ジュンイチ

ジュンイチ

最近の記事

玉の行方

職場で野球の話が盛り上がってた。甲子園の時期だからか?まぁそれもよく知らねぇけど。興味が皆無の俺は必然的に無口になる。なんか嬉々として語ってるけど、あんな玉がどこいったか見るもんの何がそんなにおもしれぇんだろ。ああ、ほんとうるせぇな。俺は単純で出来の良いB級映画ばっか見てきたから、スポーツにドラマチックを落とし込めるのが容易じゃないし、運動神経悪いとああいう運動そのものに嫌悪しか感じてないから、はっきり言ってずっと邪魔なのよね。昔は野球中継が延長すると、その時間帯のバラエティ

    • ざまぁみろの一撃

      だっりい。二日酔いだよ。起きたら昼前だった。こんな寝られたのいつ以来だろ。というか酒で失神してただけか。まぁいいや。酒を飲んだ夜は大体ろくに食ってないんで、空腹に何かぶち込みたくなる。何にもねぇな。めんどくせぇけど、なんか買ってくるかな。シャツと短パンの身軽な軽装で気楽に外に出られる。夏の良いとこはこれだよな。かと言って他に何も浮かばず、その季節ももう終わる。遠目には積乱雲も立ち込め、空の半分ぐらいに晴れ間が見える。どうせ一雨降るんだろ。土の臭いがほのかにかすめた。 近所のス

      • 夏休みの宿題

        なんだかすっとろい車が多いな。他県ナンバーもチラチラいるよ、邪魔くせぇな。ああ、そういや盆休みだったか。こんな混み合ってる中をその原因の車が気付いていないで滞ってる。夏休みねぇ。限られた時間に足並み揃えて色々と詰め込んで忙しなくして、どこが休みなんだかよ。嫌だね本当に。休みまでまわりと時期と歩を合わせるなんて俺はゴメンだけどね。タバコの煙を吐き出して走る車の中から子連れの姿をちら見して、まぁそういうもんかと気を散らした。 俺がガキの頃は、夏休みの時分は毎年その一ヶ月ばかりを母

        • いつまで経っても消えない疼き

          相変わらずダメだ。イライラする。俺以外の戯れがタイミング悪いところでこだましてうるせぇ。俺の不機嫌を察知して嫌がらせであてつけてるとしか思えねぇんだけどよ。かと言って外には出なきゃならねぇし、それでまた他の楽しそうな様がいちいち向こうから俺の目に入ってくる。ガキの頃から何にも変わらねぇ。いきがってないで、もっとお前らの逆の不様を見せてくれよ。多分あいつらはてめぇの欲に率直で何の躊躇も湧かねぇんだろうな。大体俺は他のデリカシーがないところを拾う性格だから、そういうデリカシーのな

          祭り

          17時頃仕事で車を駆ってたら、やけに前が詰まってる。土曜だからかな。相変わらずとれぇからな、休日ドライバーは。事故でも起こしてねぇだろうな、邪魔くせぇ。こっちは仕事なのよ。前の車もそんな中を長々と車間距離とってるせいで、俺の車の進みが尚悪い。もっと前詰めて行ってくれ。タバコが信号一つ越すたびに消えていく。町中を向かう方向に進んでいる。別にたまたまそっちの方に目的地があるだけで、そのど真ん中には全く用がない。でもやたらそちらを目指すのが群になって、俺はその渦に巻き込まれてる。無

          おまわりさん、あいつです

          あれ、ここって俺が目指してたとこじゃねぇんだけど。逆方向のゴールで目覚めた。日が変わってるよ、また調子乗って飲み過ぎたな。あ~もう帰る手立てもねぇ。まぁいいや、この熱気だからそこらで寝られるわ。俺は駅の改札をくぐり駅の出入りのロータリーの一角に腰を落とした。カバンを後頭部に持っていくと、仰向けでまた夢を見ることにした。明日も仕事かよ。まぁ遣りこなせるポテンシャルがあるから俺もつれぇんだけど。潜った修羅場の数が違うからな、その辺のバカとは。自惚れて体勢が固まったらすぐに鬼のよう

          おまわりさん、あいつです

          カッコつけたバカども

          なんだよ、ちょっと雨降ってるじゃねぇか。めんどくせぇな。ビニール傘を玄関の中から開いた。さてと、しょうがないから今日も生きますか。やらされてるから仕方なくやってんだと、そう思うだけで俺の憂さも少しだけ晴れる。チッ。刹那、何故かムカつく身内のアホ面がチラついて、殺意を持ち帰る代わりに敷地内に痰を吐きつけといた。バカが。どうせ雨で流れるだろ。 駅前のロータリーに差し掛かる。いくらかいつもより少し早く出たせいで人はまだそれほどいない。いつもこのぐらいの人数で動いててくれよ、全然足り

          カッコつけたバカども

          暗いニュースが街に降る前に

          まだ5時だってのに、なんだこの暑さは。そのせいじゃないが目覚ましなしでもその頃には勝手に目が覚める。飲み過ぎた翌朝ぐらいは寝坊するが、適量で済めばとりあえずスッキリ覚醒する。正直寝てる間にいる夢の世界の方が居心地が良いんでそのまんましばらく目覚めなくても困らないんだけどな。起きちゃったから仕方ないんでダラダラと仕事に向かう。 いつもの乗口で電車を待つ。ホームに滑り込む車体の座ろうとする座席に目線を置くと、こないだ会ったあのデカい奴がそこを占拠しているのが見えたので、乗りながら

          暗いニュースが街に降る前に

          霊が見えるらしいので俺も見てもらった

          ちょっと前に飲み会に誘われた。俺は呼ばれりゃいとも簡単に姿を晒すような安い人間なんで、まぁ暇だしで行ってみた。うちの一人の女が霊が見える体質だって言ってたんで、試しに俺にも何か憑いてるのか聞いてみた。思いあたる節はあった。たまに金縛りに遭うし何せこんな不憫な人生をいってるから、それはもしかしたら俺に憑いてるそいつらのせいなのかなぁなんて思ってもいた。するとその女は 「二人見えます」 と答えた。やっぱりいるか。昔他のそういう見える女に聞いた時は五人ぐらいいるって言ってたけど、ま

          霊が見えるらしいので俺も見てもらった

          朝っぱらからまた出会した

          いつ〜も〜の駅〜の乗口で、待〜って〜た電車がや〜って来た。ドア〜が〜開き、中〜に〜入る。座席は埋ま〜ってた〜。なにぃ〜か〜がいる、なにぃ〜か〜がいる、なにぃ〜か〜がい〜る〜さ〜。うまく出来た。明日があるさって流行った歌のリズムに乗せてみた。また朝からやべぇのがいる。こないだはババァだったが、今度はクマみたいな中年男が三人掛けを占拠していた。体重三桁余裕であるだろうな。右手に携帯、左手にポケモンの玉の玩具を握ったまんまだらんとして、まぁ所謂オタクなのかな、三人掛けの真ん中に陣を

          朝っぱらからまた出会した

          夜の公園で

          最近は毎日酒を飲んでいる。早ければ日中から濃いめの酒を飲んで鬱々とした心を気付けてフワフワさせてる。ただその酒にも体が慣れてきて、がっつり陶酔するというのも段々となくなってきた。正味眠気を誘ってくれればって期待もあるんで二リットルぐらい飲んでの酒の酔いで横になるが、大体二三時間で気絶から覚醒してしまう。夜に寝てまた夜に目が覚める。朝日が見えたところでようやく疲れからくる眠気に襲われるが、その時間には仕事に行くので外に出なければならない。それでまた嫌な人間を見なければならず、致

          夜の公園で

          スパイシーモーニング

          今日もいつもの三人掛けの優先席がすぐにある位置の乗口で電車を待った。扉が開くとその一端が開いていたので、俺はそそくさとそこに掛けた。と、コツっと腰骨のところに固いものが触れたのが分かった。なんだよ、誰かの飲みかけの缶コーヒーが座席の端に置かれたまんまになっていた。チッと舌打ちした。誰だ置いたバカは、だから空いてたのかよ。まあいいや、俺はコーヒーに当たらないように衝立に体を預けた。体柔らかくて良かったわ。傍から見たらグネっとなってんだろうけど。俺の対角には俺より年増の中年女性が

          スパイシーモーニング

          損な役回り

          何年も前の忌々しい思い出の話だ。 電車が俺を地元まで運んで吐き出した。もう夜になっていて、降車していく雪崩みたいな人混みに仕方なく身を委ねてホームに足を着けると、俺の降車口から少し改札までの階段に近い側でパンと何かを打ち付けるような音が響いたのが聞こえた、すぐにそこらに人集りが出来上がった。階段を目指して歩きながらそちらを見ると、学生時分の女が卒倒して地面に頭を打ち付けてしまったのを付近の何人かで介抱しているのが分かった。そのうちの一人が 「誰か救急車を!」 とすぐに叫びだし

          損な役回り

          誰かなんとか言ってやれ

          俺よりタッパがあっていかにも休日は筋トレしてますみたいな髪の毛を靡かせるように撫でつけたムサイ男が、胸を張って歩いていた。Yシャツの下に何も身につけてないせいで乳首の隆起が顕になっていて、そんなもん見たせいで朝から気持ち悪くなった。胸張って歩くな、俯いて端の方でも歩いとけバカが。 電車の三人掛けで、全部空いてたとしてまともな神経の奴は大体端のどちらかに座る。でも俺が見た婆さんはその真ん中に位置取り、両端に荷物を置いて、一人で三人掛けを占領していた。それで平気で化粧なんかしちゃ

          誰かなんとか言ってやれ

          ゾンビズ57

          犬と人間とでは確か日本刀を持って互角とか聞いた事あるな。マスターキートンも苦戦してたし、ホントかよ。噛みつかれる未来しか見えねぇぞ。モミヤマはピッケルを右肩に構えて向かってくる犬を見た。あれ柴犬かな、動き速いし、人型のゾンビよか質悪いな。犬は好きなんだけどな。人型の方に対する慣れもあった。もうこの人頼るしかねぇよ。迫る犬の手前のトヨカワを見つめた。トヨカワは右手でピストルを構えて、左手はもう脇腹にあてがっていた。トヨカワは雨樋から身を晒していた。クラウンの前に出て迎撃している

          朝っぱらからクソみたいな気分

          ジワジワいってる湿気の多い朝、それでもううんざりしながら少しだけ遅く出たら、駅はいつもの時間の倍方の人で溢れてた。勘弁して下さいよ。見るからに既に汗がシャツに滲んでるおっさんとか、制服を着た若者の声だとか、そんな学生がてめぇの顔面に小型の扇風機を向けてる場面だとか、鼻に触る体臭だとか、見聞きしても何にも得にならないような要素が嫌でも近くに転がってる。これだけ混雑してると別に人口が少なくなってるような気もしない。全然まだまだウジャウジャしてるわ。朝は早いに限るし、人は少ないに限

          朝っぱらからクソみたいな気分