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日経コンピュータ2024.03

日経コンピュータは、2週間に1冊発刊される雑誌です。
年間52週÷2=26冊発行されます。月に一度特集を中心に紹介します。

2024.03.07号

特集【4万人で挑む 旭化成のDX データ武装、現場が舞台】(P.10)

DXに踏み出して8年の旭化成。詳細な経緯の報告です。他の企業が参考にするにはハードルが高いので簡単に報告します。
1.変わり始めて現場 結実する8年の奮闘
2011年に米国オバマ政権により材料開発にMIを活用する国家プロジェクトが発足しました。MIとはマテリアルズ・インフォマティクス、機械学習などを活用して材料開発の効率を高める取り組みの事です。この動きに危機感を覚えデジタル化にシフトされました。
2020年7月、日本IBMのCTOを勤めていた久世 和資(かずし)氏を招聘しDXを加速。各事業部に閉じたDXの動きを、全社施策にしました。
~2020年度:デジタル導入期:事業部で400のDX PJ
~2021年度:デジタル展開期:全社員にDX教育
~2023年度:デジタル創造期:DXによる経営改革
2024年度~:デジタルノーマル期:4万人デジタル人材化
2.性能2倍の製品も MIが支える研究開発
MIが成果を上げるとともにデータの活用が広がった
3.アドオンを半減 基幹刷新支えた門番
開発期間3年、ピーク時約500人が参画し基幹システム「SAP S/4HANA」が2023年4月に稼働を開始しました。前バージョンでは2400あったアドオンを1100本に削減。構想段階からSierでなくSAPにコンサルを頼みました。
4.現場がデータ分析 実り始めた人材育成
旭化成独自の自作教材で、5段階のレベルで教育しています。「旭化成DXオープンバッジ」と呼ばれる仕組みです。

【特集インタビュー:旭化成社長 工藤 幸四郎氏】

素材メーカーなので顧客企業や市場から遠くて何が起こっているのかという情報が入りづらい。デジタル変革により素材を中心にサービスやソリューションへとつなげプラットフォーム化することで収益性を高めます。
ゼロから基盤を作るために300億円の投資を予定しています。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)によって研究開発の速度が上がり、他社との協業が進めやすくなりました。

私(筆者)は40年以上ITに関わってきました。一番の問題はIT投資が利益につながらない事です。「投資していなければもっと利益が減っていた」と言われるのかも知れませんが投資していない会社が連続して倒産する状況でなければ説得力を感じません。

2024.03.21号

特集【生成AIでシステム内製 先進ユーザ6社の挑戦】(P.10)

1.画面もアプリもOK 進ツールの対応
ここ数年、ユーザ企業によるシステム内製が大きなトレンドになっています。生成AIがその動きをサポートしています。
 GoogleのAppSheetやMSのPowerAppsが生成AI対応しています。ローコードツールにAI機能追加を開発中です。
 →OutSystems 、 GeneXus,intra-mart
 生成AIは既存言語のプログラムを自動生成します。
2.設計からテストまで もはや不可欠の存在に
・設計フェーズ:設計の相談、壁打ち、翻訳
・プログラミング:コード生成(GitHub Copilot,ChatGPT)
・テストコードの生成(ChatGPT)
 グロービス>GitHub Copilot
 リンクアンドモチベーション>テストコード生成
 KDDIグループ>GitHub Copilot、Amazon Q
 TBSテレビ>AppSheetのDuet AIで市民開発
 住友ゴム工業>AppSheetのDuet AIでシミュレーション
 TOPPAN HD>独自生成AIでプログラム開発
3.将来は内製が当然に 問われるSIerの役割
プログラミングが生成AIに任せられるようになると、生成AIに対していかに正確にシステム要件を伝えるかに移るでしょう。そうなると業務に詳しいその企業のメンバが行う方が効率的になるかも知れません。つまりSIerに求められる役割は「サポート」になるでしょう。

記者の方もわかって書いていると信じたいですが、システム構築に最も重要な要素はシステムアーキテクトでありデータモデラー(設計)です。この分野はAIにとって代られることはありません。

【情報流出に虚偽報告の「ずさん」 個人情報事件でNTT西社長辞任へ】(P.55)

NTT西日本は2024年2月29日、子会社の元派遣社員が約928万件の顧客情報を流出させた事件について、外部の弁護士による検証結果を発表しました。森林社長は3月末に引責辞任します。
・顧客情報の不正持ち出しは2013年から10年続いていた
・多重下請け構造の末端企業の元派遣社員が漏洩させていた
・2022年に漏洩を疑った顧客企業から調査依頼を受けていた
 →4ヶ月調査したが持ち出しは発見できなかった
 →顧客に提出するログの改ざん/虚偽回答が発見された

NTTは全国のグループ会社に「緊急対策」と「本格対策」を進めています。

旧国営企業は隠蔽体質が残っているように思います。情報サービスには透明性、信頼性が最重要だと思いますが大変残念です。

以上

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