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本当のクリスマスの楽しみ方。 〜キリストの誕生日じゃなかった件。

毎年、年末のクソ忙しいこの時期、クリスマスという名の宗教行事がやってくる。華やかな飾り付けと、赤と緑の装飾。美味しいご馳走など、(暗〜いキリスト教の聖書の世界観とかけ離れた)極彩色の豊かな世界観が展開される。そしてこの時期だけ、唐突に現れるアイツ!真赤なコートを身にまとい、トナカイを引き立てソリで大空を駆け回る。ホウホウホウ!と奇妙な笑い声を上げるサンタクロースだ!だいたい他の日は何をしてるんだ?そもそもキリスト教の何なのだ?
聖書の中には登場しない。
その後の聖者でもない。

そして、ヤドリ木の下でキスとか、そんなまじないは聖書にはないぞ。ヤハウェは信者を苦しめて信仰心を試し、奇跡が欲しくば息子を生贄を差し出せというような奴。幸せを振りまくクリスマスのイメージに合わない。
どうなってるんだ?
そこでクリスマスの起源を調べてみる事にした。

クリスマスの起源は紀元前?

クリスマスは、キリストが生まれる前からあった。
あ、いやまて、クリスマスはキリストの誕生日だぞ。なんで、クリスマスが生まれる前からあったのだ?

クリスマスはもともと「ユール」というお祭りだった。欧州全土が森に覆われていた時代、ケルト民族が住んでいた。ユールはゲルマン民族から伝わったもので、彼らの冬至のお祭りでありだったのである。収穫を祝い、一年の無事を神々に感謝するお祭りだったのだ。祭りは12月半ばから年明けまで続いていたと言う。


本当にキリストの誕生?

イエス・キリストは馬小屋で生まれたのだが、年末のクソ寒い夜に、扉もない馬小屋で子供を産むなんて狂気の沙汰だ。到底、神に祝福された予言の子の誕生ではない。少なくとも冬ではないはずだ。
実は新約聖書のどこにも誕生日を示す記述はない。ならばなぜ12月25日がイエス・キリストの誕生日なのか。

それは、会議で決まった。

いくつくかの候補はあった。その中で、12月25日に決まったのは、キリスト教がいくら広まっても、欧州全土で、聖書以外の神々に感謝するユールは止まらなかった。
そこで、教会の神父たちは、12月25日の冬至のユールをキリストの誕生日としてしまえ!と、乱暴に決めてしまったのだ。そして、外で騒がず教会で厳粛にミサをする日として定めた。これでユールはなくなるかと思われた。

そしたららどうなったか。
みんな24日までユールを楽しみ、25日は何もしない日になったw
キリスト教は知らなかったのだ。冬至は毎年同じではない事を!
25日はユールの飾りを片付ける日。子供にとってはサンタに貰ったおもちゃで夢中になる日になった。今でもイエスキリストの誕生日は誰も祝わない。欧州をこのシーズンに滞在した人は「25日は正月のようにどの店も開いてなかった」と言っていた。昔会ったドイツ人は「25日は二日酔いの日」だと言って、一日中寝ていると聞いた。


ユールの楽しみ方

では本来のユールとはどんなものだったのか。今もほとんど変わらず行われている。冬至を祝い、もみの木に飾り付けをして、冬至を迎える準備をする。てっぺんの星は幸運の一番星。コレが見えたら子供たちはプレゼントを開けていい時間なのだ。そして、一番星は金星。キリスト教では不吉と言われている星なんだけど、本当に不吉?

ポインセチアやヒイラギ、ヤドリ木など、冬でも元気な植物で飾り、森の妖精ノームを家に迎え入れる準備をする。子豚の丸焼きや、ガチョウの丸焼きなど(七面鳥が主流になったのはアメリカに渡ってから)、沢山の料理を作り、家族そろって食事をする。するとノームもそこに現れ、一緒に食事をするという。そしてお礼に、良い子供におもちゃをくれると言われている。


サンタクロースの正体

まさにサンタクロースの原型である。1931年コカ・コーラが赤いサンタの広告を打つまでは、サンタのコートは、赤だけではなく緑や青、黄色など、様々な色が使われていた。それはノームの衣装だったのだ。そしてサンタクロースという名前には諸説あるが、キリスト教徒がノームを「子供の悪魔」と呼んだからと言うのがある。
悪魔はサタン。ギリシャ語で若者をクーロスと言う。だが、誰もノームをサタンだとは思わず、言い間違いだと思われ、サンタになった。これがサンタクロースの語源になったのである。

家々を訪問して、玄関前で聖歌を歌う習慣も、元は北欧神話を元にした寸劇を見せたのが始まりだった。日本で言えば、獅子舞みたいな感じか。今でもウェールズなどでは、友人たちが玄関前で小さなショーを見せる習慣があるという。インスタなどでも、数多くの楽しそうな動画を見る事ができる。


ユールログって何?

ユールを祝うのに、火を用いる。これは古来、焚き木で祝った習慣がある。そして、その中で最も太い焚き木をユールログといい、リボンを付けて飾り、冬至の日に薪にくべる。その習慣は今でも屋内で行われており、暖炉のある家庭では、クリスマス前まで、暖炉の前にリボンをかけた薪を飾る。
このユーロログを模して作られたのが、クリスマスケーキの定番、ノエルである。


ユールで讃える神々

ユールを楽しむ人たちは、キリスト教の神に感謝などしない。クリスマスと名前は変わっているが、それはあくまでユールなのだ。日本の祭りと同じで、みんなで騒いで神に感謝するのは、キリスト教の祈りには合わない。
欧州でユールに感謝する神は、北欧神話の神々だが、その中で最も愛されているのは、ケルト民族だけでなく、ゲルマン人やヴァイキングにも信仰された、みんなのヒーロー。雷神トールである。そう。マーベルコミックの『アベンジャーズ』のソーの事だ。

ユールの飾りの中心は、トールが持つ、雷を起し、死からも蘇らせる最強のハンマー、ミョルニルのシンボルである。これを飾り、最も強い最強の神を称えるのである。


ユーロゴート

また、ユーロゴートという、藁で作ったヤギも飾る。コレは、トールの戦車を引く二頭のヤギである。ある冬至の日。トールはユールを祝うため、自分のヤギ二頭を料理して、客人たちに振る舞った。しかし翌朝、トールは大切なヤギを食ってしまった事を激しく後悔し、ミョルニルの力を使って蘇らせたという、そのまま『アベンジャーズ』でもやってそうな、豪快なやらかしエピソードがある。そのため、トールのヤギは、人間の目には見えない存在であり、ユールの飾り付けが滞りなく進んでいるかを視察にくると言う。藁のヤギの飾りがないと機嫌が悪くなるため、ユールの重要な飾りのひとつだと言われている。

トールだけじゃない。北欧神話の神々。

このように欧州各地ではトールが人気だが、ドイツではオーディンも人気のようだ。ドイツ人で一年の収穫を感謝し、来年の五穀豊穣を願って、オーディンにビールを捧げる。ドイツ人曰く、オーディンはドイツのビールが大好物らしい。神と共にビールを飲み交わす、楽しい祭りだ。

その他収穫の女神フレイに感謝する地方もあったり、皆、思い思いの神々に感謝を捧げている。ユールではあまり見られないが、ロキを主神にユールを祝ってもいいんじゃないかなw

そんな訳で、クリスマスの起源は、キリスト教とは何の関係もなく、欧州の冬至を祝う年末行事だった。
だったら今年からクリスマスイブは、原点に立ち返り、今年一年背負わされた十字架を降ろして、お堅い聖書の神さまよりも、好きな神さまと一緒に飲んで騒いで「ユール」を楽しんでみてはいかがだろう。

Merry Yule‼︎

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