靴の工具 ワニ編
靴の工具で欠かせないのが英語でLASTING PINCER ラスティング・ピンサーと呼ばれ、日本では”ワニ”と言う名のこちら。
これがないと木型に革をぴーんと張らせることができません。
靴の木型に革を 釣り込みのことをラスティングと言います。
ワニにも色々種類があって、セメンテッド製法や薄い革のレディースの場合
下の写真の一番右側のようなワニを使用します。
ハンドソーン・ウェルテッド製法などのしっかりとした厚手の革を使用し、釘を打ち込むことが多い製法の場合は 上の写真の左3つのようなワニを使用します。
釘を沢山打ち込むので、釘打ち面がこのように滑らず打ち込めるような使用になっていて、釘が簡単に打ち込めるようにかなりの重さがあります。
あ、良いワニの見分けかたは「重さ」でもあります。
HANDSEWN WELTED(ハンド・ソーン・ウェルテッド)製法の場合、沢山の釘を使用します。
重いワニだと、11ミリのタックスは一発で入るし、25ミリの釘でも2~3回叩けば半分の長さが打ち込めます。
それから、釣り込む際に思いっきり革が引けるように、つかみ部分が広いものと、つま先と踵周りには幅の狭いものがあるとバッチリ👍
特にビスポーク靴の場合は土踏まずをお客様の足に合わせて作った木型を使用するので、土踏まず部の釣り込みが大変なことがしばしば。。。この場合、しっかりを革をつかみ、全体重を右肩にかけるようにして釣り込みします。そんな釣り込みをするのに、幅の広さが必要になってきます。
踵部やつま先の釣り込みには幅の狭いのが使いやすいので、こちらを使用します。こちらは小さいながらも重さがあり、好きなワニです。
残念なことに近年の工具は金属の純度がどんどん低下し、昔ほどの重さが無くなってきました。釘もそうね。
これは今後も続くと思うので、ワニは早めに重い物を購入しておくのがお勧めです。
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