口内炎

口内炎が治らない。下唇の内側、前歯のすぐ正面に大きいのができてしまって、数日が経過している。毎日一度は噛んでしまう。最悪のポジショニング。サッカーのディフェンダーなら重宝されるだろう。

今日はJとランチに行った。待ち合わせまで時間が空いてしまったので、口内炎を治す漢方を探しに恵比寿の街を練り歩いた。ところが、漢方を揃えている店というのは意外に少ない。大抵の店は、風邪薬コーナーに葛根湯が置いてある程度で、多少別の漢方が売られていても口内炎用は全くない。塗り薬とシート状の貼る薬があるだけだ。——それなら持っているのだ。朝だって塗ってきたし、ビタミン剤は毎日定量飲んでいる。

僕は、口内炎はできるべき時にできるのだと考えている。「疲れが溜まっているから口内炎ができる」という言説が仮に正しいとして、それをどう解釈するかの余地はあるだろう。整体の片山洋次郎先生は、たとえば風邪は隔たった疲労を整えるために引くのだと主張している。これを口内炎にスライドさせて考えると、口内炎を引き起こすことで、疲労や気の乱れを整理しているのかもしれない。そうならば、無闇に薬を塗って炎症を鎮めてしまうと、本来口内炎が果たすはずだった役割が放棄されてしまう。口内炎の自然治癒を待つのが正しい治し方なのかもしれない。

とはいえ、自然治癒に力を貸してくれるのが漢方だとすると、やはり漢方は飲みたい。(西洋系の薬剤が自然治癒を歪めているのかは分からないけれども。)だが結局、ランチまでに薬は見つからなかった。栄養のありそうなご飯を食べ、美術館に行った後はマンゴージュース(ジュース界のエース。一番栄養価が高そう)を飲み、家路についた。口内炎は少し落ち着いたかもしれない。

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