6月の麻生台ヒルズ②
町田市立国際版画美術館。なんとリスのマンションから歩いて行けるんだって。
「町田に住んでもう何年にもなるけど、版画美術館には初めて行く」
と、リス。実はくるみは2回目。まだリスが座間市に住んでいた頃、リスの自宅を訪ねる前に、行ってみたくて版画美術館へ行った。ゴヤの版画が展示されていた。今から33年も前のこと。
リスも公園にはお孫さんを連れて来たとのこと。そう、版画美術館は、芹ヶ谷公園の中にある。水路があって、水が流れている。この水で、子どもたちは遊ぶんじゃないかな。
今日の展示は「幻想のフラヌール 版画家たちの夢・現・幻」となっている。
よく分からないけれど、行ってみよう!!
入り口から見える正面の階段を上がる。
さすがにもう昔の記憶はなくて、ひたすら目の前にある作品を見ていく。
自然の中の樹木。具体的なものでありながら、抽象的なもののように姿を変えて。
うーん!グロテスクなものもある。人なんだろうけれど人のようなもの、歪んだ体、裸。ボルヘスの「バベルの図書館」の挿画を描いたと紹介されていたエリック・デマジエールのパサージュが心に残る。作品名にボルヘスの名前のあった星野美智子の作品に現れているのは、ボルヘスの顔らしい。多種多様な作品があり、その作品について細かい解説の付いた冊子が置かれてあったので頂いてきた。読んでみても、中々に難しいが、何度か読むうちになるほどと思うようになった。
例えば、「はじめに」とあり、次のような文章が書かれている。
つまり、フラヌール(遊歩者)とは、我らを幻想にいざなう版画家たちのことなのだな。
さらに文は続くのだが、乱暴にまとめると、幻想の諸力によって<アナムネシス(記憶回復)>を喚起する作品を、館の所蔵品から150点ほど紹介し、「展示室を彷徨いながら作品を鑑賞―観察することで次第に疲労していく眼と精神は一種の陶酔をもたらすだろう。言うまでもなく鑑賞者―観者も<フラヌール>なのである。」(藤村拓也・前述の引用文も)とあり、フラヌールにいざなわれ、フラヌールとなるべしってことね。
写真撮影OKのもので気になったものは写真にとったので紹介する。
前述の冊子では、
清原啓子・・幻想の結晶(無類の幻想文学好き。豊穣な読書体験からあの独特のビジョンを育んだとおぼしい。)(相馬)
西村沙由里・・力(捉えがたきものを捉える精神と手業によって版画に諸力を刻み、紙面に生命力を宿らせる)(藤村さ)
蒲池清爾・・神話のイマジネール(独自の神話体系とも言うべき世界観を有する。荒々しい刻線によって神話を叙述し、破壊的・暴力的要素を臆することなく刻み込んでいく。)(藤村)
たくさんの幻想的な作品に会い、まさにフラフラとふらめいて、フラメールとなり館を出た。満足。お腹いっぱい。公園の中にある野外彫刻を見る。
公園の中を歩き、町田駅の方に向かう。もう昼だ。お腹すいたな。
夜は、ワインで友と乾杯。明日には帰る。思ったこと、全く話が尽きない。また来るよ!