ぼくはだれだったのか ♯2
小学生のころ、ぼくは転校が趣味だった。
それはやっぱり、ばかみたいだと思っていたからかもしれない。それとも反対で、真剣すぎたのかな。
ぼくは友達を作るのがとてもうまくて、友達でい続けるのがとても苦手だった。きみがぼくの友達だってことは認めるけれど、それはすごく難しいことなんだよ。
転校はいつも刺激的で安全だった。初めて登校する日はまるで、シリーズものの漫画を全巻揃えて紅茶を片手に最初から読み始める休日みたい。
それは長くは続かない。一週間もすればみんな友達になってしまうから。ついでに、知らない大人たちが、みんな先生になる。ルールがあって、ヒエラルキーがある。そんなものは一カ月もすれば図解して母親に説明できるくらいになる。
だけどぼくはきみと、まだ友達でいなければならない。
そういう問題があってぼくは転校を決めることになる。転校が決まってからは、また世界が少しマシに見えてきて、最後の日まできみと友達でいることができるんだ。
いまは、もう転校が出来ない。
それってどういうことだろう。
ぼくたちはまだ友達で、これからも友達でい続けるってことなのかな。
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