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【感想】「さよ朝」見ました

#感想 #さよならの朝に約束の花をかざろう
ネタバレは後半部分にあります。

 からの~~~


 というわけで見てきました。
 公式サイトの雰囲気とイントロダクションでホイホイされました。
 私「マリー作品は『峰不二子という女』(※ルパンのスピンオフ)しか完走してないけどたぶんいけるやろ😊」

 この作品の萌える属性を一言で表現するのは難しいのですが、
 「外見年齢が変わらない長寿種の少女と人間の少年のボーイミーツガール」
 が的を射ている……かな?
 寿命が違う、ということは、当たり前だけど一緒に年を取ることができない。長寿種であるイオルフは老いていく愛する人たちを必ず見送らなくてはならない。だから「外の世界に行っても、決して愛してはいけない」と長(みゆきち)はマキアに言うのです。イオルフへの迫害や、愛する人との悲しい別れが約束されているからです。
 『でも、全ての「別れ」が辛く悲しいものだろうか?』という問いも、この作品のテーマの一つだと思います。 

 年齢詐称キャラにすこぶる弱いため、イオルフの設定はドンピシャすぎて(私が)大丈夫かこれ?と思いましたし、そんな「パッと見ふつうの人間だけど人間じゃない少女」と「ふつうの少年」のラブとか、嫌いなわけがないじゃん全然大丈夫じゃない、と思って見ました。
 が、子育て要素があったのでドツボゾーンのクリティカルをギリギリ免れた感があります。これが、少年(エリアル)がティーンエージャーでマキアと出会って…みたいな話だったら本当にやばかった。性癖の煮凝りだった。(さっき公式サイト見たら赤ん坊のエリアルをマキアが育てる、ってバッチリ書いてあったので完全に見落としてましたね、ハイ…)

 イオルフの村で仲良しだったマキア、レイリア(美少女)、クリム(梶裕貴)の三人。しかしメザーテ王国の襲撃で村が焼かれ、マキアは行方不明になり、レイリアは連れ去られる。クリムは仲間と共に復讐を誓う。それぞれ全く違う道を歩むなかで、あんなに一緒だったのに夕暮れはもう違う色(ガンダムSEED)になっちゃう三人も見どころです。
 ここはかなしかった…

 ところで、一言でラブといっても色々ある。家族への愛、恋人への愛、仲間への愛。あと常日ごろ萌えてる宿敵への「愛憎」とか。
 いろんな「愛」を含んだマキアへの思いに、エリアルはどう決着をつけるのか?っていうのも見どころです。見どころですが。
 あと少しで助走つけて殴るところだった。危なかった。
 ただなんだテメエいつの間に…とは思った。このへんちょっと唐突でした。(くわしくは見てね)
  あとこれは個人的な好みの問題なんですが、出産シーンって何か苦手なんですよね…ドラマだと何とも思わないんだけど(仁とか)、アニメだとなぜか…
 「やべえ産気づいた!」→「ここで生むしかねえ!」→~場面転換~→「オギャー!」みたいな超高速出産ならなんとも思わないんですが…(雑すぎる)

 全体的にマリーとの性癖一致を感じつつ「ナンデ!!!???」となる部分も多いので気が抜けない115分でした。 
 アンチにアニメでやるなと言われるほどリアルめのドロドロした恋愛描写とか人間関係とかは薄味だったと思います。映像の綺麗さもあって、だいぶ清らかな印象です。というかそもそも、冒頭で書いたとおりマリーが関わった作品は構成やった『峰不二子という女』しか見てないので…普段どんなのかよくわからない…

 でも、アバンのイオルフの村が「これだけでも見ろ」ってくらい美しかったので、大満足でした。
 白亜の建物、碧い空と海、塔にしんしんと響く機織り機の音。妖精のようなイオルフの民たちの暮らしと宿命…あ^~すき(思考停止)
 川井憲次さんのBGMも荘厳で最高でしたね…サントラ情報出てないんだけどBlu-ray同梱とかかな…。
 近代のヨーロッパ的な世界観もとても好きです。王国の街並みとか、労働者階級の働く工場とか狭い集合住宅とか、近代化していない片田舎の風景とか。

 最後に見る前ノーマークだったのに一番好きになってたイゾルについて語らせてください!!!!!好きになったのは別にCVが杉田だからとかじゃないです。信じてください!!!!!!!
 こいつはメザーテ王国の軍人です。たぶんそれなりに偉い。
 何やったかっていうと、王の命令のもと、村を襲撃しレイリアを連れ去ったヤローです。
 軍人なので命令に従わざるを得ないとはいえ、別にやったことを擁護するつもりはございません。
 でもそれを自覚しつつ、時折レイリアを気遣う様子が見えるのが、なんかこう、スゲーーーーグッときたんですよ。あからさまなセリフがあるわけではないし、あくまで警護という職務がある以上、役割をこなしているだけとも見える。でもたぶんあれは彼なりの贖罪なんだと思うと……”””ありがとう”””としか言えね~~圧倒的感謝。(ここまで超早口)

 宣伝文句にデカデカと「泣ける映画!!」とあるようなの好きじゃないし、あ~~~この演出泣かせにきてんな~~~~くどいわ~~~~~~って冷めながら見てたくせに結局ビチョビチョに泣いたので、涙腺ガバガバな人はご注意ください。アイメイクは溶ける。あとイッヌが好きな人もご注意ください。一番泣いたのそこ。

↓↓ここからネタバレ含む箇条書きの感想



・確かに赤ん坊から育ててくれた女にあからさまに恋愛感情抱くのってキツいものがあるからあの選択で良かったと思うけど、マキアへの気持ちが諦められないのでヴィタを代わりに孕ませましたみたいな感じだったらエリアルっていうかマリーをぶん殴りにいくところだった。
 一瞬オイマジかよ殺すわって思ったけどそこは違ったのでよかった。………けど唐突に孕ませてた感があったので、エリアルとマキアが別れた後、せっせと働く間にヴィタと再会するシーン入れるとかしたほうが良かった気がする。

・いくらなんでもメドメルがかわいそうすぎる…
 レイリアは散々「メドメルを抱きしめたい…会いたい…私にはそれだけ…」とか言ってたくせにいざ再会したら「私は自由!アイムフリー!飛ぶわ!!!」っつって飛び降りたのは嘘やん………ってなった。メドメルへの執着は愛とかじゃなくて単なる現実逃避だったってことなんだろうけど、それだと父にも母にも見放されたメドメルがかわいそうすぎるだろうが!!!!一度も抱きしめてもらったことないんやぞ!!!!「私はこの城のこと忘れる、だからそっちも忘れて」ってどうかと思うで!!!?????娘がかわいそうすぎるだろうが!!!!!!!!(キレ)

・HSDのおおかみこどもと比較してるレビューがいくつかあって、男監督目線の「母親像」(母親に求める役割とか「かくあるべし」という態度などなど)が苦手な人はさよ朝のほうがいいかもねって感じの内容だった。おおかみこどもは未見なのでわからんけど、女監督のほうが子育てとか母親に対するリアリティはありそうと思った。おおかみこども見てないので知らんけど(二度目)

・マキアとレイリアとクリムの三人はほんとにつらかった。エモかったけどつらかった。
 時が経てば人は変わる。それは長寿のイオルフだって同じはず。でもそれを受け入れられず、クリムのように昔のままでいたいという気持ちもわかる。でも変わらざるを得なかったマキアとレイリアにとって、それはもう無理なことで。
 しかもマキアとレイリアでは変わった方向がまるで違う。マキアはエリアルがいるおかげで前向きに進んでいったが、レイリアは後ろ向きに歪んでしまった。そこに、「あの頃の三人に戻ろう。時を止めたワイらは変わっちゃいけないんや…」と半ば狂気に取り憑かれたクリムが現れたらどうなるかっつ~話ですよもう。つらい。まじでほんとに♪あんなに一緒だったのに~~夕暮れはもう違う色~~~だから…せめてこの月明かりの下で静かな眠りを………