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美味しさが感情と結び付くBAR。ボリビアのゴールデン街再訪


ボリビアに大好きなBARがある。

場所はボリビアの銘酒であるシンガニ。マスカット原料のブランデーの一大産地のカマルゴ(Camargo)という小さな街。

カマルゴの街。

標高3000m〜4000mの山と山の谷地の標高約2400メートルに降り落ちる豊かな水、標高の高さから来る強い日射は光合成を促進、昼夜の寒暖差で葡萄の甘みを蓄え、尚且つ湿度も低い為病害虫に強いこの地域は良質なシンガニが作られる。

カマルゴの郊外の葡萄畑。
ただ弱点といえば写真で分かる通り山々に囲まれた谷地なので平地が少ない。つまり耕作地が少ないので小規模の造り手が主軸となる。


つまりここカマルゴはお酒の街。
シンガニ(マスカットブランデー)の街だ。

この街にはシンガニを飲ませてくれる飲み屋がたくさんあるのだ。
日本の東京で言うところの新宿のゴールデン街のような小さな店舗が連なる場所がある

川沿いに小さな掘立て小屋が連なる飲み屋街がある。全てがシンガニなどのアルコールが主軸となる飲み屋街。


実は2年前にもここに訪れている。
その時の記事はこちら。

再訪した理由はあの時のボリビア母さんが作ってくれた氷無しシンガニハイボールをまた飲みたいと思ったからだ。

氷無しシンガニハイボール。
シンガニとスプライトを並々に入れてライムスライスを浮かべる独自のスタイル。
シンガニハイボールを作ってくれた2年前の写真のボリビアママ。


そのシンガニハイボールで使われたシンガニのボトルは1本200円くらい。言い方は悪いが粗悪でメチルがメチメチのシンガニ。味だけを冷静に評価すればなかなかであって、ただ美味いとか、不味いとかの次元ではなく、
2年前の異国の地で飲んだ標高2000〜3000mの街のBARの空気と相まった、東京では飲めない環境が僕にとって特別な一杯。
美味しさが感情と結び付いている。

一本200円くらいのグレネード弾型のシンガニボトル


とゆう事で2025年の2月。2年ぶりに
カマルゴ(Camargo)の街のゴールデン街みたいなとこに再訪。
あの時の『ボリビアママはいるかなぁ』
と思って同じBARに訪れたらあのボリビアママはいなかった。代わりに若い女性が立っていた

ただよくよく聞いてみるとあの時シンガニハイボールを作ってくれたボリビアママの娘さんらしい。

そしてさらによくよく見ていると
近くには毎日通ってるゴールデン街の『主』のような2年前にもベロベロに絡んできたボリビア父さんもいた。

日本人と分かると『昔の日本は勇敢だった』と『立派に戦った』と持論を展開し2年前と同じ話をし始めた。



2年の歳月を経ても地球の反対側で同じ様な変わらない酒場の営みがあってとても素敵な気持ちになる。

地球の反対側の川沿いの掘立て小屋で飲むシンガニハイボールは(シンガニとスプライト)は『旅情補正』もあり自分にとって美味しさが感情に結び付いている。

僕が店主をしているBAR BenFiddichは
今年で13年目を迎える。
海外のお客様が2016年くらいから多く訪れ、
再訪してくれる海外のお客様もたくさんいる。

海外のお客様①
『3年前にここに来た事あるんだよ。変わらずで良かったよ』

海外のお客様②
『9年ぶりにBenFiddich戻ってきたんだ。前より英語上手くなったね』

海外のお客様③
『最近、BenFiddich全然予約とれないけど戻ってきたよ。はいお土産』

などなど。

僕が旅先で飲んだ一杯の味が、環境や気持ちと結びついて特別なものになるようにBenFiddichも誰かの記憶の中で意味を持つ場所になり再訪してくれるのだとしたらそれはとても嬉しいこと。

BenFiddichを続けてきた甲斐があるし
また来てくれるひとがいるからBenFiddichというBARを続ける理由のひとつになっている。

異国の掘立て小屋のBARのシンガニハイボールが
僕にとって初心を思い出させてくれました。

ありがとう

BenFiddich店主
鹿山博康

娘さんにシンガニハイボールを作ってもらう
7人で押し掛けたのでピッチャースタイルで作ってもらった
作ってくれたボリビアママの娘さんと

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