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日記(2022/08/21)

9時に起きて昼から三鷹scoolへ。佐々木友輔監督特集『土瀝青 asphalt』。大学時代に風景論とか郊外論とか気になってたときに書籍版『場所が揺らす映画』は確か読んでいて今回が念願の鑑賞ということになる。僕も自転車に乗ってハンディカムを手にあてもなく地元の風景を撮っていたことがある、どうにかこれで映画が出来てくれないものかと…。固定安定の画面ではなく、常に移動揺動するカメラからでしか捉えられない風景、見い出せない詩情、郊外の建物、たとえば快活CLUBやパチンコ店、それらはわざわざ赴くというよりも、むしろ多くの人にとってはつねに通り過ぎるもの、そのときに一瞬視界には入るが……というような、曖昧な建物として写る。郊外の風景は大概がそうで、どしんと然るべき位置にカメラを据えて撮るようなものじゃない、だからこの映画はほとんどが自転車や自動車に乗った視点から撮影されている。郊外生活者の移動手段は自動車で、見慣れた景色といえども、やっぱりそれはまじまじと眺め尽くしたものではなく、移動の最中に、流れていくものとしてしか記憶されていない、ということは、この映画を見て気づかされる。立ち止まるまでもない、訪れたこともないし大して縁があるわけでもない、しかしどこを見渡しても見たことがあるから安心感は感じる、どこまでも続く同じ風景、同じ施設の繰り返し……186分、この退屈さの極みとその詩情は郊外の風景そのものの印象で、映画は何も悪くない、しかし退屈すぎてわざと目をつぶって音だけを聞いているときもあった、色々な楽しみ方をしたと言える。会場のビルを出ると阿波踊りの行列。映画でも多く祭りが出てきた。渋谷の目移りするような風景よりも、郊外の一切目移りしない、目を漂流するに任せるしかない、そういう退屈な風景こそ自分に合っていると改めて思いながら帰った。だから退屈したけど嫌いじゃない!この映画も。

最近は会社でも移動中でもずっとクセナキスのノイズっぽいやつ。聴いてると風景が抽象化される感じ。目の前で動く人や物から具体性が薄まって無意味になっていく感じがする、それが心地よくて集中できて気に入っている。これの三曲目が何回聴いても怖い。


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