不惑。
「紅は素直でいい子」と、年上の恋人が云う。
「ふふ」と、あたしは微笑う。
多感な時期に、こう褒められて過ごしたかった人生だった。
想い出せる“素直”は、片手で足りた。
大好きな祖父の膝の上で溺愛されていた幼少期、の数回。
そんなことを想い出した夜。
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「紅は素直でいい子」と、年上の恋人が云う。
「ふふ」と、あたしは微笑う。
多感な時期に、こう褒められて過ごしたかった人生だった。
想い出せる“素直”は、片手で足りた。
大好きな祖父の膝の上で溺愛されていた幼少期、の数回。
そんなことを想い出した夜。
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