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日経コンピュータ2024.08

日経コンピュータは、2週間に1冊発刊される雑誌です。
年間52週÷2=26冊発行されます。月に一度特集を中心に紹介します。

日経コンピュータ2024.08.08

特集【官製デスマーチ 自治体システム標準化、政治主導で暗雲】(P.10)

全国の自治体は2025年度末までに主要業務20種を標準仕様に準拠させ、その上で政府運営の「ガバメントクラウド」に移行しなければなりません。
※2020年の骨太の方針で示され、同年菅内閣で法制化されました。ここにまとめました。
 2022/03 標準仕様書を作成する
 2026/03 標準化を終えガバメントクラウドに移行する

1.「常識から逸脱」異例の改修の実態
(1)アプリとクラウドの両方がプリンとババロアを重ねている
 ・標準化仕様が2024年になっても改版し続けている
 ・ガバメントクラウドもチューニングを進めて変化している
(2)急に発表された定額減税で少ない人材の取り合い状態
2.改版続けた「仕様書」 迫る移行期限に戸惑い
(1)2022年から現在まで、ほとんどの業務仕様書が3回以上改版
 →例えば「標準フォント」が決まったのは2024年3月
  フォントファイルの提供は2024年9月予定
(2)ITベンダーのSEリソースの逼迫は深刻
 →NECは標準システム構築だけで約1500人のSEを稼働
(3)いまだに続く仕様の不透明さ
2024年6月26日、デジタル庁は55社のパッケージ開発ベンダーを集め「第一回共通機能等課題検討会」を開催しました。主な議題はデータ連携に関連する次の2点
①どのレコードが最新かを判断する「最新フラグ」の設置
②DBの更新履歴に伴い付番する「履歴番号」の設定
 ※全マスタに履歴番号があるのは異様。渡辺さんのブログで詳細に解説されてます。
3.コスト上昇は不可避 進め方も利用法も疑問
コスト削減が目的の一つでしたが、先行検証の自治体でコスト増が相次いでいます。また移行が集中するため期限に間に合わない自治体が続出する可能性が高いでしょう。
4.「期限ありき」は限界 岸田政権は目的再考を
なぜ2025年度末期限とするのかという目的を政治主導で示すべきでしょう。たとえば地方公務員の減少に対応するなどの目的が必要でしょう。

※一旦クラウドに全データをアップ出来れば、その後中央から手が出しやすくなるはずです。ぐちゃぐちゃのままで「連携」することだけは避けて欲しいです。

【日本流ERP導入の正攻法 Fit to Standardを現実解に】(P.22)

SaaS型ERPの活用が広まるなか、その標準業務プロセスに自社の業務プロセスを合わせる「Fit to Standard」の採用が主流になっています。とはいえ合わない部分をどうするか。

従来のERPの導入は「Fit and Gap」でした。Gapのある部分はアドオンソフトを開発します。「Fit to Standard」では合わない部分は業務プロセス改革で実現することになります。とはいえ「合わない部分の対処法」は各社知恵を絞っています。
UBE三菱セメント>タタがS/4HANA導入支援
赤城乳業>アドオン開発したSAP ERPからS/4HANAに移行
ライオン>SAPのクラウド上にオンプレミスS/4HANAを導入

標準に合わない時、アドオンは作るのではなく、「探す」
①ERPベンダーの提供するSaaSを検討 →SAP Concurなど
②ERPベンダー以外のSaaSを検討 →Salesforceなど
③PaaSの利用や、アドオンの開発を検討

日経コンピュータ2024.08.22

特集【いつの間にか生成AI 業務SaaS大手5社が組み込みへ】(P.10)

1.対話、開発、導入 標準機能で活用支援
大手SaaSベンダーが提供する生成AIの領域は大きく4つあります
(1)AIアシスタント     →自然文入力で回答
(2)標準機能として組み込み →問合せ内容を要約など
(3)新機能の開発支援    →外部LLMへのAPIなど
(4)開発の補助       →アドオン開発の簡素化など
2.顧客対応を円滑に 独自機能開発も支援
<セールスフォースの生成AI機能>
・データをマスキングして外部LLMに渡す機能(TrustLayer)
・2024年8月から「DataCloud」でベクトルDB機能
・対話型で生成AIを使った作業(Einstein Copilot)
3.2種類のモデルを併用 業務の流れを最適化
<サービスナウの生成AI機能>
・独自開発するLLMを利用可能
・外部LLMとの連携機能も提供
4.ERPで基幹系に浸透 アドオン開発も支援
<SAPの生成AI機能>
・外部LLMの対話型AIアシスタント(Joule)
 →業務プロセスの8割で利用可能
 →製品自体の導入を支援
 →ABAPのコード自動生成も可能
・2024年4月ベクトルデータの機能を発表
<Oracle FusionCloud ERPの生成AI機能>
・50以上のAI関連機能を組み込み済み
<ワークデイの生成AI機能>
・自社開発の独自LLMで生成AI機能を実現
・顧客データで精度を上げる「ラストマイルチューニング」

※各サービスですごい勢いで機能追加しています。Salesforceで電話内容をテキスト化して要約してくれる機能や、お客様に出すメール本文を作成してくれる機能は既に実用的です。

【キーワード:フィジカルインターネット】(P.93)

インターネットの考え方を適用した新しい物流モデルの事です。輸送の途中にハブを設け、貨物規格を統一し、物流事業者間で物流資産を共有して荷物のやりとりをします。

フィジカルインターネット実現には3つの要素が必要です。
1.コンテナ(輸送容器)
2.ハブ(共同の物流拠点)
3.プロトコル(ルール化・標準化)
2024年5月は複数企業がサービスの事業化に向けた検討をスタートしました。

以上

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