意味とか理由とか求めない。

 尹雄大さんの著書「聞くこと、話すこと」を読み始めた。「はじめに」から、良い。料理やスポーツが出来るようになりたいと思った時、人はまずやってみて、失敗や改善を重ねていく。けれど、ことコミュニケーションとなると、何故か失敗してはいけないと思ったり、はじめからうまくやりたいと思ってしまう。尹さんも「どうしたらうまくできますか?」という質問をよく受けるらしく、そのことがコミュニケーション=うまくやらないといけないという人々の前提にあることを示している。

 実際、人と話していてそういう質問を受けたことがあった。それも一度や二度ではなく、会社に属していた時によくあった。どうやったらお客さんのことがわかりますか、どうしたらわかるようになりましたか、知識はどうやって身に着けましたか、どんな本を読んで勉強していますか、などなど。何か、私が何でも知ってる人みたいにされて、この手の質問にいつも困っていた。私自身、お客さんのことがわかった!と思ったことはないし、ただその中でこういう傾向、そういうタイプなど経験で想像して会話をはじめてうまくいったりいかなかったりだった。知識も手探り。それに必要な本は本屋に出向いたりラジオで情報収集をして手に取っていた。
 そうやって、自分で探したものや見つけたものを簡単に教えることにも抵抗があった。(しかもそうして貸した本などは返ってこないことが多かった。今からでも返して欲しい。本は私の財産であり資産であり、宝物だから。)

 もっと、試行錯誤したり失敗したりすればよい。私ももっと間違えたいし、そこから学びたい。はじめから間違えずに行く方が怖い。もっというとコミュニケーションすべてに意味や理由を求めないでいたい。無意味を大切にしたい。掴みどころもなくていい。全部に意味や理由のある世界なんて、窮屈そのもの。そんなことを思っていたら、ほんとうに無意味、掴みどころがない、素晴らしいコンテンツに出会った。出会うべくして、という感じ。


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