音声で読み上げるテキストも部分的に変更可能です。
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5.各SNSに動画アップする
あとは、Vrewで作成した動画をアップするだけです。InstagramやTikTokはPCのブラウザでも使えるので、そこから直接エクスポートしたメディアファイルをアップしてもいいのですが、昨今のSNS、特にInstagramやTikTokは、スマホアプリでの運用を想定しているので、一旦、スマホに動画ファイルを転送してから、各アプリから投稿した方が、細かい調整ができて良いかも知れません。
※こうして投稿した筆者の動画が以下になります。👇(執筆時点でまだ本格運用していないので、フォロワーもビュー数もしょぼいですが、頑張って伸ばそうと思います・・)
Instagram
TikTok
@benzookapi buddhism quantum entanglement quantum mechanics sci-fi SF 仏教 宇宙の起源 量子エンタングルメント 量子力学 👉 https://benzookapi.com/ja/blogs/news/the-quantum-universe-a-connection-to-cosmic-origins-and-buddhism
♬ オリジナル楽曲 - BENZOOKAPI - BENZOOKAPI
YouTube
6.コンテンツ作成は全てAI化すべきか?
最後に、少し根源的な話になりますが、昨今のAIブームの煽りを受けて、コンテンツ作成も含んだ形で、いろんな職業がAIに取って代わられる、といった風潮、意見があります。私自身は、メインのコンテンツである小説や作画は、今回ご紹介したようなAIによる自動生成ではなく、全て自身の思考と手作業で制作しているのですが、今後こういった活動は全てAIに置き換えていくべきなのでしょうか?もしくは、我々クリエーターが抗っても、そうなるものなのでしょうか?
筆者の執筆時点の考えは、Noです。
なぜならば、こうしたコンテンツの価値とは、その制作過程にあるのではなく、それを消費する人たちが受ける影響そのものだからです。
今回ご紹介したような、一般教養的な説明などの、誰が作っても基本的に同じ内容になるものについては、今後どんどんAIによる高速大量生成が主流になっていくと思われます。一方で、小説、漫画、映画のような作り手の独自の解釈、視点、主張が反映されるもの、絵画やイラストのような、他の作家との差別化が重要な創作物、については、AIで作ることで、逆にその目指すべき価値が損なわれる危険性もあります(画像生成AIの品質が上がることで、本物そっくりの画像や動画が作れるようになる一方で、それらのAIで作られたものがみんな同じに見えてしまうのもその現れです)。このような作家性は、その存在理由ゆえに当分は人間に帰属していくものと思われます(「当分」と付け加えたのは、将来、AIが本当の人間と違わぬ、固有の動機や感情を持つ知性や個性を持ち始めた場合はこの限りではない、という意図ですが、本当にそのような未来が来るのか、目指すべきなのかは、筆者には今の所わかりません)。
例えば、私の場合、このnoteのブログ自体は、自身の経験や考えを述べる場にしたいので、AIの作った記事は載せる予定はないですが、オンラインストアやブランドの動画は、教養などのお役立ち情報を集めた場所にしたいので、AIは活用していくつもりです。もし、皆さんのオンラインストアのブログやSNSの動画も、自身の主張や個性を発揮する場であれば、それはAI化すべきではないかもしれません。このように、どのコンテンツをどのような意図で運用するのかのコンテンツ戦略をちゃんと立てることが、AIによるコンテンツ作成をする上で、大事なことかと思います。
少し小難しい話になりましたが、以上が、AIを使った、無料楽ちんコンテンツ作成についての説明でした。
なお、ここでご紹介したブログの記事1つの公開と、3つのSNSへの動画アップで、30分かからない程度でした。毎日、就寝前や朝の起床後に30分だけ時間を取る、もしくは週一で、まとめて数時間とる、ぐらいのことであれば、継続も難しくないのではと思います(そうは言っても続けられない自分に対する戒めの発言でもありますが・・😅)。
この方法で大量作成したコンテンツが、ストアのSEOやSNSのパフォーマンスにどう影響したかは、コンテンツの量が増えたタイミングで、またまとめてみようと思います。