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ぐり、ぐら、ぐる。

 我が家に黒猫の子猫が来て1年以上が過ぎた。初めは、ちょっと頼まれて預かっただけ。そう、預かっただけ。そのつもりが、今では飼い主になっている。

一年違うとこんなに小さい


 自分で猫を飼ってみると、周りの猫や犬に目が行くようになった。今まで全く興味を持っていなかったのに。
 ぐるは片目の黒猫、ガリガリに痩せていて、津軽弁で言うところの「カンチケタ猫」だった。しっぽは短く丸い。「しっぽどこにあるの?」と、夫にからかわれていた。膝に乗って来ては、ニャアニャアと指を噛む。痛くないので噛ませているといつの間にか眠ってしまう。この感じ、子どもたちが赤ちゃんの頃を思い出す。そうだよね、ぐるもまだ赤ちゃんなのだから。ぐるに話しかけるとき、「ママは出かけてくるよ」なんて言う。ママ?そう、猫のママのつもり。

私の膝の上のチビ猫ぐる


 ぐるは賢い猫だ。そう思うことが、もう親バカになっているんだろうか。初めてふたりっきりになった時、話が通じることに驚いた。話しかけると、ニャアでもなく「ん」と言うような感じで返事をするのがたまらなくかわいい。もはや私の心はつかまれていた。
 猫との出会いは、りんご農家になった息子がきっかけだ。
「りんご農家には猫がつきものだからな。」
 そういえば、動物写真家の岩合光昭さんが津軽の猫の写真を撮った時、そこはりんご畑で、りんご農家の飼っている猫だった。
 息子のりんご畑の手伝いに行き、2匹の三毛猫と出会った。チェチェとモチと言う名のメス猫だった。りんご畑を縦横無尽に走り回る姿に驚いた。時々、我が家で2匹を預かることもあり、猫の飼い方を少しずつ学んだ。

チェチェとモチ


 そうして、実は猫を飼う準備が整っていったのだった。
 息子が、頼まれて黒い子猫たちの飼い主探しをしていたのだが、一匹残っていたのがぐるだった。グルグル・・と喉を鳴らすから、ぐると呼ばれていた。それがそのまま名前になった。
 夫がつぶやいた。
「ぐり、ぐら、ぐる」
大好きな絵本の「ぐりとぐら」は、ねずみだけど「ぐり、ぐら、ぐる」と、並べてみると確かに語呂が良かった。

「ぐるちゃん」
呼ぶと、目を真ん丸にしてこちらを見る。時には、にゃあと鳴く。おなかがすいている時は、甘えた声になる。やるね、ぐるちゃん。
 


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