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親父が入院して、ほっとした気分で居た。
マコも、僕にだんだん慣れてきた、猫の癒やしは大きい、気持ちが和む。

好きな文章を書いたり、茨城で務めていた会社から仕事を回してもらったり、隠居生活を楽しんでいた。

時々、家電に電話が有るけれど、覚えている番号しか出なかった。 親父のライオンズクラブの友人、学生時代の同窓生、ハウスメーカー、エレベーターメンテナンス。

後は概ね、要らないセールス、特に050で掛かってくるところは、おかしなのが多い、骨董品の買取、葬式の案内、老人ホーム、宗教勧誘、ヨガ NTTの電話帳に乗せると独居老人と解るのかしらん。

050の一部は四女のノン子だったらしい、僕の携帯番号を知っているのしノン子を携帯に登録している、家電に掛かる番号は知らないから出なかった。
親父が独居している時は警察関係で借りているオレオレ詐欺防止用のアナウンス録音機が着いていたが、そこになんのメッセージもなかった。

後で、疚しいことをしているから家電に出ないと詰られたけど しらんがなw

週に数度、病院に歩いて通う、大通りから坂を下って相撲部屋の側を通ってと想ったら、相撲部屋無いよ?  僕が茨城へ出張っている間に、東の方へ移転したという。
あれ、東へ移転の時は、きっちりお祓いをしないと衰退するのだが、そこは、神事を司る相撲部屋の事、ご存知だよね?

それで地下鉄でも、お相撲さんを見なかったんだと得心、以前は駅の中に鬢付け油の匂いが、時々していた。


結核サナトリウムだった病院、その昔は東京郊外で今でも面影は有る、23区の一番端、敷地は広くて趣があって綺麗。 丁度桜の季節で、3階の親父の部屋は窓の外一面が桜。 これは神田川ですけどねw

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マリア・カラスが夜の女王を歌っていた、魔笛。 親父はトン子に脚のマッサージをされ、ニコニコしている。

ハーブオイルの香り、子供の頃、僕を蹴飛ばした足だけは、まだデカイけど、太かった脹脛が細くなり、向う脛は骨が浮いている、乾いた皮膚にオイルが染み込む。

トン子の見様見真似で、足裏、土踏まず辺りをマッサージする、ちょっと強めが気持ち良いらしい。
「あーあーはぁっ」

お気に入りの看護師さん、介護士さんが居るらしい、その人達が巡回の時は、笑い、声を出す、さもありなん(笑) 脳幹が壊れても女好きのDNAば壊れないらしい。

部屋に写真、父母、僕たちが子供の頃の写真、親父が3番めに買ったメルセデス。

窓の外、はらはらと桜、陽光を浴びて輝く桜色。


飛鳥山に桜を見に行こうと言ったね、お母さん。 母の写真を見ていたら、思い出した。 
末期癌の母、9月の初めのカンファレンス、余命は3~6ヶ月と言われた。
「そうか、年末だな」 
親父が、すかさず言った。 

ふざけんな、絶対、桜を見せてやる、高野でメロンパンを買って、孫を連れて、飛鳥山で花見がしたいと言った母。

看護師が入ってきた、点滴用のパック、ベージュ色でデカイ。 胃瘻用の糧食。

点滴スタンドにセット、親父の寝間着を捲くり、アタッチメントを消毒、そこへチューブを接続する、ドレンをひねると、ゆっくりとベージュが流れ込んでいく。

温めて有るそうで、お腹に入ると温かいらしい、糧食が腹に入っていくと、親父の表情が緩む。

経口じゃないから、味はわからないけれど、腹が温まり、くちくなる感触が有るのだろう。

頬がこけ、右の頭に500円大の円形のエンボス、好々爺の表情だけど、月の掛かりが6~70万円。

これをやるのに、母の死期を早めたのかい(笑)
母はカンファレンスをした年の12月6日に身罷った。
母が入院した途端、会社の決済に使う通帳を持ち出し、妹達と僕の嫁が揉めるように工作し、末期癌で苦しんでいる母を追い詰めた。

半分作為、半分愚かさなのは解っている、世の中には身内だろうと弱みにとことん漬け込むやつが居る。
親父はそういうやつだ。

僕が嫁をもらう時20数億有った資産を先物と信用買いで、すっからかんにし、借金まで有った、渋谷、新宿、中野にあった不動産を母名義のものまで処分して、圧縮し、残りは母と僕が稼いでいた会社から毎月。

親父が通帳を持ち去ったので、英国の取引先に送金が出来ず、数百万円、僕のポケットで決済している。

それも、会社の資産として取り込み、僕を放り出す時に会社を解散し、その分の資金が行方不明だ。

妹達には、その分、僕に渡したとずっと偽り。
妹達は僕が優遇されていると ぶーすか言っていた。


実家も会社をやっていたから2棟の軽量鉄骨で新しい方は旭のヘーベルハウスだった。
それを撤去して、今の積水に建て替えている。 これは長女惨子の差し金。

家族の金も、労働も全部 がめって残った金で腹に入れる胃瘻は美味いかい?(笑)

出来る限り、親父から癌の母をプロテクトしたけど果たせなかった。

「悪い、先に帰るね」
「胃瘻、終わったら私も帰る」
お先にと病院を出た、外へ出ると公道まで桜が並んでいる。
はらはらと花びらが、手のひらに取ると冷んやりと柔らかかった。


以心伝心は有るようで親父は僕の見舞いが嫌みたいだ、僕の顔を見ると、ぶぅううっと唇を鳴らすようになった。

あと、もうハンバーグを喰えないから、僕に用は無いのだろうw

トン子は病院の側のマンションに越してきた、歩いて7分くらいのところだ。

親父はトン子が大好きなので、僕は用事は全部、トン子に報告し、トン子から聞かせることにした。

脳幹が死んでいても、自分が見栄を張れることや、好きなことを聞くと、目を動かし見開き、ニコニコする。

僕が行くと ぶぅううううっ(笑)

おふくろが、親父には関わるなとは言っていたんだけどねぇっと思い出した(笑) 

あと親父に関わることは、全部記録しておけと、でないと、記憶の改竄言ってないことにする等、忍法責任転嫁を使うから(笑) 

ラップトップの入るパソコンバッグに書類、CD DVDで音声を含めた記録が全部ある。
会社をやっていたときの計帳、通帳コピー 給与台帳有るのよパパ(笑) 

ついでに役所関係の書類を役所とやりとりしたときに、僕が中学高校の頃、隆盛だった父の会社がどんな商売をしていたか、解った。


代理店制度の有る時代、抱合せや押し売り? むかーしガンダムのプラモで有ったでしょ? あーいうのをやっていた。

社員が全員居なくなって、僕が引き継いで、親父が出たくないと言うから、代理で出かけた業界の会合で、よそよそしく扱われたのは そういうことですかと後の祭り(笑)

そういう、人に嫌な思いをさせるからボケるんですよ お父さん(笑)

業界の人達とは、僕、今も付き合ってますよw 一緒に遊びに行く中だしw 江戸弁でやりあってるよ(笑)

あぁ あと母方の爺様から続いていた信用金庫と町会で僕の悪口言いふらしたでしょw 町会はリカバリー出来たよw 信用金庫は付き合ってないから知らない(笑)



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紅=猫の瞳に恋する執事 Ti amo♡ #キジトラ #note #小説 #エッセイ #猫がいる幸せ
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