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Dear Kobe Bryant

敬愛なるコービーへ

文章を書きながら貴方の事を考えると自然と涙が出てきます。
しかし貴方は私達が悲しみで立ち止まることを喜ばないでしょう。だから追悼の文を書き、先に進みます。

私が初めて貴方を見たのは2010年シーズンだったと思います。
当時中学でバスケをやってた私は偶然テレビでやってたNBAのプレーオフを見てました。
そこに映っていた白のジャージを着た背番号24は誰よりも闘争心溢れて、誰よりもシュートを放ち、誰よりも勝つことに貪欲であるように見えました。
結局試合には負けたと記憶してますが、スコアを見るまではレイカーズは勝っていると思っていました。
それだけ圧倒的なパフォーマンスだったのは今でも衝撃として覚えています。

それから友達に借りたゲームでは常にパープル&ゴールドのチームで貴方を使い、レブロンやノビツキーなんかとマッチアップさせては楽しんできました。
既に僕の頭には最強はコービーブライアント、彼こそ王者だと脳内変換されていました。

それから数年経ち、バスケをやらなくなった僕の耳に入ってきたコービー引退のニュース。
3年近くバスケのニュースを見てこなかった私は貴方が怪我に悩まされてきたシーズンをずっと過ごしてきた事に気づきました。
貴方の引退のニュースは私をバスケに引き戻すには十分すぎる衝撃でした。

私にとってのヒーローは引退を宣言してからも毎試合出続けました。パフォーマンスは初めて見たものとは違ったものの、闘争心やメンタリティーの部分では変わらず周囲を圧倒し続ける存在でした。

年が変わり4月。貴方のの引退試合が行われました。
オールスターでは主だった活躍の出来なかった貴方を見た私は正直セレモニーの要素が強い試合になるのではと思っていました。
しかし蓋を開ければいつもと変わらない闘争心やいつも以上にゴールに向かう姿勢、シュートの数…
正にこれが本当に引退する選手の引退試合なのかと疑うレベルで試合は行われていました。
第4Qが始まり最後の12分。2桁のビハインドを背負いながらも貴方はコートで走り続けていました。
残り3分、点差は13点のビハインド。貴方は既に35分以上コートに立ち続けて40点以上決めて、引退試合としては堂々たる結果を残していました。
しかし貴方の勝利に対する獰猛なまでの執念。「マンバメンタリティー」と称された貴方の気持ちはコートに立ち続ける事を選択していましたね。
残り時間の減る中、貴方はチームメイトがパスするボールをことごとくネットに突き刺して行きました。
マークされながらもその上から放つ3P、キャッチ&シュートをフェイダウェイ気味にねじ込むジャンパー、代名詞のストップ&ジャンプのジャンパーなど…
引退試合。50点以上決めてもなお勝利に対する執念は私の心を震えさせました。恐らくたくさんの人が同じ思いを抱いたでしょう。
残り1分になり点差は縮まり3点差となった状態で貴方の放った58点目のシュートは激しいチェックの中ねじ込んだ3Pでした。
ここまで来ると衝撃で声を失い、口だけが空き、ただ画面に見入るだけになってました。
同点になるもなお貴方のエナジーは途絶える事なくゴールを目指し、決まりまではしなかったもののフリースローを獲得していました。

少し脱線するなら、貴方の初めての得点もフリースロー。
アキレス腱を断裂しながらもその足で立ち上がり決めたフリースロー。
貴方が兄と慕うマイケルジョーダンの通算得点を抜いたのもフリースローでしたね。
もしかしたら貴方の代名詞の1つにフリースローもあるかもしれません。

話を試合に戻して。貴方は貰った2本のフリースローを当たり前のように2本共決め60点目の得点にしましたね。
数えるくらいしかいない1試合60点の記録を引退試合で叩き出す貴方は僕の中では間違えなくヒーローでした。

最後の得点をフリースローで決めて、最後にジョーダンクラークソンにタッチダウンパスをアシストして残り4.8秒。4点差をつけて貴方はコートを去りました。

私が貴方の試合を見たのは恐らく10試合もないかもしれない。ですが、ここまで心を掴まれた試合は無かったです。

あれからさらに3年経ち、私は少しずつまたバスケを始めました。まだまだボールが手に馴染む感覚は掴めてないですが少しずつ上達している気はします。 
か細くも確かにある私のバスケ人生に貴方は常にレガシーをもたらしてくれるメンターでもありました。

楽天で観る試合のコートサイドにたまに娘さんと2人で楽しそうに笑顔で観戦しているのは貴方が現役時代関われなかった子供との関わり、良き父親としての姿そのものでした。

そんな貴方が亡くなったなんて未だに信じられないです。 
ニュースを見た直後はもちろん、今も混乱しています。
長い夢だったらいいなと何度も何度も思った。 
だけど時間が経つに連れて、NBAを始め、たくさんの選手やレジェンド達、名前は知ってるようなスター達が貴方についてコメントしているのを見て少しずつ理解出来るようになりました。

嘘だったらこれほど幸せな事はないと断言した上で。
NBAチャンピオン5回
MVP
ファイナルMVP 2回
通算得点記録歴代4位
嘘偽りない堂々たる記録や
貴方が魅せてくれた試合やメンタリティー
父親としての家族に接する笑顔や姿勢
それら全てが僕の心には確かに存在している。
貴方がスピーチした「夢は結果ではなく旅路なんだ」という言葉。
ありとあらゆる貴方の姿が私の記憶として残るでしょう。

心から感謝をさせて頂きます。 
私に貴方のバスケを魅せてくれて。本当にありがとう。

最後にコービー、ジアーナを始め亡くなった乗客と優秀なパイロット9人のご冥福を心よりお祈り申し上げております。

Manba Out
2020/1/26

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