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あれから18年…… 外国馬“最後”の雄姿 アルカセットの意地

  ジャパンカップは、「日本の競馬を世界レベルに引き上げたい」という意図から創設されたレースである。1981年に行われた第1回は、アメリカのメアジードーツが勝ち、続く2、3回もハーファイスト、スタネーラと外国馬が制している。
 ただ、第3回は天皇賞(秋)馬キョウエイプロミスが2着に食い込み、第4回目にしてカツラギエースが逃げ切り、日本馬による初の栄冠となった。
 発足当時は「所詮、日本の馬なんて外国の馬にはかなわない」といった雰囲気だったが、2023年を迎えた今、ジャパンカップは日本馬の独壇場と化している。 
 サンデーサイレンスをはじめとする種牡馬の導入によって、競走馬のレベルが上がり、芝コースへの対応に関しては世界でもトップクラスになったからであるのはいうまでもないが、「トランポリン馬場」と揶揄される日本独特の高速馬場に外国馬が対応できなくなったという要因も大きい。
 もちろん、ホームタウンディシジョンもあるだろうし、ブリーダーズカップや香港国際競走のように1日に複数のGⅠがないため、効率の悪さが嫌われたという事情もある。いずれにしても、ジャパンカップに参戦する外国馬自体が激減しているのは紛れもない現実であり、「国際レース」の触れ込み、創設当時の意図は、もはや、その体をなしていない状態で、いまや日本競馬の最高賞金額のレースを、日本馬同士でブン取り合うレースに成り下がってしまったのである。

JCは国内最高賞金を日本馬でブン取り合うレースに成り下がった

 では、外国馬がジャパンカップを制した最後の年はいつになるのか?
18年前となる2005年まで遡らなければならない。勝ち馬は、アメリカ産でヨーロッパを舞台に活躍していたアルカセットである。
 2005年のジャパンカップで1番人気に推されていたのは、前年秋の古馬3冠(天皇賞、ジャパンC、有馬記念)制覇を成し遂げたゼンノロブロイであった。なお、秋の古馬3冠を同一年に制したのは、このゼンノロブロイとテイエムオペラオーしかいない。
 歴史的名馬といえるゼンノロブロイではあるが、前年ほどの勢いがなく、ジャパンカップまで3、2、2、3着と勝てていない。2番人気はハーツクライ。前走の天皇賞・秋は6着止まりだったものの、宝塚記念で2着に健闘した馬である。とはいえ、前年の京都新聞杯以降勝ち星がなく、GⅠ勝ちも皆無。このように、1、2番人気が決して絶対的とは言えない状況だったせいか、ジャパンカップがすでに日本馬優位の構図になっていたにもかかわらず、外国馬のアルカセットが3番人気に支持されていた。
 ちなみに、出走してくれば確実に1番人気だった馬がいる。無敗で3冠を達成した伝説の名馬ディープインパクトに他ならない。ディープインパクトは菊花賞に快勝した後、ジャパンカップを回避。次走は有馬記念を選択していたのだ。

https://www.photo-ac.com/

ハーツクライとのデッドヒート

 レースは激戦となった。直線半ばで馬場の真ん中から抜け出したアルカセット。外から強襲してきたゼンノロブロイ。内目をスルスルと上がってきたハーツクライ。最後はアルカセットとハーツクライの叩き合いとなり、ゴールの瞬間はクビの上げ下げの勝負になっていた。
 結果は、アルカセットがハナだけ前に出ていた。時計の2分22秒1は、ホーリックスが保持していたレコードを上回るものではあったが、高速馬場と化していた東京コースからすれば、驚愕の時計とは言い難い。また、内容的には力でねじ伏せたわけでなく、むしろ鞍上のランフランコ・デットーリ騎手が「なんとか持たせた」という印象のほうが強い。
 なお、2着に敗れたハーツクライが、次走の有馬記念でディープインパクトを撃破したのはあまりにも有名である。

 アルカセット自身、サンクルー大賞を制したGⅠホースではあるが、欧州の頂上級とは言えない存在であった。それでも、ジャパンカップ勝ちと父キングマンボという血統が評価され、日本で種牡馬入りすることになった。ただ、産駒の成績は不振続きで、供用後わずか6年でイギリスに買い戻されている。つまり、種牡馬としてのアルカセットは、日本産馬のレベルアップには貢献できなかったことになる。それでも、創設当初の意図が有名無実化しつつあるジャパンカップの凋落に、ささやかな抵抗をした馬だったとは言えるのかもしれない。

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“お宝”は記憶の中にある!
珍宝堂井鶴斎先生の今年のジャパンカップの予想は…… 👇

 
◎イクイノックス
〇タイトルホルダー
▲リバティアイランド
 
 “世界一”の馬 イクイノックスか、無敗の3冠牝馬 リバティアイランドか――。第43回を迎えるジャパンカップは、この2頭の“世紀の対決”が注目だ。
過去、GI最多勝で古馬女王、ラストランのアーモンドアイVS無敗の3冠牡馬コントレイルVS無敗の3冠牝馬デュアリングタクトが1着、2着、3着を決めたように、イクイノックスとリバティアイランドの激しい一騎打ちになるのか! 2頭に「待った!」をかける馬がいるのか!
 ◎本命はイクイノックス。ハイペースの天皇賞・秋をハイペースのまま、2着以下を突き放すレースぶりは強いひと言。レコードタイムで駆け抜けたのだから、恐れ入る。
 ○対抗は、タイトルホルダーの逃げ。リバティアイランドとの一騎打ちに割って入るとしたら、この馬の逃げ残りと読む。
(珍宝堂井鶴斎)

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