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■有料記事でしたが、無料公開します。(各1200~1500字相当)

以下の記事については一括有料としていましたが、製作者が他の作業で多忙となり、内容を更新する時間がなくなりました。今後、書き直すつもりはないので、中古の小論文解答例として無料公開することにします。
掲載事例は数年前のものですが、構成の考え方は同じなので少しくらいは参考になるかもしれません。
がんばってください。応援します。(2024年5月)
どの小論文も基本、「ヒモノカシテジョージ」(ヒト、モノ、カネ、シクミ、テクノロジー、ジョウホウ、ジカン)を基に構成しています。
■地方公務員の役割について。
■自治体はIT化にどう取り組むべきか。
■自治体は食料自給率の問題にどう取り組むべきか。
■自治体は防災にどう取り組むべきか。
■自治体は公園の騒音問題にどう取り組むべきか。
■自治体は、ふるさと納税にどう取り組むべきか。

■地方公務員(行政職)の役割について、あなたの考えを述べなさい。(1200~1500字相当)

地方公務員の役割は、自治体住民の全体の奉仕者として、公共サービスを提供することだ。その職種には、一般的な事務処理を行う行政職の他、専門職(看護師や教員)、公安職(警察官や消防士)などがある。とりわけ行政職の仕事は、環境問題から少子・高齢化問題、地域活性、税の徴収まで、住民の生活に関わる多くの分野に及んでいる。こうした行政職の役割を果たすうえで重要なのは、情報力であり、コミュニケーション力だとわたしは考える。たとえば、環境問題に関し、自治体がその役割を果たした成功例として、よく知られているのが、北海道下川町のバイオマス事業だ。再生可能エネルギーである木質バイオマス発電を公共施設に取り入れ、二酸化炭素の排出量削減、暖房費の大幅カットを可能にした。その余剰分の費用は子供の医療費無料化などに当てられ、発電で生じた熱は地元の産業であるシイタケ栽培に利用されている。つまり、地球温暖化対策だけでなく、子育て支援、地域経済の活性化にも役立っているのだ。この事業を推し進めるにあたり、行政の担当者はバイオマスの技術や施設、国からの補助金、関係法令など、あらゆる情報を得て、関係省庁や関連企業、住民と何年にもわたる話し合いを重ねたそうだ。ある課題に対処する場合、人、物、金、仕組み、技術などについての情報を収集・活用し、関係者と密なコミュニケーションを取ることが求められる。こうした行政の働きにより、下川町は国から「環境モデル都市」に認定されている。ただ、行政職の仕事はこのように目立ったものだけではないだろう。戸籍の管理や各種証明書の発行といった日々の事務処理や税の徴収なども重要な役割だ。そして、こうした窓口業務においても、情報力、コミュニケーション力が求められるのは変わらない。たとえば税の滞納者と接する場合、それが貯蓄を切り崩して暮らす年金生活者か、シングルマザーか、コロナ禍で困窮している自営業者かによって、減免や支援の制度、担当部署が異なってくるはずだ。そうした住民を「たらいまわし」することなく、迅速に対応するためには、個々の職員が行政全体の組織やサービスを情報として正確に把握している必要がある。また、担当部署どうしの密な連携が求められるし、時に煩雑な行政の手続きを分かりやすく住民に伝える技術も望まれるだろう。そうした情報力やコミュニケーション力を常日頃から培っておくことも、地方公務員の重要な役割だとわたしは考える。(1014文字)2022.3/3制作

※「人、物、金…」を意図的に本文に入れ込んでみました。
※事例が古くなっている場合は新しいものに差し替えてください。
※文字数を減らすなら、太字の部分は不要。
※下川町の事例をあげてみましたが、他の自治体の取り組みも調べ、応用してみてください。「自治体通信 先進事例」、「環境省 ミライアイズ」などで検索すると掲載されています。

■小論文弁当のレシピ(調理の流れ)

①地方公務員の役割は公共サービスの提供であり、多岐にわたっている。
②その役割を果たすうえで重要なのは情報力であり、コミュニケーション力だ。
③その二つの力が発揮された事例として、次のようなものがある。(具体例を示す)
④ただ、公務員の仕事はこうした注目を集めるものばかりではなく、目立たない業務も多い。
⑤しかし、そうした業務においても情報力、コミュニケーション力は重要だ。その二つの力を日頃から培っておくことも公務員の役割だ。

※こうしたレシピ(流れ)が事前に分かっていないと、筋が通った小論文は書けません。予期していないテーマが出題され、レシピを作れない時は、取りあえず「ヒモノカシテジョージ」で内容を整理し、文字数を埋めてください。粘ること、熱意を示すことで、乗り切れる場合があるかもしれません。

■自治体のIT化への取り組みについて。(1200~1500字相当)

今日、多くの自治体が、超高齢化社会による行政サービス需要の増大、少子化による労働人口の減少、地域経済の停滞といった問題を抱えている。また、環境問題、格差社会、防災、新型コロナウイルスへの対応なども、自治体の業務を増大、多様化させており、そのため職員や施設の不足、財源の不足が指摘されている。こうしたヒト、モノ、カネに関わる問題の解決を「状報技術」を活用した新たな仕組みによって図ろうとするのが、自治体のIT化だ。わが国では2021年にデジタル庁が発足し、自治体におけるIT化・デジタル化への取り組みがこれまで以上に推進されている。その身近な例としてあげられるのが、窓口のIT化だ。住民移動の窓口に他課の手続き業務を情報連携させることで、来庁者の移動、課ごとに行われる本人確認、移動内容の説明などを省くことができる。また、字幕表示や翻訳機能を有する対話型ロボットが窓口に配置されれば、聴覚や視覚に障害を持つ人や外国人への対応もスムーズになるはずだ。すでに自治体によっては、行政サービスに関わる問い合わせや子育て相談などをオンライン化し、来庁する手間をなくすことにも成功している。また自治体のIT化においては、AIを活用したさまざまな先導事例も見られる。たとえば、介護予防やケアプランの作成、保育所入所選考の自動化、児童虐待対応支援システム、リアルタイムでの議事録作成、道路管理システム、固定資産税の対象物件を把握するための航空写真解析などだ。こうした新たな仕組みを構築、導入し、使いこなすには、優れたIT人材が自治体に求められる。その育成のための仕組みづくり、助成金の活用などにも自治体は積極的に取り組むべきだろう。新型コロナウイルスの感染者を集計する際、FAXを使用していた保健所があったそうだが、そうした時代遅れのアナログは即刻、改善されるべきだ。ただし、IT化は、ただ、やみくもに推し進められてはならない。情報の管理・保護、停電時の対応など、デジタル化特有の問題について事前に十分な安全対策を講じておく必要がある。そして、もう一つ重要なのは、自治体が目ざすIT化は、すべての人にやさしくなければならないということだ。特に高齢者の中には、デジタル端末を扱うのが苦手だったり、担当者と直接会うことで安心感を覚える人も多い。そういった人たちも、誰ひとり取り残さないIT化こそが、多様性にも配慮した、より質の高い行政サービスの実現であると、わたしは考える。(1026文字)制作2022.8/28

※この小論文も「ヒモノカシテジョージ」(ヒト、モノ、カネ、仕組み、テクノロジー、情報、時間を基に構成を考えるやり方)で作ってみました。詳しくは、フロントページの説明を参照してください。
※文字数を減らすなら、太字の部分は不要。
※総務省の「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」
「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに応じたサービスを選択することができ、多様な幸福を実現できる社会。それは誰ひとり取り残さない、人にやさしいデジタル化」
※「誰ひとり取り残さない」はSDGsの前文に見られる言葉で、キーワード的に使えます。SDGsはその9番目の目標に「産業と技術革新の基盤をつくること」を挙げています。この流れから自治体のIT化を論じるアプローチもありかも。
※地方自治体が抱える問題の具体例としては、サービス産業の撤退、地域公共交通の維持、空き家、空き店舗、工場跡地、耕作放棄地の増加などもあります。
※窓口のデジタル化の例としては、押印の廃止、添付書類の簡素化、キャッシュレス決済などもあります。
※AIの活用事例については「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」などで検索。皆さんが受験される自治体の事例があるかもしれないので、一応、チェックしてみてください。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①今日の自治体は、超高齢化・少子化社会の到来により、職員や施設、財源の不足が問題となっている。そうしたヒト、モノ、カネに関わる問題を、情報技術を活用した新たな仕組みによって解決しようとするのが自治体のIT化だ。
②2021年にデジタル庁が発足し、自治体のIT化は加速している。その窓口における事例はこのようなもので、AI化の事例にはこのようなものがある。(具体例を示す)
③そうしたIT化を促進するためには、自治体における人材育成が不可欠であり、そのための仕組みづくり、助成金の活用が望まれる。
④ただし、自治体のIT化は、やみくもに行われてはならない。高齢者なども誰ひとり取り残さない、人にやさしいIT化であるべきだ。

※他の記事でも触れましたが、このレシピが分かっていないと、小論文弁当は作れません。

■自治体は食料自給率の問題にどう取り組むべきか。(1200~1500字相当)

わたしは、自治体は食料自給率の問題において、地方創生の視点も持って臨むべきだと考える。食料自給率とは、その国の食料消費がどの程度、自国の生産でまかなえているかを示す指標だ。一般的には「カロリーベースの自給率」を指し、国産の供給熱量を国民一人に一日当たり供給されている熱量で除して算出される。わが国の食料自給率は2020年度において37パーセントにまで落ち込んでおり、これは先進国のなかでも、かなり低い数値だ。その原因としては、高齢化による農業従事者の減少、グローバル化による輸入穀物の増加があげられる。特に輸入穀物については、地球規模の異常気象による不作、国際紛争による貿易停止、コロナ禍による輸送の混乱などにより供給が危ぶまれている。こうした現状を受け、政府は「新たな食料・農業・農村基本計画」を閣議決定し、食糧自給率を2030年度までに47パーセントに向上させるという目標を打ち出した。これは生産者に対しては、輸入に頼る小麦や大豆の「国産代替」を推進し、国民に対しては「地産地消」を促すものだ。その実行に向けて自治体は、国との協働、地域の特性を意識したうえで、人、物、金、仕組み、技術、情報を活用し、より効果的な施策を打ち出すべきだ。まず「国産代替」においては、農業に従事する「人」の確保、増加が望まれる。このための施策としては、農業体験ツアーなどによる農業移住の推進、外国人労働者の雇用が考えられる。また、いわゆる農福連携(農業と福祉の連携)による、引きこもり経験者や障がい者の雇用も有効な施策となり得る。同時に、メガファームに代表される農業の大規模化、ビジネス化も押し進める必要がある。その実現のためには、農地や施設の集積、新たな機材の導入など、「物」に関わる取り組みが求められる。さらにはAIやバイオテクノロジーといった「技術」を駆使したスマート農業も不可欠だ。国は農地の拡大や農業用ドローン、ロボット農機の購入に「補助金」を交付しているが、そうした「仕組み」を自治体は活用し、効果的な助成を行うべきだ。農業従事者が増え、ビジネスとしての成功事例が増えれば、それが地域経済を活性化させる。次に「地産地消」への取り組みだが、地元食材の学校給食での活用、宿泊施設など観光業との連携があげられる。特に学校給食は、食育の教材としての役割も果たしてくれる。米飯や郷土料理を定期的に提供することで、食への関心が高められ、それは将来の農業を担う人材の育成にも役立つ。そして自治体はこうした自らの活動を「情報」として、地域住民や他の自治体へと発信していくべきだ。そのような自治体が増えることで、食糧自給に関する取り組みは強靭さと持続可能性を増し、それが安定した食料供給、地方創生につながっていくはずだ。
(1148文字)制作2022.6/11

※太字の個所は省略可能。
※ヒモノカシテジョージ(人、物、金、仕組み、テクノロジー、情報、時間)を意識して構成してみました。時間については、「  」で目立たせることはせず、「2030年度までに」といった表現にしています。
※数字は年度が変われば古くなるので、新しいものに更新してください。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①自治体は食料自給率の問題に地方創生への取り組みという視点も持って取り組むべきだ。
②食料自給率とはこういう意味で、こういった問題点がある。
③自給率をあげるためには、「国産代替」と「地産地消」が重要だ。その実現には、自治体が人、物、金、仕組み、技術、情報をうまく活用する必要がある。それぞれに具体例を示す。
④自治体は自らの取り組みを情報として発信していくべきだ。そうした自治体が増えることで、食料自給率への取り組みは強靭で持続可能なものになり、それが地方創生にもつながる。

■防災における自治体の役割について。(1200~1500字相当)

防災において重要なのは、人々の意識・行動であり、情報、物、金、技術などをいかに活用するかだ。これらに対し、自治体はリーダーシップとパートナーシップをもって取り組むべきだと、わたしは考える。まず、人々の意識・行動についてだが、防災においては、日頃から危機意識を持ち続け、災害時には冷静で迅速な行動を取る必要がある。そのために自治体に求められるのは、折に触れての防災意識の喚起であり、災害時の行動に直結した情報の提供、訓練の実施だ。たとえば防災訓練を催す際も避難訓練だけに終わることなく、炊き出し訓練や情報伝達訓練、夜間訓練なども行うことが望ましい。また、地元の祭りや商店街の催し、小中学校の運動会に防災イベントを取り入れることも有効だ。そうした工夫された仕掛けを考案し、住民をリードしていくのも防災における自治体の役割だろう。次に、物(施設や設備)、金(補助金や助成金)についての取り組みだが、自治体はこれらについても、先導的で効果的な施策を行っていくべきだ。たとえば、ある自治体はゴミ焼却場を建設する際、そこに充電設備を備えることで防災拠点としての機能も持たせている。これなどは防災と省予算という自治体が抱える二つの課題に賢く対応した例だろう。また、多くの自治体がブロック塀の改修などの防災対策に補助金を出しているが、自治体によっては紙オムツや生理用品も助成の対象としている。このように物、金に対する工夫された細やかな施策は、防災意識を身近にし、住民から信頼を得るという点からも意義がある。さらに技術に関しては、最近ではAIを活用して河川の水位予測や特定地域の気象予報を行う自治体も増えている。音声変換、字幕変換、言語変換できるアプリも普及しているので、それらを積極的に活用し、障がいを持つ人や外国人のサポートに役立てるべきだ。そして、防災においてリーダーシップ以上に重要なのがパートナーシップだ。なぜなら、一度、災害が起こってしまえば、自治体のリーダーシップには限界があるからだ。時には自治体の施設や設備が被災したり、職員が被災者となるケースもあり得る。災害時、公助には限界があり、求められるのは住民同士の協力(共助)であり、自己の的確な行動(自助)だ。また、防災には「空振りOK、見逃しNG」という言葉がある。もし避難勧告が出されて、それが空振りに終わったとしても、その対応を過剰だとせず、それもよしとする住民との防災意識の共有が望ましい。日頃からそういった信頼関係を住民と培っておくことも、防災における自治体の重要な役割であると考える。(1072文字)制作2022.7/27

※文字数を減らすなら、「技術」については省略する。
※文字数を増やすなら、たとえば以下のような文章を足す。
また最近ではSDGsが注目されている。そこには意欲目標として「住み続けられる町づくり」があり、その行動目標に「災害による死者や被災者を大幅に制限する」というのがある。防災を不幸な状況に対処する問題としてだけ捉えるのではなく、骨太で、よりよい町づくりのための施策だと捉える積極的な意識を発信していくことも自治体の役割であると考える。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①防災において重要なのは、人々の意識・行動であり、情報、物、金、技術だ。自治体はこれらについて、リーダーシップとパートナーシップをもって取り組んでいくべきだ。
②まず意識と行動だが、自治体は災害時の行動に直結した情報を提供し、訓練を行うべきだ。そのためには工夫された仕掛けが望まれる。
③また、物と金についても、先導的な施策が望まれる。AIなどの技術もリーダーシップをもって活用するべきだ。
④ただ、防災においてはリーダーシップ以上にパートナーシップが重要だ。災害時には公助だけではなく、共助、自助も求められる。
⑤そうした防災意識を住民と共有するために、日頃から信頼関係を培っておくことも自治体の重要な役割だ。

■公園の騒音問題に自治体はどう取り組むべきか。(1200~1500字相当)

公園とは公衆が憩い、または遊びを楽しむために公開された場所だ。人々の癒しや健康増進、交流の場として利用される他、災害時には避難場所としての役割も果たす。しかし近年、特に都市部の公園においては、子供たちの遊ぶ声や、祭りやラジオ体操など地域のイベントによって生じる音が騒音とされるケースが目立っている。わずか一世帯の苦情により、公園の廃止が決まったと報じられた長野市の事例などは記憶に新しい。では、こうした公園の騒音問題に自治体はどう取り組むべきだろうか。わたしはある課題に対処する場合、「人」、「物」、「金」、「情報」などをうまく組み合わせた「仕組み」づくりが重要だと考える。まず、「人」だが、可能であるならば、ボランティアの活用が望ましい。その地域の自治会役員や子供達の父兄、シルバーボランティアが公園の管理・運営に携わることで状況の改善が期待できるはずだ。次に「物」、「金」に関わる取り組みだが、その施策としては、公園に防音壁を設置する、自治体の出費により隣接住宅に防音窓を取り付ける、公園の代わりに近隣の小学校のグラウンドを開放するといったことが考えられる。さらに「情報」についてだが、自治体はその騒音に関わる情報をデータ化して関係者と共有し、取り組みのプロセスも含め外部に公表していくべきだ。環境省の騒音の基準は、昼間55デシベル以上、夜間45デシベル以上だが、ある音を騒音と感じるかどうかは、やはり個人差がある。その音を客観的に数値化し、発信することで、同様の問題で悩む他の自治体の対処の目安になるはずだ。そして、こうした状況を踏まえたうえで、この問題の取り組みに一つのヒントを与えてくれるのが、アメリカの事例だ。アメリカには「NJC」と呼ばれる近隣紛争解決機関があり、州や郡が住民に無料で紛争解決サービスを提供している。その扱う内容は騒音問題から契約不履行、ハラスメント、ペットの苦情まで多岐にわたっているが、調停を行うのは訓練を受けた民間のボランティアだ。訴訟による解決ではなく、当事者が意見交換により相互理解を深めることで、関係を修復することを目ざしていて、「自主交渉援助型調停」と呼ばれている。このアメリカ式の紛争解決の「仕組み」は、その合意率が80%を超えているそうで、わが国においても導入を検討してよいのではないだろうか。ただ、その実現には、制度づくりや人材の育成が求められるから、まだ時間がかかるだろう。それまで自治体は、地域全体の奉仕者として、公平な視点を保ちつつ、その調整に粘り強く取り組んでいくべきだと考える。(1069字)2023・2/16制作

※文字数を減らすなら、「環境省の騒音の基準は、昼間55デシベル以上、夜間45デシベル以上だが、」という部分は削れる。
※NJCの正式名称は、Neighborhood Justice Center(近隣司法センターとも呼ばれている)。
※東京都は2014年に「環境確保条例」を変更し、6歳までの子供やその保育者が保育所や幼稚園、公園などで発する声や遊具を使う音は騒音規制の対象外としている。
※ドイツは2011年に法律を改正し、子供が発する声や音は、環境を害する騒音ではないとしている。これにより、子供の騒音を理由に訴訟を起こすことのハードルが高くなったとされている。「子供が発する声や音に対しては、毎日長時間でなければ住民は我慢すべきだ」とする判例もあるそうです。
※子供による公園の騒音問題は、少子化問題やSDGs(「住み続けられるまちづくりを」が目標の一つになっている)、地域活性化などとも関わってきます。
※集団面接のディスカッションのテーマとしても度々、登場しているようです。
小論文の中で触れた「長野市青木島遊園地」、それから「西東京いこいの森公園」の事例(噴水で遊ぶ子供の声がうるさいと訴訟になり、噴水を止めた)などは事前に知っておくと慌てなくてすむかも。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①公園とは公衆が憩い、遊びを楽しむために公開された場所だ。(定義)
②しかし近年、特に都市部の公園では騒音が問題となっている。
③自治体はその課題に、人、物、金、情報、仕組みを活用し、取り組んでいくべきだ。騒音問題に関しては、とりわけ客観的なデータとしての情報が大事だ。
④また、その問題への取り組みのヒントとなるのがアメリカのNJC(近隣紛争解決機関)だ。(その説明)
⑤ただ、その仕組みを日本で作るには時間がかかるだろう。それまで自治体はこの問題に対し、公正な視点をもって粘り強く取り組んでいくべきだ。

■自治体は今後、ふるさと納税にどう取り組むべきか。(1200~1500字相当)

A案

ふるさと納税とは、本来は住んでいる自治体に納める税金を任意の自治体に寄付することで住民税や所得税が控除される仕組みだ。この寄付金により、特に地方の自治体は財源不足を補えるし、納税者も返礼品として地元の特産品などを得られるメリットがある。ただ近年、より多くの寄付金を得るための返礼品の高額化や地元産業とは関係のない電化製品の出品など、自治体の過度な返礼品競争が問題視されている。★また、寄付金の使い道についても、慢性的な財源不足緩和のために消費されるだけで、新たな価値を生む創意工夫がないといった指摘もあるようだ。では、こうした現状に自治体はどう向き合っていくべきだろうか。わたしは、自治体は今後、物だけでなく、人をより重視して、ふるさと納税を活用していくべきだと考える。短期的な視野で、目新しい返礼品を売りにしても、物に引かれる納税者は別の自治体に目移りする可能性も高い。それよりも長期的な視野で、地域における人材育成や関係人口の増加に重点をおくべきだ。物はそれ自体の価値しか持たないが、人は新たな価値を継続的に生み出すことができるからだ。そうした取り組みのヒントとなるのが、総務省が推進している「ふるさと企業家支援プロジェクト」であり、「ふるさと移住交流促進プロジェクト」だ。前者は自治体がクラウドファンディング型のふるさと納税を活用して地元の起業家に資金提供を行うものだ。これにより、たとえば徳島県では地域の杉材を活用したアロマオイルの開発プロジェクトが立ち上げられている。また佐賀県では収穫ロボットを導入した最先端農業経営プロジェクトにより、高齢化・過疎化による耕作放棄地の問題解決が期待されている。また後者の「ふるさと移住促進プロジェクト」だが、これはふるさと納税をきっかけとして、段階的な移住・交流の支援を行い、まず関係人口を増やそうというものだ。その地域に滞在して就労することで地元の人々と触れ合う「ふるさとワーキングホリディ」や中学・高校生を対象とした「子ども農山村交流」などがこれに当たる。これらの試みは、これまで物の消費に片寄り過ぎていたふるさと納税の使い道を、人や事業への投資へとシフトするものだ。そうした将来を見すえた取り組みを推し進めることが、結局のところ、ふるさと納税の本来の意義である自治体の支援、地方活性化をより確かなものにすると、わたしは考える。(989字)制作2023.3/30

※文字数を増やしたいのなら、★印の箇所に以下の文章を差し込む。

こうした現状に対して総務省は、返礼品はふるさと納税額の三割以下で、地場産業品に限るという目安を設けたが、それを不服とする自治体が訴訟を起こしたケースも見られる。

※上記の訴訟に関しては、泉佐野市が勝訴している。ふるさと納税は面接の集団討論のテーマになる可能性もあるので、把握しておいた方が慌てなくて済むかもしれません。

※「関係人口」とは、観光による「交流人口」や移住による「定住人口」ではなく、地域と関わる人々の数を意味している。キーワードとして覚えておくと、面接時の集団討論などの際に使えます。

「ふるさと起業家支援プロジェクト」の事例については、ネットで最新のもの、自身が受験される自治体のものがないかを検索してください。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ)
①ふるさと納税はこういう制度で、自治体にも納税者にもメリットがある。
②しかし近年、自治体同士の過度な返礼品競争が問題視されている。寄付金の使い道についても、単に財源不足緩和のために消費されるだけで、創意工夫がないという指摘もある。
③これからのふるさと納税は、物だけでなく、人材育成や関係人口の増加を重視して活用されるべきだ。そのヒントとなるのが、「ふるさと企業家支援プロジェクト」であり、「ふるさと移住交流促進プロジェクト」だ。
④そうした人、事業への投資が結局のところ、ふるさと納税の本来の意義である自治体の支援、地方活性化をより確かなものにするはずだ。

B案

ふるさと納税とは、本来は住んでいる自治体に納める税金を任意の自治体に寄付することで住民税や所得税が控除される仕組みだ。この寄付金により、特に地方の自治体は財源不足を補えるし、納税者も返礼品として地元の特産品などを得られるメリットがある。それにより自治体においては税収の増加、地域の知名度向上、地域産業の活性化が期待でき、納税者も返礼品として地元の特産品などを得られるメリットがある。ただ近年、より多くの寄付金を得るために、返礼品の高額化や地元産業とは関係のない電化製品の出品など、自治体の過度な返礼品競争が問題視されている。ふるさと納税によって、かえって地域格差が助長され、制度本来の趣旨が失われているという批判も見られるようだ。では、こうしたふるさと納税の現状に自治体は今後、どう取り組むべきだろうか。そのヒントとなるのが、総務省が現在推し進めている「企業版ふるさと納税」だ。これは企業が地方公共団体の地方創生の取り組みに対して寄付をした場合、法人関係税が控除される制度だ。個人が行うふるさと納税のように返礼品はないが、企業として地域振興やSDGs達成などの社会貢献をPRできる。また、法人税の軽減を受けられるメリットもある。この制度を活用し、現在、多くの自治体が地方創生事業を展開している。ある自治体は交通・都市計画の一環としてコンパクト・シティ化を推進しているし、別の自治体は環境保全の分野で森林資源を活用したエネルギー開発に着手している。さらにはコンビニと提携したベビーステーションの設置などの子育て事業、人材育成のための奨学金事業、歴史文化遺産を活用した観光事業、感染症対策、防災、災害復興支援、遊休農地の活用など、その取り組みは自治体が関わる多くの分野に及んでいる。★ある課題に対処する場合には、金、物、人、仕組み、時間などをバランスよく使い、最良の効果をあげることが重要だ。その意味で言うと、現在まだ多くの自治体が短期的な視野で、金(寄付金)や物(返礼品)にこだわりすぎた取り組みをしているようだ。それよりも将来的な展望のもとに、人材育成や関係人口の増加、プロジェクト事業の開発といった、人や仕組みに関わる施策を重視するべきだ。単なる消費に終わることなく、新たな価値を継続的に生む投資を推し進めることが、結局のところ、ふるさと納税の本来の意義である自治体への支援、地方活性化をより確かなものにすると、わたしは考える。(1011字)
制作2023.3/30

※文字数を増やしたいのなら、★印の後を以下の文章と差し替える。

また、総務省は同時に「ふるさと企業家支援プロジェクト」や「ふるさと移住交流促進プロジェクト」も推し進めている。前者は地域経済の活性化を図るために自治体がクラウドファンディング型のふるさと納税を活用して起業家に資金提供を行うものだ。後者は、ふるさと納税をきっかけとして、段階的な移住・交流の支援を行うもので、滞在して働きながら地元の人々と触れ合う「ふるさとワーキングホリディ」や中学・高校生を対象とした「子ども農山村交流」などがこれに当たる。これらの試みは、これまで金や物の消費に片寄り過ぎていたふるさと納税の使い道を、人や事業への投資へとシフトするものだ。そうした将来を見すえた取り組みを推し進めることが、結局のところ、ふるさと納税の本来の意義である自治体への支援、地方活性化をより確かなものにすると、わたしは考える。

※「企業版ふるさと納税ポータルサイト」で検索すると様々な地域の事例を見ることができます。

小論文弁当のレシピ(調理の流れ) 
①ふるさと納税はこういう制度で、自治体にも納税者にもメリットがある。
②しかし近年、自治体同士の過度な返礼品競争が問題視されている。ふるさと納税がかえって地域格差を生んでいるという指摘もある。
③これらの現状を踏まえたうえで、その課題解決のヒントとなるのが「企業版ふるさと納税」制度だ。現在、さまざまな事例が見られる。
④単なる消費に終わらせるのではなく、人や事業への投資を重視することが、ふるさと納税の本来の意義をより確かなものにするはずだ。




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