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現代に必要なサチュロス的なもの

 サチュロスは半分おじさん,半分は獣で森や山の精霊。酒と音楽や踊りが好きで、怠惰で無用の種族とされている。悪戯好きで破壊的だけど同時に恥ずかしがりやで臆病。常時勃起し暇さえあれば種類問わずちょっかい出したり、精霊なのに寿命や暴力で死ぬ。猥雑、衆愚、怠惰の中にいる。サチュロスは、そういう中でしか生きられない者の象徴ともとれる。

 中間が心地よく、所属より曖昧、狭間にできた自由領域を愛する人は多い。結果より過程を楽しむ。負けの中に安心を見つける。勝ちの中に不安を見つける。全ての中間にいる。そういう中でしか生きられない物を受け入れることができる。

現代は結果を求め、自由領域をどんどん破壊し、人工に置き換えることを進めている。中間にとどまることは許されず曖昧さは悪とされ駆逐される。落伍するか、ストレスに塗れてレールを走り続けるかの二択。実際は無駄なものこそ生活を支えている。

怠惰と無用の象徴サチュロスこそ、現代に必要な癒しと許容と遊びを与えてくれる神と思えてならない。

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