18 船のバルバスバウ
Bulbous Bow バルバスバウ 球状船首。一般的には馴染みの薄い言葉でしょう。船の先端の水面下に形作られている「しずく」のような部分のことです。(見出し写真はJR新幹線駅構内の柱に掲示されたものです)
船が航行する際に妨げとなる抵抗力に、摩擦抵抗と造波抵抗という二つの抵抗力があります。摩擦によるものと、波を立ててしまうことによるものの二つです。後者の波を立てることを防ぐため、船の先端に「しずく」みたいなものをくっつけるのです。
このバルバスバウは、船自身が起こす波と逆方向(逆の位相)の波を起こそうとすることで、結果として波を起こさないようにしているのです。このお話もよくお目にかかる日常の何かに似ていると気づかされます。
同じような資質を持ったり、技能を持ったり、意見を持ったりする人たちが集まってしまうと、うまくいきそうに見えても、なぜか抵抗に合って思うように推進力が出ないことがありませんか。
そうした時に、あえて逆の資質や技能、意見を持つ集団をくっつけて予め内部で議論を起こし、推進力を回復することって無いでしょうか。
船のお話を三つ紹介しました。前にも書いたように高度な物理学の分野ではありませんが、シンプルなお話の中に、何となく科学と社会現象の共通項が見えて面白いと思っているのです。