見出し画像

【年末年始】バリ島 ウブド Bali Zoo トラベルノート|書きたて✈️成田-デンパサール1名往復129,910円旅の記録

今回のトラベルノートでは、年末年始(2024年末から2025年始)にかけて妻と訪れたバリ島旅行についてお届けします。

さて、今回の旅行は、最後に海外に行った2019年末のフィジー以来、実に5年ぶりのものとなりました。その計画を進める中で、例によって「いかにコスパよく旅行するか」を考えながら、さまざまな試行錯誤を重ねました。しかし、コロナ禍を経て明らかに旅行の価格前提が変わっていることに驚かされました。以前から「価格は上がっているのでは」と漠然と感じていましたが、いざ具体的に計算してみると、体感的にはコロナ前の倍近い価格に感じます。

結局、今回選んだのは、比較的割安だと思えたクアラルンプール経由のバリ島行き。とはいえ、その「割安」でも12万円台の価格です。以前であれば、この価格でバリ島直行便を利用できたことを考えると、時代の変化を強く感じます。特に、かつて頻繁に利用していたフラッグ・キャリアの格安航空券がほとんど見当たらなくなったことには、正直なところ驚きました。コロナ前であれば、セールや早割で「掘り出し物」を見つけるのが旅計画の楽しみの一つでしたが、今回はその楽しみがほぼ消えてしまったような印象です。

こうした状況を前に、「今後は航空券をどうやってコスパよく購入すればいいのか」という課題に直面しています。今後は戦略そのものを見直す必要があるのかもしれません。

この価格高騰の背景を探る中で、さまざまな要因が確認できました。一つは、コロナ禍を経たことによる航空便の供給不足です。多くの航空会社が運航便を減らし、路線を縮小した結果、需要の回復に供給が追いついていない現状があります。また、原油価格の高騰や円安の進行といった外的要因も影響しています。特に円安の影響は、海外発の航空券を日本円で購入する際に大きく響いており、私たち旅行者がその負担を直接感じる状況です。かつてはコスト面で利用価値が高かった中国系航空会社等の便も、路線の復活が遅れており、結果として選択肢の幅が狭まっていることも分かりました。

旅のコストが上昇している現在、従来のやり方に固執せず、新しい視点や価値観で計画を立てることも重要に感じました。

もちろん、旅の楽しさは価格だけでは語れません。久しぶりに味わった海外の非日常感の空気や体験、そしてバリ島という場所が持つ独特の雰囲気。それらはどれもお金には代えがたいものです。今回の旅では、そんな現地でのエピソードをお伝えするだけでなく、旅行準備で得た情報もできるだけ共有したいと思います。この記事が、これから海外旅行を計画している方々にとって少しでも参考になり、また次の旅の計画のきっかけになれば幸いです。

ちなみに今回のサムネイル画像は、トラベルノートの象徴でもある寅年の妻に因んでBali Zooのトラの巨大看板を撮った写真を使いました。
それでは本編をどうぞ。


序章:5年ぶりの海外旅行へ

2019年の年末年始、フィジーで過ごしたあの旅から、もう5年が経った。

新型コロナウイルスの影響で海外旅行が制限されていた期間を経て、昨年から私の海外出張は徐々に増えたが、妻との海外旅行は今回が5年ぶり。今回の目的地は、過去に2度訪れたバリ島。以前はサヌールやヌサドゥアのビーチエリアに滞在したが、今回は趣向を変えて、ウブド周辺の「Sanctoo Suites & Villas at Bali Zoo」というホテルに宿泊することにした。

「Sanctoo Suites & Villas」は、バリ動物園に併設されたユニークな宿泊施設で、自然に囲まれた静かな環境とラグジュアリーな客室が魅力。自然を楽しみながらの滞在、隣接する動物園での特別な体験も楽しめるということで、これまでのバリ旅行とは一味違った思い出が作れそうだ。

旅費を節約するため、直行便ではなくクアラルンプール経由の旅程を選んだ。過去の旅行で使わずに残っていたインドネシアルピアとマレーシアリンギットがそれぞれ約15,000円分あり、円安の影響でその価値が約1万円ほど増えていることに気づき、二人で小さく喜んだ。
しかし、旅の前夜、妻と二人でパッキングをしながら最終確認をしていると、想定外の事実が判明した。インドネシア入国にはビザが必要になっており、さらにマレーシアのトランジットにもデジタル入国カード(MDAC)の登録が必須とのこと。コロナ前には何度もインドネシアやマレーシアを訪れていたが、当時はノービザであって入国手続きのこと等いままで気にしたことがなく、完全に油断していた。
調べてみると、インドネシアでは2024年6月以降、観光目的であっても30日以内の滞在には電子到着ビザ(e-VOA)の取得が必要になったとのこと。

また、マレーシアでは2023年12月1日から、空港に到着する国際線旅客に対してデジタル入国カード(MDAC)の登録が義務付けられたとのことだった。

慌ててインターネットでビザの取得手続きをしようと検索したところ、最初にアクセスしたサイトでは2人で4万円以上の高額な手数料が表示され、不審に思い再度調べ直した結果、高額請求を行う業者や詐欺サイトの存在が指摘されていることが分かり、改めて在インドネシア日本大使館のサイトで公式な手続きを確認したところ、到着時に空港で取得できる到着ビザ(VOA)での入国も可能であり、その費用は1人50万ルピア(約4,750円)であることがわかりバリ島到着後、現地で手続きを行うこととした。
一方、マレーシアのMDACは無料で事前にオンライン登録が可能とのことで、手早く手続きを完了させることができた。明日は朝5時起き。直前でこんな想定外のことがあったけれど、もう行くしかないと話しながら、私たちはベッドに滑り込んだ。5年ぶりの海外旅行が始まるという高揚感と入国時にの不安を抱えながら前日は就寝した。


2024年12月28日(土) 新たな旅の始まり

朝5時、スマホのアラームで目が覚めた。昨夜は突然のビザ手続きで慌ただしく、寝たのは深夜2時を過ぎていた。睡眠時間は3時間ほどで、目覚めた瞬間から頭がぼんやりしている。それでも、準備を始めれば自然と気持ちが切り替わるものだ。顔を洗いながら「なんとかなるだろう」と自分に言い聞かせ、荷物を最終確認して家を出た。

外はまだ暗く、冷たい空気が頬を刺すようだったが、それが逆に目を覚まさせてくれた。乗り換え駅に着くと、ホームの真ん中で仰向けになって熟睡しているスーツ姿の男性を見かけた。完全に寝入っていて、ちょっとやそっとでは起きそうにない様子だ。きっと仕事納めのあと、忘年会で飲みすぎて帰りの途中に力尽きたんだろうなと、勝手に想像した。最初は立っていたけど次第に耐え切れなくなって座ってしまい、そのまま横になってしまったのだろうか。このままでは危ないなと思っていると、駅員がやってきて、彼を安全な場所へ移動させていたので少し安心した。年末らしいひと幕。

こんな感じでホームの真ん中で男性が熟睡していた。

空港直通の電車が到着したので乗り込む。まだ朝の6時台だというのに、予想以上の混雑ぶり。空港へ向かう旅行者らしい人たちがキャリーケースを転がし、車内のあちこちに立っている。それでも幸い、妻と並びで座ることができたのはラッキーだった。外はまだ薄暗く、車窓からは少しずつ明るくなり始める空が見える。揺れる電車の中でぼんやり窓の外を眺めながら、今日からの旅に思いを巡らせていた。


予定通り、成田空港には7時30分ごろに到着した。空港はすでに少しずつ人が増え始めている。どこか落ち着かない気持ちと、旅への期待が入り混じったまま、チェックインカウンターへ向かった。

チェックインカウンターで手続きを済ませ、荷物を預けた。出国審査も問題なく通過したが、時計を見るとすでに8時40分を回っていた。搭乗券には「出発の1時間前にゲートに到着するように」と書かれている。普段なら30分前にゲートへ行けば十分だと思っていたが、今回は思ったより時間がないことに気づき、少し焦りを感じた。幸い、今回の出発ゲートはサテライト側ではなくメインターミナル内にあり、移動が短時間で済むのが救いだった。

急ぎ足で向かったサクララウンジに入ると、そこそこ混んでいた。妻にとっては5年ぶりの国際線のラウンジで、少し目を輝かせながら中を見渡していたのが印象的だった。ラウンジ特有の静かな空間は変わらないが、コロナ前とはいくつかの点で違いがあった。以前はセルフ形式だった食事サービスが、今ではオーダー式に変わっている。妻は少し戸惑った様子で「前は自分で好きなものを自由に取れたのにね」と言いながら、JALラウンジの定番メニューであるカレーとサラダ、デザートを注文していた。

席に着き、オーダーしていた料理が運ばれてきた。JALカレーの香りが、慌ただしい朝の疲れを少し和らげてくれる気がする。妻も久しぶりに口にするラウンジの味に、どこか懐かしさを感じているようだった。ただ、時間が思った以上にないこともあり、食事をゆっくり楽しむ余裕はなかった。カレーとサラダを急いで平らげ、デザートを口に放り込むと、すぐに搭乗ゲートへ向かう準備をした。

おなじみのJALカレー

搭乗は予定通りに始まり、案内された順に列が進む。少し並んでから飛行機に乗り込む。座席に座って間もなく、機内Wi-Fiについての案内が目に入った。「到着まで無料で利用可能」とある。驚きと同時に、便利さに感心した。これまで利用してきたJALやANAでは、Wi-Fiサービスは短時間無料だったり、テキスト通信だけ無料だったりと、制約があるのが普通だった。全フライト時間無料で使えるのははじめてだった。

妻のスマホもWi-Fiに接続するため、少しだけ設定を手伝った。妻は操作を確認しながら「便利だね、こういうのがあると安心する」と満足そうな表情を見せた。機内で通信ができるのは、ちょっとした調べ物や連絡を取りたいときにとても便利だ。到着までの時間をどう過ごそうかと話しながら、映画を見ようとスクリーンのメニューを探していた。しかし、昨夜の疲れがここで一気に押し寄せた。目をスクリーンに向けてはいたものの、気づけば意識が薄れていき、いつの間にか眠りに落ちてしまった。二人ともフライト中はほとんど寝ていた。映画を見ようと思ったが、気づいたら意識が飛んでいた。


クアラルンプール空港に到着。機内でうとうとしたおかげで少し気分はすっきりしていたが、やはり長時間の移動の疲れは残っている。降機後の流れは慣れているつもりでも、久しぶりに訪れたクアラルンプール空港の放射状に延びるいくつもの似たような造りの通路は、今自分がどの方向に向かって歩いているのかわかりづらく混乱させる。要所にある館内マップで確認しながら出口方面に向かっていく。
移動しながらスマホの通信環境を確認した。今回の旅では、インドネシアとマレーシアの2か国を訪れるため、1枚で両国で使える「SIM2Fly」を選んで準備している。これは、タイの通信会社AISが提供する国際ローミング対応のプリペイドSIMカードで、アジア各国を含む広範囲でデータ通信が使える便利なアイテムだ。旅行者にとって手軽でコストパフォーマンスが高いことから、評判が良い。Amazonで事前に購入し、出発前に自宅でスマホにセットアップしておいたおかげで、空港に到着するなりすぐに通信が使える状態だった。自宅であらかじめAPN設定なども済ませておいたので、空港で特に何かをする必要もなく、その場でスムーズに接続が完了。SIM2Flyの有効期間やデータ容量の心配もなく、これでインターネット環境が整ったことに安心した。こういった準備が整っていると、旅先でのちょっとした不安が解消されて、気分も軽くなる。


クアラルンプールでの宿泊は空港ターミナル1直結の「Sama Sama Hotel KLIA」。

空港に隣接した便利なホテルだが、そこに行くためには一旦マレーシアに入国しなければならない。昨夜急いで登録したデジタル入国カード(MDAC)がちゃんと機能するのか、正直なところ少し不安だった。
まずは入国審査を受けるため、サテライトからイミグレーションのあるメインビルに向かうことに。通常であればメインビルとサテライトを結ぶエアロトレインで移動するのだが、現在は運休中で、バスでのピストン輸送に切り替わっていた。到着便が集中する時間帯だったらしく、バス乗り場は長い列ができている。進みは遅いものの、バスに乗り込んで移動。

メインビルに到着すると、イミグレーションはさらに混雑していた。どの列が早そうか観察しながら並ぶが、どの列も進みが遅い。原因はすぐに分かった。イミグレーションは完全に無人化されており、機械でパスポートをスキャンする方式になっている。しかし、多くの旅行者がMDACの存在を知らず、登録が済んでいないまま列に並んでいるのだ。登録が済んでいる人はスムーズに進むのを見て、自分もそのまま通れると勘違いし、何度も試して列を滞らせているようだった。

登録が済んでいない人のために、空港内には数台のパソコンが設置されており、その場で登録が可能になっていたが、ここにも長蛇の列ができている。手持ちのスマホで空港のWi-Fiに接続し、登録することも可能だが、多くの旅行者がシステムに慣れていない様子で、空港スタッフが一人一人に説明している光景があちこちで見られた。

ようやく自分たちの順番が回ってきた。昨夜登録したMDACがきちんと機能しているかどうか、少し緊張しながらパスポートをスキャンする。すると透明な扉がすぐに開き、機械的にカメラ撮影が行われ、あっという間に入国手続きが完了した。拍子抜けするほどスムーズに終わり、思わず肩の力が抜けた。


バゲージクレームで荷物を受け取り、ようやくマレーシアへの入国が完了した。ここまでの手続きで少し疲れが出始めていたが、次の目的地は空港直結の「Sama Sama Hotel KLIA」。ホテルまでは移動用のバギーが使えると案内されていたので、指示に従ってエスカレーターで1フロア降り、バギー乗り場へ向かった。

送迎バギー乗り場の看板。わかりやすい。

バギー乗り場に着くと、少しタイミングが悪かったのか、待機しているバギーは見当たらなかった。それでも、24時間運行していると書かれていたので、安心して待つことに。5分ほどで風を切る音とともにバギーがやってきた。小さな電動車両は遊園地のカートのような可愛らしいデザインで、短い移動が少し楽しく思えた。バギーに乗り込むと、まるで空港内を探検しているような気分になった。荷物を荷台に預け、風を切りながら進むその乗り心地は、ちょっとしたアトラクションそのものだった。

ホテルのロビーに到着し、チェックインを済ませる。

フロント前のクリスマスツリー
ホテルロビー

部屋に入る頃には、飛行機の到着から1時間30分ほどが経過していた。部屋は広々としており、翌日の移動に向けて体を休めるには十分な快適さだった。荷物を所定の場所に置き、少しだけ息をついた後、食事のため再び空港のフードコートへ向かうことに。

再びバギーを利用して到着階のフードコートへ向かい、目に入ったマレーシア料理のファーストフード店に入った。軽く食べるつもりで選んだチキンヌードルはあっさりとした塩味が体に優しく、疲れた体にちょうど良かった。他にも少しだけ惹かれるメニューがあったが、あまり欲張らず、明日の移動に備えることにした。

あっさりめの味付けが丁度良かった。

食事を終え、再びバギーでホテルに戻ると、すぐにシャワーを浴びることにした。温かいお湯で旅の疲れを洗い流し、ようやく一息つけた気がした。ベッドに横たわると、今日一日の移動と手続きの多さがじわじわと思い出されるが、それでも順調に進んだことにホッとする。明日はバリ島デンパサールへの移動が控えている。体力をしっかり回復させるため、この日は深く考えることなくそのまま目を閉じ、すぐに眠りに落ちた。


2024年12月29日(日) 入国手続きと新しい旅の始まり

朝は6時に起床。昨夜は早めに眠ったおかげで、すっきりとした目覚めだった。今日のクアラルンプール出発は12時40分。空港直結のホテルなので移動に時間はかからないが、余裕を持って行動するため、朝食をしっかり取ってから出発する予定だ。

このホテルを予約する際、朝食付きのプランを選んだのは、単に時間を有効活用するためだけではない。事前にホテルの朝食について調べた際、軒並み高評価のレビューが並んでおり、「せっかく泊まるなら試してみたい」と思ったのが理由だ。バラエティ豊富な料理が揃っていると知り、楽しみにしていた。身支度を整えて7時には朝食会場に向かった。案内されたレストランに入いると、広々とした空間と、種類豊富な料理が並ぶブッフェに圧倒された。まさに評判通りの充実ぶりだ。各国の料理が独立したコーナーに分かれており、どこから回るべきか迷うほどのラインアップだった。

カレーコーナーには、スパイスの香りが食欲をそそる数種類のカレーが並び、ヌードル類も味付けや具材が異なるものがいくつも揃っていた。中華料理や日本食のコーナーもあり、それぞれ本格的な内容。さらに、ライブキッチンでは卵料理が目の前で調理されており、オムレツや目玉焼きに加えて、エッグベネディクトまで含めた8種類もの選択肢が用意されていた。こうした細かな配慮に、ホテルのホスピタリティを感じる。

フルーツやスイーツコーナーも色とりどりのデザートが美しく並び、どれも一口ずつ試してみたくなる。甘いものが好きな妻も、特にこのコーナーには満足そうな顔をしていた。さらにはヤクルトまで置いてあるのを見つけ、少し驚きながらも笑ってしまった。

朝食はとにかく種類が多く、どれも手が込んでいて満足感が高かった。席に戻るたびに新しい料理を持ち帰り、いろいろな味を楽しむうちに、お腹がしっかり満たされた。妻も「朝からこんなに楽しめるとは思わなかった」と嬉しそうにしていたのが印象的だった。

充実した朝食を終え、部屋に戻ると、出発に向けて荷物を整える時間もちょうど良い。心地よい満腹感を抱えながら、今日の移動に向けて準備を始めた。

ヤクルトのみのショーケース

部屋に戻り、簡単に荷物をまとめた。ほとんど昨日のうちに準備を終えていたので、あっという間に片付いた。フロントでチェックアウトを済ませると、バギーを呼んで空港へ向かう。このホテルのバギーサービスは、便利さだけでなく、ちょっとした移動時間を楽しくしてくれるのがいい。

バギーは空港出発ロビーに通じるエレベーター前で停車。運転手にお礼を伝え、エレベーターで5階の出発ロビーに向かう。チェックインカウンターでは、全く混雑がなくスムーズに手続きが進み、荷物もあっさり預けることができた。次は出国審査。ここでも混雑は皆無で、すべてが機械化されている。パスポートをスキャンしただけで扉が開き、驚くほどスムーズに通過。

空港の出発エリア

出発ゲートはメインビル側にあり、出国後わずか2~3分で到着。これも便利なポイントだ。だが、出発までにはまだ2時間以上の余裕がある。時間を有効に使うため、サテライト側にあるマレーシア航空の「ゴールデンラウンジ」に向かうことにした。メインビルにもゴールデンラウンジはあるものの、サテライト側の方が規模が大きく、設備も充実していると聞いていたので迷わずそちらへ向かうことにした。バスのピストン輸送でサテライト側へ移動。朝の時間帯だったが混雑は全くなく、移動も驚くほどスムーズだった。到着後、すぐにゴールデンラウンジに向かった。

ゴールデンラウンジ内部

ラウンジに入ると、先ほど朝食をしっかり取ったばかりだが、妻がこのラウンジの名物であるオリジナルのラクサヌードルを試したいとのことで、一緒に味見をすることに。さすが評判通りの味だった。

ラウンジオリジナルのラクサ

その後は、ゆっくりと挽きたてのコーヒーを楽しみながら、妻と旅の計画についておしゃべりした。ソファに腰を沈め、リラックスした時間を過ごす。ラウンジの静かな雰囲気も相まって、これからの旅への期待が高まっていく。

1時間ほどして、出発ゲートのあるメインビルに戻ることにした。再びバスで移動したが、こちらも特に混雑はなくスムーズだった。戻った後、メインビル側のゴールデンラウンジにも立ち寄ることに。こちらは規模こそサテライト側に劣るものの、静かで落ち着いた空間は同様だ。軽くコーヒーを一杯飲み、さらにのんびりとした時間を過ごす。搭乗時間が近づいてきたので、ラウンジを後にしてゲートへ向かった。全体的に余裕を持った移動ができたおかげで、ストレスを感じることは一切なかった。

飛行機に搭乗した後、席に着き、離陸を待つ。ところが、しばらくしてもなかなか動き出さない。どうやら出発前の調整があるらしく、機内はそのまま待機状態に。窓の外を眺めても特に動きはなく、周囲の乗客も静かに待っている。待ち時間は約30分ほどだったが、やがてアナウンスが入り、ようやく飛行機が動き出した。スムーズに滑走路へ向かい、無事に離陸。バリのテンパサール空港へ向けてフライトが始まった。

晴れて下もよく見えた。

バリ島のテンパサール空港に到着すると、湿り気を帯びた暖かい空気が肌に触れ、南国らしい雰囲気を感じる。到着後、私たちはビザの手続きのためにアライバルビザカウンターへ向かった。事前に電子ビザを取得していなかったため、ここで発給手続きを行う必要があった。しかし、カウンターに到着すると目の前には長蛇の列が広がっていた。列が進むペースは予想以上に遅く、一人一人の発給手続きにかなりの時間がかかっている様子。カウンターにたどり着いた人たちが、そこでタブレットを渡され、自分で情報を入力したり操作したりする工程が含まれているようだった。見ていると、タブレット操作に不慣れな人があたふたしている様子が目につく。旅行者が多国籍なだけに、言語や操作に戸惑う人も少なくない。空港スタッフが補助している場面もあったが、全体の進行速度を上げるには限界があるようだった。列に並びながら、これがバリ到着時の混雑の現実なのだと実感する。この経験からも、事前に電子ビザを申請しておくのがやはりベストだと痛感した。電子ビザを取得していれば、長時間列に並ぶ手間も省けただろう。

長蛇の列。進みが異常に遅い。

ようやく順番が回り、アライバルビザを取得すると、その後の入国審査はクアラルンプール同様、完全に無人化されていた。ビザのQRコードをスキャンするだけでスムーズに通過できたのは、少しほっとする瞬間だった。
しかし、次に待ち受けていたのは税関での電子申請手続きだった。事前に調べておらず、完全に想定外の状況だった。税関の申請はすべて電子化されており、これを済ませないと先に進むことができない仕組みになっている。空港内にはパソコンが設置されており、そこで必要な情報を入力することができたが、これも初めての作業で少し戸惑った。
パソコンで情報を入力し、最終的に「印刷」ボタンを押すと、接続されたプリンターからQRコード付きの登録情報が印刷された用紙が出てきた。それを手に税関のゲートへ進むと、ようやく外に出ることができた。
長い列と複数の手続きを経て、ようやくバリの空気を吸うことができたが、正直なところかなり疲れてしまった。事前登録や準備をしっかり行わないと、これほどの時間ロスが発生してしまうのだと痛感した。次回は、ビザも税関申請も万全の準備で挑む必要があると肝に銘じた瞬間だった。


外に出ると出口付近にあるキャッシュディスペンサーで、WISEカードを使って現地通貨を2万円分引き出した。このカードは最近出張や旅行で利用し始めたが、使いやすさとコスト面でのメリットがあり、すっかり頼れる存在になっている。WISEカードの仕組みは非常にシンプルで、事前にWISE口座に旅費を入金しておけば、現地のキャッシュディスペンサーでそのまま現地通貨を引き出せる。引き出し時に高額な手数料がかからず、為替レートも良心的だ。こうした利便性から、頻繁に海外に行く人には最適なツールと言える。

例えば、長期出張や短期留学などの場合、このカードは非常に役立つ。家族などが日本からWISE口座にお金を振り込むだけで、現地で銀行口座を開設する必要がなく、現地のキャッシュディスペンサーで必要な分を簡単に引き出せるのだ。振り込みはほぼリアルタイムで反映されるため、緊急時にも即対応可能。銀行海外送金のような煩雑な手続きや高額な手数料が一切ないのも大きな魅力。

今回も、何の問題もなくスムーズに現地通貨を引き出すことができた。操作も日本のATMに近い感覚で進められ、初めて使う人でも戸惑うことは少ないだろう。出張や旅行先で現金を確保する際の手間や不安を解消してくれるこのカードは、これからも旅の必需品になりそうだ。

新しく引き出した現地通貨を確認しながら、これでひとまずバリでの食事や初日の予定も安心して進められる。次の目的地へ向けて、空港からの移動手段を確認するために足を進めた。
ホテルまでの足を確保するため、Grabタクシーを手配することにした。Grabは東南アジアでは非常に便利な移動手段だが、私が知る限りの国の空港タクシー乗り場では直接乗り降りすることはできない、たいていは専用の待ち合わせ場所が指定されていることが多い。バリの場合、「Grabラウンジ」という施設があり、そこに行けばスタッフが常駐していて、サポートを受けながらタクシーを手配できると事前にネットで書かれていた。まずはGrabラウンジを探そうとGoogleマップを頼りに向かう。指示された場所に到着してみると、そこにあったのはコンビニ。Grabラウンジらしき施設はどこにも見当たらない。「おかしいな」と思いながら、Grabアプリを開いて確認してみると、ラウンジの道順が掲載されており、どうやら既に別の場所に移転していることがわかった。結局、Googleマップの情報は古いもので、現在の正しい場所はGrabアプリに記載されていたというわけだ。気を取り直して、Grabアプリの指示に従い移転先のGrabラウンジに向かう。そこは空港出口から左へ進み少し奥まった場所にあったが、無事にたどり着くと、Grabのスタッフがサポートしてくれて、スムーズにタクシーを呼ぶことができた。アプリを通じて料金が明確で、トラブルもなく手配が完了。ほっと一息ついた。

今回の教訓として、Grabを利用する際はまずGrabアプリで情報を確認するのが正解だと感じた。Googleマップの情報は便利な反面、更新が間に合っていない場合もある。特に移動手段や待ち合わせ場所に関しては、アプリの最新情報をチェックすることが大切だ。

Grabタクシーが到着し、荷物を積み込みながらようやくホテルへ向かう準備が整った。移動の手間が少し増えたものの、初めての土地でのこうした経験もまた旅の一部。ホテルでのチェックインを済ませたら、まずはひと息つけるだろうと期待しながら車に乗り込んだ。
Grabタクシーに乗り込み、ホテルへ向かう。空港からホテルまでは車で約1時間の距離だが、移動の途中で日が暮れ、外は真っ暗になっていった。バリ独特の雰囲気を感じながら車窓を眺めていたが、途中で渋滞に巻き込まれたこともあり、ホテルに到着したのは20時を過ぎていた。到着までに2時間ほどかかり、思った以上に長い移動となった。


ホテルに着くと、フロントでスタッフが丁寧にチェックイン手続きを進めてくれた。初めての土地ということもあり、ホテルの施設や周辺の情報についてもいろいろ教えてもらった。旅の疲れを感じていたが、スムーズな対応に少し安心する。そのままレストランに案内され、ウェルカムドリンクをいただくことに。涼しい飲み物が喉を潤し、ようやくほっと一息つけた気がした。
ドリンクを飲みながら落ち着くと、急にお腹が空いてきた。レストランの雰囲気も良かったので、そのまま夕食をとることにした。軽めに済ませるつもりで二人ともハンバーガーを注文したが、予想以上にボリュームがあり、しっかりお腹が満たされた。旅先での食事は量や味に驚かされることが多いが、こうした些細な出来事も楽しい思い出の一つになる。

夕食を終え、部屋に戻ると、ようやく移動の疲れがどっと押し寄せてきた。明日の計画を少しだけ立てた後、バスタブにお湯を張り、ゆっくりと体を休めることにした。旅先でのこうした時間は格別で、長い移動の疲れをじんわりと癒してくれる。お湯の中で体をほぐした後は、そのままベッドに横たわり、深い眠りについた。明日はバリでの本格的な旅が始まる。どんな一日になるのか、少しだけ楽しみを胸に抱きながら目を閉じた。


2024年12月30日(月) 動物たちの声で始まる非日常の一日

朝、窓の外から聞こえてくるさまざまな動物の声で目が覚めた。「ああ、そうだった」と、ここが動物園の中心に位置するホテルであることを思い出す。まだ寝ぼけた頭の中に響くその声は、普段の生活では味わえないもので、旅先ならではの非日常感を感じさせる。
昨日到着したときは夜で、窓の外は真っ暗で何も見えなかったが、朝の光の中でベランダに出てみると驚いた。目の前にはまるで熱帯のジャングルに来たかのような濃い緑が広がっている。背の高い木々とその奥に続く密林のような景色が、まさに自然の中にいることを実感させてくれた。

外の空気を吸い込みながら耳を澄ますと、動物たちの鳴き声がさらに鮮明に聞こえてくる。鳥のさえずりや遠くから響く猛獣のような声、さらにはサルのような高い声が呼応するように入り混じり、まるで自然のオーケストラを聴いているかのようだった。この環境で目覚める朝は特別で、少しだけわくわくした気持ちになった。

今日はこの動物園内で一日を過ごす予定だ。朝のうちにホテルを出発し、動物たちと自然の中でゆっくりとした時間を過ごすことになるだろう。この特別な環境がどんな体験を与えてくれるのか、期待を膨らませながら身支度を始めた。

まずは腹ごしらえにと、朝食をとるためにレストランへ向かった。その名も「Cassowary RESTAURANT」。日本語にすると「ヒクイドリのレストラン?」と少しユニークな響きに笑いながら中へ入ると、その理由がすぐに分かった。

レストランのエントランスにヒクイドリの標識

レストランの周囲には、なんと本物のヒクイドリが2匹放し飼いにされていた。近づいて見ると、その大きさに圧倒される。これまでに見たエミューに匹敵するほどの体格で、存在感がすごい。それが目と鼻の先にいるなんて、これまでの旅行ではなかった新鮮な体験だ。

ヒクイドリたちは人に慣れているのか、特に鳴くこともなく、ゆっくりと歩き回っている。その優雅な姿を眺めながら朝食をとるというのは、なんとも贅沢で不思議な時間だった。妻も「こんな近くで見られるなんて」と興味津々で写真を撮りながら、時々目の前を歩くヒクイドリの動きを追っていた。

レストランの朝食は、一通りのメニューが揃っていて充実している。特に目を引いたのは、ホットサンドイッチをその場で作ってくれるライブキッチンのコーナーだ。好きな具材を選び、チーズ、ハム、野菜をたっぷり挟んで焼き上げたホットサンドは、香ばしい香りとともに出来立てが提供された。これが想像以上に絶品で、サクッとしたパンととろけるチーズの組み合わせがたまらない。「これは毎日でも食べたいね」と、妻も大満足の様子だった。ボリュームもたっぷりで、これだけでしっかりお腹が満たされた。ヒクイドリを眺めながらの朝食という特別なシチュエーションも相まって、朝から良いスタートを切れた気がする。

ボリューム満点のホットサンドイッチ

食事を終えた後、次のプランを話しながら、動物たちが待つ園内へ足を進めた。

動物園は、ホテルを中心に二つのゾーンに分かれ、自然豊かな熱帯環境の中で動物たちが暮らしている。広大な敷地に放し飼いのエリアが多く、動物たちの姿を間近で見られるのがこの園の特徴だ。猛獣や大型動物の迫力はもちろん、動物たちが見せる自然な行動には驚きと感動があった。
園内を効率よく回れるよう、二つのゾーンの間を5分おきにシャトルバスが運行しているのも便利なポイントだ。これにより、広い敷地内を歩き回らなくてもゾーン間を簡単に行き来できる。暑さと湿度が厳しい日には、こうした移動手段がありがたく感じられる。シャトルバスを活用しながら、興味のあるエリアを効率的に巡ることができた。

移動に便利な無料のシャトルバス

園内では、スマトラトラやホワイトタイガーといった猛獣、そしてクロコダイルやコモドドラゴンのような爬虫類も目を引いた。象乗り体験や猛獣への餌付けといったアクティビティも充実しており、家族連れやカップルが楽しんでいる姿があちこちで見られた。

象乗り体験

ほかにも、シマウマミーアキャットダチョウペリカンバクハイエナといった多様な動物たちが、それぞれのエリアで生活しているのが印象的だった。

ミーアキャットだけは元気に動き回っていた

中でもバクの展示エリアでは「おしっこが3メートルも飛ぶので注意」と書かれた注意書きがあり、思わず笑ってしまった。

バクが日陰でぐったりしていた

しかし、この日はすこぶる湿度が高く、熱帯の気候が全身にまとわりつくような暑さだった。そのためか、動物たちもぐったりとした様子で、多くが日陰で横たわったり、ゆったりとした動きで過ごしていた。特にダチョウやペリカンは水辺や木陰で体を休めていて、その姿から暑さをしのいでいる様子が伝わってきた。

ハイエナもぐったり
トラもぐったり

園内をゆっくりと回っていると、あっという間に時間が過ぎていった。600種を超える動物たちが暮らす園内は広大で、とても一日ではすべてを回り切れない。途中で疲れてしまい、動物園の入り口付近にあるカフェに立ち寄ることにした。冷たいドリンクを飲みながら、のんびりと座っていると、朝からの暑さと歩き疲れが少しずつ和らいでいく。


動物園で遊び疲れ、汗だくになった体をまずはシャワーでさっぱりさせる。熱帯の湿気と動物たちを巡る興奮で体はぐったりしていたが、シャワーを浴びるとようやく少しリフレッシュできた。次は、お腹を満たすためにレストランへ向かう。
夕食には、大きなハワイアンピザとインドネシア料理のサテセットを注文し、冷えたビールと一緒に楽しんだ。ハワイアンピザはチーズがたっぷりでジューシー、ほんのり甘いパイナップルがアクセントになっていて食べ応え十分。サテセットは、香ばしく焼かれた肉の串焼きに濃厚なピーナッツソースが絡み、これぞインドネシア料理という味わいだった。どちらも絶品で、旅先ならではの味覚を堪能できた。

ハワイアンピザ
サテセット

「動物園で一日遊ぶなんて、いつ以来だろう?」と、ふと昔を思い返す。童心に戻って思い切り楽しんだ一日は、大人になってからはなかなか味わえない貴重な時間だった。妻も同じ気持ちだったようで、「久しぶりにこんなに歩き回ったね」と笑っていた。

夕食後は、明日の大晦日に備えて少し計画を立てることにした。目的地はウブドの街。アートや文化が溢れるバリの中心地で、ぜひ訪れたいと思っていた場所だ。ホテルのシャトルバスがウブド行きを提供していると聞いていたので、早速フロントで予約を済ませた。
こうして、バリ旅行初日は満足のうちに終了した。動物たちと触れ合い、自然に癒され、充実感たっぷりの夕食で締めくくる一日。明日はどんな発見が待っているのかを楽しみにしながら、ベッドに横たわり、心地よい疲れに身を任せて眠りについた。


2024年12月31日(火) 新年へのカウントダウン

ウブドの街に向かうホテルのシャトルバスは朝9時に出発する予定だったので、それに間に合うよう、少し早めに朝食を済ませることにした。朝の空気はまだ涼しく、昨日の動物園での疲れが少しだけ残っているものの、これから始まる新しい一日に期待が膨らむ。

レストランでは、昨日食べてすっかりお気に入りになったホットサンドイッチを今日も注文。チーズやハム、野菜がぎっしり詰まった焼きたてのサンドイッチは、朝から体を元気にしてくれるような美味しさだ。妻も「これ、バリ滞在中は毎日でも食べたいね」と笑顔を見せながら、同じくホットサンドを堪能していた。

朝食を取りながら、ウブドでの計画について話す。寺院やマーケットを巡り、独特の文化や雰囲気を楽しむことが今日の目的だ。
朝食を終えた後は、部屋に戻り、身支度を整えてシャトルバスに向かった。

ホテルエントランスでシャトルバスを待つ

9時になり、ホテルのシャトルバスに乗り込む。目的地のウブドまではおよそ30分の乗車。
道中、ウブドの街を車で通過しているときに、ひときわ目を引くアート写真が飾られた店があった。鮮やかな色彩やユニークな構図の写真が外からも見えるようにディスプレイされていて、思わず見入ってしまう。観光地らしい活気の中でその店は特に印象的で、通り過ぎた後も記憶に残っていた。

ウブドに到着すると、朝から渋滞で賑わっており、街全体が活気に溢れていた。まずはゆっくりと街歩きを楽しむことに。今日は買いたいものがいくつかリストに挙がっている。妻の新しい水着、私のサンダル、そしてホテルで飲むためのインスタントコーヒー。どちらも普段からコーヒーをよく飲む私たちには欠かせないアイテムで、部屋のストックだけでは足りないことがわかっていた。
適当に見つけた路地に入り、両脇に土産物屋や小さなブティックが並ぶ中をぶらぶらと歩く。目についた商品を手に取ったり、値段を聞いたりしながらのウィンドウショッピングは、特別な計画がなくても楽しいひとときだ。

印象的だったのは、ウブドの店員たちの売り込み方。どこか急かすような圧迫感はなく、ゆるい雰囲気で「これも見て行って」「これもいいよ」とすすめてくる。値段を聞いたり軽く交渉したりするが、結局買わずに立ち去るときでも、笑顔いっぱいで「また来てね~」「安くするからね~」と明るく送り出してくれる。その柔らかい人柄と微笑ましい売り込みスタイルに、心が癒される。もちろん、どの国にも良い人悪い人はいるだろうが、ウブドのこの明るさと親しみやすさは特別に感じた。

街をぶらぶらと歩きながら、気持ちよい朝の陽ざしを浴びる。路地の店をのぞき込みながら、のんびりとした時間を楽しんでいると、妻が一つのコスメショップを見つけた。入るや否や、彼女はハンドクリームを手に取り、「これいいかも」と衝動買いしていた。彼女の楽しそうな姿を見て、こちらも自然と笑みがこぼれる。ウブドの街は、物を買うだけでなく、そこにいる人たちの人柄や街全体の雰囲気を楽しむ場所だと感じる。次にどこへ行こうかと考えながら、私たちは引き続きこの街を歩き続けた。

次に見つけたのは、「RICHI RICH」という水着ショップ。妻がインターネットで調べるとバリ発の水着ブランドらしく、店の前で立ち止まるとそのまま中へ入っていった。色とりどりのデザインやスタイルが並ぶ店内で、妻はじっくりと選び、いくつか手に取って試着室へ。

「水着は使用感が大事」と妻が言う通り、試着しながら動きやすさやフィット感を確かめていた。お気に入りの一着を見つけた妻は満足そうで、見ているこちらも嬉しくなった。ブランド独自の素材感とデザインが魅力的なこの水着は、きっと今後の旅でも活躍することだろう。

バリ発の水着ブランドの「RICHI RICH」

その後、歩き疲れた体を休めるため、近くのマッサージ店に立ち寄ることにした。バリのマッサージは有名で、値段も手頃だと聞いていたが、実際に体験してみるとその通りだった。1時間のバリニーズマッサージで料金は日本円にして約1000円。リーズナブルな価格に驚きながらも、ベットに体を預けると、すぐに施術が始まった。

バリニーズマッサージは、なでるような優しい手技が特徴で、日頃の疲れをじんわりと癒してくれる。途中で気持ちよくなり、いつの間にかうとうとと寝てしまったほどだ。一方で、強めのマッサージが好きな妻には少し物足りなかったようで、「もう少し力が欲しいな」と苦笑いしていた。それでも、二人とも体が軽くなった感覚を味わいながら店を後にした。

マッサージの後は、近くのスーパーのような土産物店に立ち寄り、インスタントコーヒーを購入。私たちはコーヒー好きで、部屋で飲む分がすぐになくなりそうだとわかっていたので、ここでしっかりストックを確保することにした。手頃な価格で種類も豊富なインスタントコーヒーをいくつか選び、これでしばらくは安心だ。

水着選びからマッサージ、そしてコーヒーの買い足しまで、ウブドの街歩きは楽しく充実していた。気づけば時間があっという間に過ぎていて、体も心もほぐれた気分で次のプランを考え始めていた。


すぐ近くにあるということで、ウブドの街の中心に位置するウブド王宮サラスワティ寺院を訪れることにした。それぞれがウブドを象徴する観光スポットで、歩いて回れる距離にあるのが嬉しい。

ウブド王宮 (Puri Saren Agung)

まず訪れたのはウブド王宮。かつてウブドを治めていた王族の居城で、現在もその一部は王族の住居として使われている。豪華な石彫りやバリ特有の建築スタイルが見事で、訪れるだけでバリの伝統的な文化に触れられる。特に中央の門(プラ・チャンディ・ベントゥール)は圧巻で、繊細な彫刻が施された門は、見る人を引き込む美しさだった。
王宮の庭園は広々としており、南国の植物や彫像が点在している。昼間は観光客で賑わうが、夜には伝統舞踊の公演も行われることで知られている。訪れた時間は静かで、写真を撮るのにちょうど良かった。妻も夢中でカメラを構え、美しい構図を見つけてはシャッターを切っていた。

サラスワティ寺院 (Pura Taman Saraswati)

次に向かったのはサラスワティ寺院。芸術と知恵の女神サラスワティに捧げられた寺院で、その美しいデザインとロケーションから「フォトジェニックな寺院」として人気だ。境内に入ると、まず目を引くのは蓮池。水面に咲くピンクの蓮が、寺院の荘厳な雰囲気をさらに引き立てている。正面の石造りの門や装飾も見事で、バリ建築の魅力が凝縮された場所だと感じた。

訪れたときには、大晦日のカウントダウンコンサートの準備が進められており、蓮池の中央には舞台や照明のセットが設営されていた。現地のスタッフが忙しそうに準備を進めている様子に、明日の賑わいを想像して少しワクワクした。夜にはライトアップされることもあるそうで、昼間とはまた違った雰囲気になるのだろう。

どちらの場所でも、フォトジェニックなスポットがたくさんあった。ウブド王宮では豪華な門や彫刻、サラスワティ寺院では蓮池と石造りの門をバックにした写真が特に印象的だった。


ホテルに戻る前に、街中のカフェに立ち寄ることにした。ウブドの街歩きで疲れた体を休めながら、バリコーヒーとビールを注文。南国特有の湿気を感じる空気の中、冷えたビールと芳醇なバリコーヒーがそれぞれの疲れを癒してくれる。観光地らしい活気があふれる中、ゆっくりとした時間を楽しむのもいい。

テーブルに座り、今日の出来事や訪れた場所の話をしながら、のんびりとおしゃべりを楽しむ。妻が撮った写真を一緒に見返し、「明日はあのアート写真の店に行ってみよう」「モンキーフォレストというのがあるらしい」「まだ見られていない路地もありそうだ」と次々に話題が広がる。結局、一日ではウブドの街を十分に歩き尽くすことは難しいという結論に至り、明日も再び来ることに決めた。

リラックスした時間を終え、ホテルへ戻るためにGrabタクシーを呼んだ。アプリで手配すると、ほどなくして車が到着。ウブドの街は大晦日のカウントダウンに向けてますます賑わいを増しており、人と車であふれている。その喧騒を後にして、一足先に街の中心を抜け出し、タクシーでホテルへ向かう。車内から見える景色は、活気に満ちた街の姿と夜の帳が下りつつある静けさが交錯しているようだった。ホテルに近づくにつれ、自然の音と落ち着いた空気が徐々に広がり、疲れた体をほっとさせる。

ホテルに戻ると、まずは明日のウブド行きのシャトルバスの予約を確認し、帰りの予約も済ませた。これで明日の計画も万全。ほっと一息つきながらロビーに目を向けると、ニューイヤーイブのパーティーの準備でプールやレストラン周辺が大勢のスタッフで賑わっている。カラフルな装飾やステージの設営が進み、少しずつ華やかな雰囲気が漂い始めていた。

妻は買ってきたばかりの水着に着替えると、早速プールへ。プールサイドのパーティー設営の様子を眺めながら、小一時間ほどプールで遊んだ。


私たちも昨日このパーティーの予約を済ませており、当然参加する予定だ。虫よけスプレーをしっかりと体中に吹きかけ、準備万端で18時の開始時間に合わせてレストランに向かった。ところが、ここでトラブル発生。なんと、私たちの予約が入っていないと言われたのだ。
既に支払いも済ませているはずなのに、と困惑しながら部屋に戻り、予約控えとクレジットカードの支払い明細を持ってきて見せると、スタッフも慌てた様子で急いで席に案内してくれた。トラブル自体はすぐに解決したものの、少し残念な気持ちになったのも事実。ただ、せっかくのパーティーを楽しむ気持ちを切り替えることにした。
パーティーはブッフェ形式で、BBQの肉や魚、ローカル料理が並び、どれも美味しかった。妻も「この味、やっぱりバリっぽい」と満足そうだ。ダンスミュージックに合わせて、バリ民謡のダンスや、全身電飾のドレスをまとった女性たちによる煌びやかなショー、さらに迫力のファイヤーダンスと、次々にイベントが進む。子供たちが参加するゲームやビンゴ大会もあり、全体的に賑やかで楽しい雰囲気が続いた。

中でも印象に残ったのは、ホテルスタッフによるファイヤーダンスショー。火のついた棒を投げ合うパフォーマンスは見応えがありながら、たびたび落とすところが少し素人っぽく、なんとも微笑ましい。全体的に手作り感があり、その温かみがこのパーティーの良さでもあった。

途中で少し疲れて部屋に戻ったが、12時近くになると外から花火の音が聞こえ始めた。慌てて部屋を出ると、森の中に次々と花火が打ち上がる光景が広がっていた。妻は「9か所くらいホテルから花火が上がっているよ」と言い、真っ暗なジャングルが花火の光で照らされるたび、辺りの動物たちが驚いたように鳴いていた。花火と動物たちの声が入り混じるこの不思議な情景は、バリならではの特別な瞬間だった。

しばらくその光景を楽しみ、夜1時頃にようやく就寝。長くも充実した大晦日の一日を振り返りながら、ゆっくりと眠りについた。明日は新しい年の始まりだ。どんな一日になるのか、楽しみがさらに膨らむ夜だった。


2025年1月1日(水) ウブド寺院で猿と初詣、バリの魅力再発見

今日も9時発のウブド行きシャトルバスに合わせて、早めの朝食を済ませた。昨日と同じようにお気に入りのホットサンドイッチを楽しみながら、これから始まる新しい一日への期待を膨らませる。準備を整え、シャトルバスを待っていると、空はあいにくの曇り空。今にも雨が降り出しそうな気配だった。
今日は昨日とは違い同乗者がおらず、少し静かな車内だ。ドライバーはウブド出身の人懐っこい男性で、私たちがウブドに向かう間、周辺の観光スポットやおすすめの場所についていろいろと教えてくれた。
彼が教えてくれたスポットの中には、ウブド近郊の美しいライステラスや隠れた寺院、地元の人しか知らないような小さなマーケットなど、魅力的な場所がたくさんあった。どれも行ってみたいと思わせるものばかりだったが、今回の旅行中には時間が足りず訪れるのは難しい。「また次回来る時の楽しみにしておこう」と妻と話しながら、彼の説明を楽しんだ。
ウブドに到着する頃には、別れ際にドライバーが「帰りの迎えの時に連絡が取りやすいように」と、メッセージアプリを交換しようと提案され登録することに。これで帰りのピックアップも安心だ。

ウブドに到着して、早速昨日とは違う路地から街歩きをスタート。今回はJI.Goutamaという通りを歩いてみた。昨日の路地よりも少し広めで、両脇にはレストランやスパ、カフェなどが並んでいる。まだ営業していない店もいくつかあり、静かな朝ならではの落ち着いた雰囲気が漂っている。

おしゃれなカフェが並ぶ通り

街並みを眺めながら、通りをぶらぶらと歩いていく。妻と「このカフェ、帰りに寄ってみようか」と話したり、「ここのスパがいいんじゃない?」と相談しながら、特に急ぐこともなくのんびりとした時間を楽しんだ。

今日は元旦ということで、初詣の気分を味わうべく、モンキーフォレストの中にある寺院に行こうということに。正式名称はMandala Suci Wenara Wana(マンダラ・スチ・ウェナラ・ワナ)というが、観光客には「モンキーフォレスト」の名で広く知られている。

ウブドの街歩きスポットとしても有名で、寺院や熱帯の森、そしてそこに暮らす野生のサルたちを見ることができる場所だ。
スマホの地図を頼りに、寺院の場所を確認しながら進んでいく。曇り空の下、湿った空気が雨季の南国らしい雰囲気を一層引き立てている。途中、開き始めた店の看板や道端の屋台を横目にしつつ、モンキーフォレストへの道を進んだ。

途中でスーパーを見つけたので立ち寄ることに。昨日買いそびれた私のサンダルと、友達へのお土産用のバリコーヒーをここで調達した。スーパーには地元の食材やお菓子、雑貨が並び、ウブドらしい雰囲気が漂っている。どれも手頃な価格で、ちょっとしたショッピングを楽しむには十分な品ぞろえだった。さらに、スーパーの中にはキャッシュディスペンサーも設置されていたので、念のためWISEカードを使って1万円分のインドネシアルピアを引き出しておいた。これで当面の現金は安心だ。操作もスムーズで、やはりこのカードは旅先で頼れる存在だと改めて実感した。

買い物を終えて再び街歩きを再開すると、ウブドをすっかり気に入った妻が「次回の旅行で泊まるならここもいいかも」と話し出した。彼女の目当ては、ウブドで有名なアラヤリゾートウブド。幸いにも通り道にあったので、フロントで許可をもらい少しだけ中を見学させてもらうことにした。

リゾート内は、まさにバリの自然と贅沢さが融合した空間。青々と茂る緑や水辺の風景、そして丁寧にデザインされた建物がどれも美しい。妻は「ここならウブドをもっとじっくり楽しめそう」と目を輝かせながら、あちこちを眺めていた。こうした寄り道もまた旅の醍醐味。ウブドの魅力を感じながら、モンキーフォレストに向けて再び足を進めた。

アラヤリゾートウブドからほんの数分歩いたところで、ウブドを代表する観光地、モンキーフォレスト(正式名称:Mandala Suci Wenara Wana)に到着した。自然の中で数百匹の猿たちが暮らすこの施設は、ウブドの象徴的なスポットの一つ。施設に入るには1000円程度の入場料が必要だが、それだけの価値があると感じられる場所だ。

森の中を歩き始めると、すぐに縦横無尽に動き回る猿たちの姿が見られる。地面を歩く猿、木の枝を飛び回る猿、さらには人々の近くに寄ってくる猿まで、慣れた様子で逃げる気配はまったくない。猿たちの無邪気な動きが楽しく、ついカメラを向けたくなるシーンが至る所にある。

園内にはガジュマルの巨木がいたるところに生えていて、その迫力に圧倒される。特に印象的だったのは、ガジュマルの根が橋のように見える有名なスポット。峡谷をまたぐこの大木は、バリの自然と神秘を象徴するような光景で、しばらく見入ってしまった。

ガジュマルの大木を抜けるように橋がかかっている

3つの寺院を順番に回りながら、それぞれで手を合わせてお参りをした。メイン寺院で祈りを捧げていると、脇で同じように手を合わせている猿を発見。その姿があまりにもユーモラスで、思わず写真を撮った。さらに、子ザルを抱いた母猿が近くまで寄ってきてくれ、その様子をじっくり観察することができた。

拝む猿
子猿を抱いた母猿

【モンキーフォレストと寺院の概要】
モンキーフォレストは、約12.5ヘクタールの敷地に広がる熱帯雨林に囲まれた保護区で、約700匹以上のバリマカク(カニクイザル)が自然のまま暮らしている。観光地であると同時に、猿たちを守る保護施設でもあり、バリ・ヒンドゥー教の聖地としての役割も果たしている。

園内には3つの寺院があり、それぞれが異なる役割を持つ:
メイン寺院(Pura Dalem Agung Padangtegal)
死者の魂を祀る寺院で、神聖なバリ・ヒンドゥー教の儀式が行われる場所。
聖なる泉の寺院(Pura Beji)
儀式の前に心身を清めるための水が湧き出る神聖な泉がある。
プラ・プラジュープラヒティング寺院(Pura Prajapati)
村の共同墓地に隣接し、死者を弔うための寺院。

🐒注意事項と猿との接し方
モンキーフォレストには多くの注意書きがある。その中でも特に重要なものをいくつか紹介すると:猿と目を合わせない:猿は目を合わせ続けると攻撃的になる場合があるため、じっと見つめないようにする。
紙袋やプラスチック袋を持ち込まない:猿が興味を示して奪おうとするだけでなく、環境保護の観点からも禁止されている。
猿に触らない:猿が触れてくることがあっても、こちらから触れるのはNG。特に赤ちゃん猿に触れると母猿が攻撃的になる可能性が高い。
食べ物を与えない:健康管理のため、人間のスナック類などを猿に与えない。

だいぶ歩き回り、モンキーフォレストでの散策も終えて足が疲れてきたので、少し休むことにした。その後、昨日車窓から見て気になっていた写真が展示されている店に行くことに。Grabタクシーを呼び、目的地へ向かう。

モンキーフォレストの寺院を後にして、妻と一緒にギャラリー「NACIVET」へ向かうことにした。

フォトギャラリー「NACIVET」について
「NACIVET」は、バリ島を拠点とする有名な写真ギャラリー。バリの文化や風景、人々をテーマにした写真を専門に扱っており、そのクオリティの高さで知られている。ギャラリーの作品は、地元の人々の暮らしや自然の美しさを繊細かつ力強く捉えており、多くの国際的な写真賞を受賞している写真家によるものだという。バリ島の魅力をアートとして伝える場として、地元だけでなく観光客にも評判が高い。

ギャラリーに到着すると、店内にはバリ島の豊かな自然や伝統的な風景、人々の生活を切り取った印象的な写真がずらりと並んでいた。作品のどれもが力強い表現で、ただの写真ではなく、まるでバリの空気や香りまで感じ取れるような作品ばかり。写真が持つ力に引き込まれ、私たちはしばらくその場で立ち尽くしていた。

特に、ライステラスを背景に働く人々の姿を捉えた作品が印象に残った。その一瞬一瞬の情景が、まるで映画のワンシーンのようだった。私は持ち帰りやすいしカレンダーがあればぜひ買いたいと思い、スタッフに尋ねてみた。しかし、残念ながらカレンダーの取り扱いはなかった。ギャラリーを後にしながらも、その写真の美しさや印象は心に残り続けていた。


次は妻をスパのある場所まで連れて行き、リフレッシュしてもらうことにした。妻がスパを楽しんでいる間、私は近くのカフェでビールを飲みながらのんびり過ごすことに。冷たいビールを片手に今日の出来事を振り返ったり、次に行きたい場所をスマホで調べたりして、ゆったりとした時間を過ごした。
スパが終わり時間を見計らって、妻を迎えに行き、その近くで早めの夕食をとることに。偶然見つけた珍しいラオス料理の店「Melting Wok Warung」に入ることにした。

店はこぢんまりとしていたが、口コミで有名らしく観光客にも人気のあるお店らしい。特にカレーが評判ということで、妻は名物のココナッツカレーヌードルを注文。濃厚で香り高いココナッツのスープが、もちもちしたヌードルと絡み合い、一口食べるたびに幸せな表情を見せていた。私も少し味見させてもらったが、その深い味わいに納得。スパイスのバランスが絶妙で、食べ終わる頃にはスープまで飲み干していた。

名物のココナッツカレーヌードル

私は牛肉とバジルの炒め物を注文。香ばしいバジルの風味がアクセントになり、柔らかい牛肉と絡む味わいはシンプルながらも心に残る美味しさだった。ご飯との相性も抜群で、あっという間に完食。

さらに、評判のデザートも試してみることに。一番人気のココナッツのクレープを頼むと、これがまた絶品。ふんわりとしたクレープ生地に、甘さ控えめのココナッツソースがたっぷりとかかっていて、口に運ぶたびに笑顔がこぼれる美味しさだった。デザートはシェアして楽しんだが、もっと頼んでも良かったと思えるほどだった。

一番人気のココナッツのクレープ

妻と二人、地元ならではの美味しい料理とスパの後の満足感で、お腹も心も満たされた。これからホテルに戻って、明日の予定を少し考えながらリラックスするのが楽しみだ。


18時の迎えの時間が近づいてきたので、ピックアップ場所に向かう途中でドライバーからメッセージアプリで連絡が入った。連絡がスムーズだったおかげで、すぐに合流することができた。

帰り道、いつものように人懐っこいドライバーがいろいろと話をしてくれる。その中で、「次回バリに来るときは、もっと田舎町にも足を延ばしてみるといいよ」とすすめられたのが、シデメン(Sidemen)という場所だ。名前は聞いたことがなかったが、話を聞く限りとても興味をそそられる場所だった。

シデメン(Sidemen)の概要
シデメンは、バリ島東部に位置する静かな田舎町。観光地としてはまだそれほど有名ではないが、壮大なライステラスと緑豊かな景色、そしてのどかな村の雰囲気が広がる隠れた名所だ。地元の文化や自然と触れ合える場所として、知る人ぞ知るスポットとして人気がある。訪れると、都会の喧騒から離れ、バリの本来の姿に触れることができる。

ドライバー曰く、「シデメンではアグン山を背景にした自然豊かな美しい景色が見られる」とのこと。宿泊施設もアットホームなヴィラが多く、ゆっくりと時間を過ごすには最適な場所らしい。ネットで調べてみると、まさにバリの魅力を凝縮したような場所だとわかり、次回はここに行きたいと強く思った。

ホテルに戻ると、まずは疲れた体をお風呂で癒すことに。熱いお湯に浸かると、今日一日の歩き疲れがじんわりと和らいでいく。

明日はバリ島を出発し、クアラルンプールで一泊のトランジットを経て帰国する予定だ。少し名残惜しい気持ちもあるが、最終日は心置きなく旅の締めくくりを楽しもうと決めた。この旅で感じたバリの魅力が、また次への旅の期待を膨らませてくれている。旅の終わりを惜しみつつ、深い眠りに就いた。

2025年1月2日(木) 名残惜しむバリの朝と旅の締めくくり

バリ最後の朝はゆっくり起き、名残惜しい気持ちを抱えながら最後の朝食に向かった。いつものようにお気に入りのホットサンドイッチを楽しみつつ、これからの予定について話し合った。今日は、ホテルが提供するフォトセッションサービスの日だ。プロのカメラマンがホテル内の美しいロケーションで撮影し、その中からお気に入りの一枚をプレゼントしてくれるというもの。予約していた12時のセッションに向けて、朝食後は部屋に戻り、荷物のパッキングを済ませた。

12時にチェックアウトを済ませ、フォトセッションに向かった。撮影はプールサイドやホテル内の小さな寺院を背景に行われ、カメラマンの指示に従っていくつかのポーズを試みた。少しいい年齢の夫婦にとって、照れくさいポーズもあったが、そんなぎこちなさもまた旅の良い思い出になった。撮影が終わった後は、まだ訪れていなかったホテル内のスポットを散策。「こんなところもあったんだね」と驚きながら話をしながら散策した。

その後、再び動物園を訪れた。最初に訪れた時とは違い、この日は涼しく、湿度も少し下がっていたおかげで、動物たちは非常に活発に動き回っていた。特に、悠々と歩き回る虎の姿が印象的で、その堂々とした風格に圧倒された。前回は日陰で休んでいる動物が多かったが、この日は檻の中を動き回る姿を見ることができ、また違った魅力を感じられた。

堂々と闊歩する虎

14時半ギリギリにホテルへ戻ると、ホテルのタクシーが既に待機していた。慌ててフォトセッションで選んだ写真を受け取り、タクシーに乗り込んだ。帰り道では予想通り渋滞があり、空港に到着したのは16時頃。それでも予定通りで、余裕を持ってチェックインを済ませることができた。

バリの空港に入ると、以前訪れた時とは大きく変わったことに驚いた。規模や設備の充実、清潔感に至るまで、空港全体が洗練された印象だ。調べたところ、バリのングラライ国際空港は2013年に大規模な改修を経てリニューアルオープンしたとのこと。観光地としての玄関口にふさわしいモダンなデザインと機能的な設備が整い、訪れる人々を迎え入れる空港へと生まれ変わった。ラウンジに向かうと、フードやドリンクのメニューが充実しており、フライト前の時間を快適に過ごすことができた。落ち着いた空間で、バリでの旅を振り返りながら最後のひとときを楽しんだ。

ラウンジ内

19時発のフライトでバリを後にし、クアラルンプール空港に到着したのは23時頃。到着ゲートがメインビル側だったため、動線もスムーズで、すべての手続きがわずか15分で完了。出口に出ると、バギーに乗り込んで「サマサマホテル」へ直行した。

ホテルに到着し、チェックインを済ませると、もう一息で旅も終わりに近づいていることを実感した。明日は9時40分のフライトで帰国する予定。疲れた体をお風呂で癒し、早めに就寝して、最後の移動に備えることにした。バリでの特別な時間を振り返りつつ、静かに眠りについた。


2025年1月3日(金) 新しい始まりを告げる、旅の終わりの朝

朝6時、セットしておいた目覚ましが鳴り響き、二人ともゆっくりと目を覚ました。これが今回の旅で最後の朝。少し名残惜しい気持ちを抱えながら、まずは手際よく荷物のパッキングを済ませた。旅の終わりに近づくこの瞬間には、いつも独特の感傷がつきまとう。

チェックアウトを済ませ、ホテル前で待っていたバギーに乗り込む。バリの空気を感じながら空港へ向かうこの短い時間さえも、特別なひとときに思えた。バギーはスムーズに空港の出発ロビーまで私たちを運んでくれた。

空港では、完全無人化された出国手続きをさらりと済ませた。効率的かつストレスのないプロセスに感心しつつ、フライトまでの時間をどのように過ごすかを考える。今回の出発ゲートはサテライト側。バスでサテライトターミナルへ移動し、マレーシア航空のゴールデンラウンジに向かった。

ゴールデンラウンジは朝の時間帯にもかかわらず賑わいを見せていた。豊富な朝食メニューの中から、軽めのクロワッサンとフルーツ、そしてコーヒーを選び、静かに食事を楽しんだ。妻はいつものように、デザートも少し取ってきて二人でシェア。ラウンジの広々とした空間で落ち着いた時間を過ごしていると、旅の疲れも少しずつ和らいでいくようだった。

マレーシア航空のマークをあしらったカプチーノ

「これが最後の朝食だね」と妻がぽつりと言い、私も「次はどこでこんな時間を過ごせるかな」と答えた。ラウンジの静けさの中で、これまでの旅の思い出をふり返りながら過ごす時間は特別なものだった。

出発時間が近づき、後ろ髪を引かれる思いでラウンジを後にしてゲートへ向かう。時間通りに搭乗が始まり、飛行機はほどなくして滑走路を駆け抜け、バリの地を後にした。離陸の瞬間、窓の外に広がる島の景色が遠ざかっていくのを見つめながら、今回の旅がいかに特別なものだったかを改めて実感した。フライト中も特に問題なく、予定通りに成田空港に到着。帰り道も驚くほどスムーズで、移動中のストレスはほとんど感じなかった。空港から自宅までの道のりで、「やっぱりバリは素晴らしい場所だったね」と妻と話しながら、次に訪れるときのことを早くも考えていた。


こうして、長かった休暇も終わりを迎えた。旅が終わると、現実に戻ることへの不安と新しい日常への期待が入り混じった複雑な気持ちになる。今、このトラベルノートを書きながら、ふと「仕事に戻れるかな」と不安になっている自分がいる。だけど、それ以上に、この旅で得た思い出が心に残り続けることを感じている。

次回はどんな場所へ行けるだろうか。次はいつ妻とこんな時間を共有できるだろうか。そんな期待を胸に、また新しい日々が始まる。今回の旅が、これからの日常をもっと豊かにする力をくれるような気がする。旅の終わりは、新しい始まりのようだ。

旅の費用

今回の旅はコスト面をみると円安と現地物価上昇の現実を実感した旅でした。

🔔Bell


いいなと思ったら応援しよう!

🔔Bell note
いただいたサポートは、noteの有料記事の購入や他のクリエイターの方へのサポートなど、何かしらnoteに還元する形で使わせていただきます。

この記事が参加している募集