野良猫のあの子みたいに③
こんにちは。id_butterです。
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前々回:野良猫のあの子みたいに①
前回:野良猫のあの子みたいに②
桜が散る頃になると毎年思い出す。
オレオという名前をつけた黒と白の模様の猫だ。
彼は、もちろんチビの子どもである。
桜が終わる4月の下旬は、カラスの巣作りの季節だ。
「あー今年もこの季節か。」
気づくのは、ベランダの洗濯物が落っこちているからだ。
彼らが狙う獲物はハンガー、どうやら巣作りの材料にしているらしい。
これを知ったのは、オレオのおかげである。
わたしは働いているので、昼間基本家にいない。
その日はたまたま具合が悪くて、寝ていたのだと思う。
「グワァーオゥー、ワァーウォー」
外から低い声がした。
聞いたことのない声だった。
ベランダに目をやり、カーテン越しに見えるシルエットにまず仰天する。
うちの物干し竿の上に、尻尾を垂直に立て背中を丸めた猫が仁王立ち?している。
???
…どうやら戦闘態勢らしい。
窓を開ける前に、そっとカーテンの端をめくる。
もうお分かりだろうが、オレオがカラスと戦っているところだった。
二本の物干し竿に4本の足をのせて、すっくと仁王立ちしている。
二羽の大きなカラスがベランダの周りをバサバサと飛び回り、その輩から洗濯物を?うちを?守るためにオレオは一人戦っていた。
「ウァーオゥー」
低い声はやまない。
二羽は「カァ」「カァ」と声をかけ合い連携しており、多勢に無勢である。
かっこいいなぁ…っていやいや。
流石にびっくりして、窓を開けた。
カラスだけじゃなく、わたしに背後をとられたオレオが一緒にひっくり返ったのはご愛嬌。
全員一目散にわたしから逃げていった。
唖然としたあと、ひとりで笑い転げた。
番犬じゃなく、番猫。
そのあと、オレオがカラスから家を守ろうとしてくれていたことへのうれしさがじんわりこみ上げてきて、ちょっと涙が溢れる。
そういえば、ここ数日洗濯物が落ちていた。
その間も、もしかしたらあの子ひとりで戦ってたのかな。
愛おしい。
これも家族か。
その晩は、ちょっとごはんを豪華にしてあげた。
大好きなチーズ入りの缶詰を多めに。
ニャウニャウいいながらがっついていた。
10年以上経った今でも、オレオがカラスを追っ払っていた姿を鮮明に思い出せる。
あの子たちに会いたいなぁ。
あれ、今回はチビが子どもを産んだ時の話にしようと思っていたのに。
ということでその話はまた今度。
高畑充希の声もこの歌も好き。
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